進化する食卓

【3月1日はデコポンの日】 デコポンと不知火は何が違う?美味しい食べ方は?

デコポンを名乗るための3つの条件

 当初、デコポンという名は申請さえすれば、だれもが使えるものでした。生産地が全国に広がり、認知度も高まる。良い面がある一方で、品質にばらつきが生じることが問題となってきました。もともと熊本県などでは、基準を設け品質を高める努力をしていましたが、他の産地においては同様の基準がない場合もあり、「デコポン」という同じブランド名がついたものの中で差が生じる結果となってしまったんです。

熊本県果実農業協同組合連合会では、「デコポン」というブランドの品質を守るため、1997年、所有していた「デコポン」の商標に関する権限を、上位団体である日本園芸農業協同組合連合会に委譲。同連合会の傘下の農業団体(JA)と柑橘生産のある農業団体(JA)に「デコポン」の名称使用を限定しました。

同時に「デコポン」というブランドの品質を守るための2つの基準を設けました。1つは糖度13度以上であること、そしてもう一つはクエン酸が1.0%以下であることです。計測に用いる機械も決まっています。

結果として、現在デコポンを名乗れるのは、JAを介したものであり、かつ2つの基準を満たしたものとなりました。言い換えると、JAを介していないものは、たとえ2つの基準を満たすレベルの糖度と酸味であっても、「デコポン」と名乗ることはできず、「不知火」として販売されるということになりました。これが2つの名前が混在するようになった理由です。不知火がおいしくないというわけではなく、販売ルートの問題等もあり、使えないという大人の事情があるということがポイントですね。

デコポン選びは皮、重さ、軸の色で

デコポンを選ぶ際のポイントは3つ。皮の状態と重さ、軸の色です。皮の色は濃く、均一であり、かつはりのあるものがおすすめ。手にしたときに、ずっしりと重みのあるものは、果汁が多いとされます。また軸が緑色のものは鮮度がよい証拠となります。

皮を手でむくときにはデコの部分に親指を入れ、剥き始めるときれいにむけます。果実を包むじょうのうを食べるか否かは、個人の自由。サラダなどに使うときには、じょうのうをむいたほうが、色鮮やかできれいではありますが、じょうのうは薄い上に、果実は柔らかくつぶれやすいため、きれいに剥きとるのは少し難しくもあります。

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ABOUT ME
蒼井 翠
北海道で生まれ、全国各地で育つ。専門紙で10年超、記者をした後、再び大学へ。食の知識を深めるべく、親子ほど年の離れた学生と学ぶ日々を送る。地域に根付く食、そして、食を支える人々。その思いを届けることが、目下の目標。