食の基本知識

離乳食の進め方は?|開始のタイミングから月齢別の形状、献立の考え方も紹介

赤ちゃんは生後5~6ヵ月頃になると、母乳やミルク以外からも栄養を取る必要が出てきます。大人と同じような食事ができるようになるまで、約1年かけて段階的に食事の練習を進めるために必要になるのが離乳食です。では、離乳食はいつから始めたらよいのでしょうか。始めた後は、どのように進めていけばよいのでしょうか。離乳食にまつわる疑問や不安は多いと思います。

この記事では、離乳食の始め時から月齢別の離乳食の進め方、離乳食を与える量や固さの目安、献立のポイントや注意点をわかりやすく解説します。離乳食の進め方に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

離乳食とは?なぜ必要なの?

母乳やミルクだけを摂取していた赤ちゃんが、だんだんと固形物や形のある食べ物に慣れていき、幼児用の食事を食べられるようになるまでの過程を「離乳」と呼び、この時期に与える食事を「離乳食」と言います。

離乳食には、母乳やミルクだけでは不足しがちな鉄やたんぱく質などの栄養素を補う目的があります。また、食べ物をかむ、飲み込むといった動作の練習にもなります。赤ちゃんの口や消化器官の発達に合わせて効果的に練習をするためにも、月齢に合った大きさや柔らかさに調理された離乳食を用意し、段階を追って進めていきましょう。

離乳食のはじめ方のポイント|はじめての離乳食は何をあげる?

離乳食スタートのタイミングは?

離乳食を始めるタイミングは、多くの保護者が迷うポイントです。生後5~6ヵ月になり、次のようなサインがあったら、離乳食を始める目安になります。

  • 首のすわりがしっかりして、支えてあげると座ることができる
  • 大人が食事をしていると口を開けるなど、食べものに興味を示す
  • よだれがよく出るようになった
  • スプーンなどを口に入れても舌で押し出そうとしない
  • 授乳のリズムが安定してきた

生後6ヵ月ぐらいになると、だんだん母乳やミルクの栄養だけでは足りなくなってきます。そのため、離乳食開始のサインが見られなくても、6ヵ月のうちには始めることが望ましいと言われています。

一番最初の離乳食は何をあげる?10倍がゆを小さじ1杯からスタート

初めての離乳食は、アレルギーリスクの低いおかゆから始め、なめらかにすりつぶした状態で1日1さじからスタートします。2~3日に1さじずつ増やしていき、おかゆを3~4さじ食べられるようになったら、次は野菜や果物のペーストを1種類ずつ1さじから加えます。

食事の時間は、赤ちゃんの機嫌がよく、落ち着いて食べられる時を選びましょう。離乳食後は赤ちゃんが欲しがるだけ母乳やミルクを与えます。この時期の離乳食の目的は、飲み込むことや舌触りや味に慣れることなので、嫌がったら無理に食べさせず、赤ちゃんのペースに合わせて進めていきましょう。

野菜や果物に慣れてきたら、豆腐、白身魚、卵黄などを1種類ずつ1さじから始め、少しずつ量を増やしていきます。最終的には、さまざまな種類の食品を一緒に食べられるように進めていきます。

離乳食の進め方の早見表①|食べ方や量の目安は?

赤ちゃんの成長にあわせて、離乳食の期間を初期から、中期、後期、完了期とおおまかに4つの時期に分けて考えます。それぞれの時期に食べる量や硬さなどの目安を表にまとめました。個人差があるため、赤ちゃんに合わせて進め方を調整していきましょう。

5、6ヵ月頃離乳食初期(ゴックン期)7、8ヵ月頃離乳食中期(モグモグ期)9~11ヵ月頃離乳食後期(カミカミ期)12~18ヵ月頃離乳食完了期(パクパク期)
回数1日1~2回1日2回1日3回1日3回+間食
摂取機能飲み込むことを覚える
歯が生え始め、舌と上あごでつぶせる
前歯で噛み切って、歯ぐきで食べる手づかみ食べや、スプーンやフォークの使用も開始
調理形態なめらかにすりつぶした状態舌でつぶせる固さ歯ぐきでつぶせる固さ歯ぐきで噛める固さ

生後5・6ヵ月|離乳食初期

まずは食べ物の舌触りや味に慣れる時期です。ごっくんと飲み込むことが目標です。最初のうちは、食べ物を舌の奥に置いたり、飲み込みやすくなる方法を試してください。母乳やミルクは欲しがるだけあげて大丈夫です。

離乳食の形状は、とろとろのペースト状が目安です。

生後7・8ヵ月|離乳食中期

食べ物に対する興味が高まり、離乳食が重要な栄養源になる時期なので、さまざまな味に挑戦しましょう。スプーンに興味を持ち始めたら、大人が食べさせるスプーンと別に赤ちゃんが握るスプーンも用意してあげましょう。母乳は欲しがるだけ、ミルクは1日3回程度あげます。

離乳食の形状は、絹ごし豆腐ぐらいのやわらかさが目安です。肉や魚は細かく刻み、とろみをつけて食べやすくしましょう。

生後9~11ヵ月|離乳食後期

自分で食べたい気持ちが高まってくる時期。離乳食は1日3回に増やし、だんだんと大人の食事時間に近づけていきます。母乳は欲しがるだけ、ミルクは1日2回程度あげるようにしていきます。食べ物に手を伸ばすようになったら、手づかみ食べをスタートさせましょう。

離乳食の形状は、歯ぐきで噛んで食べられるバナナくらいの固さが目安です。

生後12~18ヵ月|離乳食完了期

嚙む力の基礎を固める離乳食の最終ステップです。必要な栄養の大部分は離乳食からとるようになりますが、母乳は欲しがるだけあげて大丈夫です。ミルクは食欲や成長に応じて与えます。食事に加えて1~2回のおやつも取り入れてみましょう。

離乳食の形状は、肉団子程度のやわらかさで1㎝ほどの角切りにします。前歯で噛み取る練習もしつつ、徐々に大人と同じ食べ方に慣れていきましょう。

離乳食の進め方の早見表②|食材の目安や献立のアイデア

それぞれの時期で離乳食を与える回数や柔らかさの目安は分かりましたが、実際は何をどれくらい与えたらよいのでしょうか。ここからは、時期別の献立の考え方を紹介します。

5、6ヵ月頃離乳食初期(ゴックン期)7、8ヵ月頃離乳食中期(モグモグ期)9~11ヵ月頃離乳食後期(カミカミ期)12~18ヵ月頃離乳食完了期(パクパク期)
炭水化物10倍がゆ1さじ~大さじ47倍がゆ~5倍がゆ50〜80g5倍がゆ90g~軟飯80g軟飯90g~ごはん80g
ビタミン・ミネラルすりつぶしたにんじん:5g~10gにんじん:20g~30g + りんご:15gにんじん:30g~40g + りんご:20gにんじん:40~50g + りんご:20g
たんぱく質
つぶした豆腐・白身魚・卵黄など
豆腐:10g~25g
魚または肉:10~15g豆腐なら30~40g卵なら卵黄1~全卵1/3個乳製品なら50~70g魚または肉なら15g豆腐なら45g卵なら全卵1/2個乳製品なら80g
魚または肉なら15~20g豆腐なら50~55g卵なら全卵1/2~2/3個乳製品なら100g

生後5・6ヵ月|離乳食初期

おかゆに慣れたら、2週目からはすりつぶした野菜を、3週目以降は豆腐や白身魚、卵黄などのたんぱく質を加えていきます。卵黄は耳かき1杯分からはじめます。野菜はにんじんのほか、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなどもおすすめです。後半の主食にはおかゆ以外にもうどんがゆやパンがゆを取り入れてもよいでしょう。

生後7・8ヵ月|離乳食中期

この時期の献立は、主食・主菜・副菜の3つを揃えてあげるのがポイントです。栄養バランスに注意しながら、進み具合によって量を調整しましょう。タンパク質をとりすぎると赤ちゃんの身体には負担になるので気をつけます。野菜は、もやしやいんげんもチャレンジしてみましょう。タンパク質は鶏肉、鮭やツナも食べれるようになります。乳製品も少しずつメニューに加えていきましょう。

生後9~11ヵ月|離乳食後期

献立は主食+主菜+副菜+汁もので3~4品を用意します。手づかみ食べが始まったら、野菜スティックなど持ちやすい献立もおすすめです。主食は5倍がゆですが、慣れてきたら軟飯に変えてもOK。豚肉や牛肉、青魚やきのこ類も食べられるようになります。この時期からしょうゆ、みそなどの調味料もごく少量から使えるのでメニューの幅が広がります。

生後12~18ヵ月|離乳食完了期

主食は軟飯を基本に、やわらかいごはんやおにぎりも食べられるようになります。肉類、魚類はほとんどのものが食べられるようになるので、栄養バランスを考慮しながら、様々な食材を体験させてあげましょう。大人用のメニューから取り分けることもできますが、濃い味付けには注意。おやつには果物やおにぎり、乳製品、さつまいもなどを与えると良いでしょう。

離乳食では食べる楽しさを伝えることも大切な目的

離乳食を進めていくなかで、不安や疑問を感じることもあるでしょう。大事なのは、赤ちゃんのペースを尊重してあげることです。無理して次のステップへ進む必要はありません。赤ちゃん一人ひとりのペースがあるので、焦らずに進めてください。

また、離乳食をあげるときは、笑顔でリラックスした雰囲気を心がけることも大切です。守ってほしいルールは、新しい食材を試すときは、一度に一種類ずつ、少量を与えることです。これは、アレルギーの有無を確認するためにも大切です。どうしても心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。

離乳食の準備が大変だなと感じるときは、手作りにこだわり過ぎず、市販の離乳食を活用してみてはいかがでしょうか。市販の離乳食は、パッケージを開けるだけで赤ちゃんに食べさせられるため、忙しい時や外出時に非常に便利です。

専門家によって栄養バランスが考慮されて作られているため、手作りでは不足しがちな鉄分やビタミンなど必要な栄養素を確実に摂取できる製品もあります。

市販の離乳食のメリットも理解したうえで、離乳食の時期を楽しく進めていきましょう。

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旅する食卓編集部
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