食の基本知識

離乳食とは?|始め方や月齢別の分量、注意点も紹介

赤ちゃんの初めての食事である離乳食は、食べることの楽しさを体験し、食に対する好奇心を持ってもらうはじめの一歩として重要なものです。約1年かけて大人と同じような食事ができるように段階的に進めていきます。

食中毒やアレルギーなどに気を付けながら、正しい知識を持ったうえで、離乳食を準備しましょう。この記事では、離乳食の始めどきから進め方、離乳食を作るうえでの注意点も紹介しますので、離乳食作りの参考にしてください。

離乳食とは?赤ちゃんの成長にあわせた栄養補給

生まれてから母乳やミルクだけを飲んで育ってきた赤ちゃんは、少しずつ固さや形のある食べものに慣れて、食品からも栄養を取りはじめます。食事に慣れて、子どもの食事(幼児食)が食べられるようになるまでのプロセスを「離乳」と言い、この時期の食事のことを「離乳食」と言います。

離乳食を始めたからといって母乳やミルクをやめる必要はありません。月齢に応じて、母乳やミルクと離乳食の割合を変えていき、だんだんと食事だけで栄養をとることを目指します。

離乳食はなぜ必要なのか

離乳食は、赤ちゃんの成長に合わせて、母乳やミルクだけでは不足しがちな鉄やたんぱく質など栄養素を補うためにも必要です。また、初めは吸う・飲むだけの動作から、食べものをかむ・つぶす・飲み込むといった一連の動作を練習をするためにも必要です。その練習のために、赤ちゃんの口や消化器官の発達に合わせて、食べやすい大きさややわらかさに調理した離乳食が必要になってくるのです。

離乳食はいつから始める?

多くの保護者が迷うのは、離乳食を開始させるタイミングではないでしょうか。離乳食を始めるタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。生後5~6ヵ月になり、以下のようなサインがあったら、離乳食を始める時期です。

  • 首のすわりがしっかりして、支えてあげると座ることができる
  • 大人が食事をしていると口を開けるなど、食べものに興味を示す
  • よだれがよく出るようになった
  • スプーンなどを口に入れても舌で押し出そうとしない
  • 授乳のリズムが安定してきた

はじめて離乳食をあげる日は、赤ちゃんの体調や機嫌のよいときにしましょう。また生後6ヵ月ぐらいになるとだんだん母乳やミルクの栄養だけでは足りなくなってくるので、これらのサインがみられなくても6ヵ月のうちには始めることが望ましいです。

離乳食の進め方のポイント|量や内容は?

消化器官やかむ力の発達に合わせた、食べる量や硬さなどの目安が、初期から、中期、後期、完了期へと進むように指導されています。当然ながら個人差があるため、焦らず進め方を調整しましょう。

5、6ヵ月頃離乳食初期(ゴックン期)7、8ヵ月頃離乳食中期(モグモグ期)9~11ヵ月頃離乳食後期(カミカミ期)12~18ヵ月頃離乳食完了期(パクパク期)
回数1日1~2回1日2回1日3回1日3回+間食
調理形態なめらかにすりつぶした状態舌でつぶせる固さ歯ぐきでつぶせる固さ歯ぐきで噛める固さ
量の目安10倍がゆ1さじずつ
豆腐:10g~25gにんじん:5g~10g
7倍がゆ~5倍がゆ50~80g
鶏ひき肉:10g~15gにんじん:20g~30g + りんご:15g
5倍がゆ90g~軟飯80g
肉(豚肉・牛肉など):15gにんじん:30g~40g + りんご:20g
軟飯90g~ごはん80g
肉(牛・豚ひき肉など):15~20gにんじん:40~50g + りんご:20g

はじめての離乳食は何をあげる?

はじめての離乳食は、なめらかにすりつぶした10倍がゆ(米1に対して水10の割合で炊いたもの)を小さじ1杯、午前中に食べさせます。その後、2〜3日に1さじずつ増やしていき、1日3〜4さじ食べられるようになったら、次は野菜のペーストを1種類1さじからチャレンジ。嫌がったら無理に食べさせなくても大丈夫。焦らずに赤ちゃんのペースに合わせて進めていくのがポイントです。

生後5・6ヵ月|離乳食初期 とろとろペースト状が基本

離乳食スタート時期なので、赤ちゃんが食べ物の舌触りや味に慣れることが大切です。最初のうちは1日1回、慣れてきたら1日2回に増やします。食べるときの姿勢は授乳よりも少し起こした方が良く、お座りが安定しない時期なので大人が抱っこをするか、安定した椅子に座らせましょう。

離乳食の形状は、とろとろのペースト状が目安です。すりつぶしたり裏ごししたら、味付けは基本的にはせず、野菜の茹で汁やお湯を使って伸ばします。

おかゆに慣れたら、2週目からはすりつぶした野菜を、3週目以降は豆腐や白身魚、卵黄などのたんぱく質を加えていきます。最初のうちは食べ物を舌の奥に置いたり、飲み込みやすくなる方法を試してください。

生後7・8ヵ月|離乳食中期 絹ごし豆腐ぐらいのやわらかさ

食べ物に対する興味が高まり、離乳食が重要な栄養源となる時期です。1日の食事の3~4割を離乳食からとるようになります。食事のリズムを決めて、1日2回の食事を導入しましょう。スプーンにも興味を持ち始めるので、大人が食べさせるスプーンと別に赤ちゃんが握るスプーンも用意してあげましょう。さまざまな味に挑戦させて、食べ物の多様性を楽しませてあげます。

離乳食の形状は、絹ごし豆腐ぐらいのやわらかさが目安です。肉や魚は細かく刻み、とろみをつけて食べやすくします。調味料はまだ使用せず、だし汁や野菜スープを取り入れましょう。

献立は、主食・主菜・副菜の3つを揃えてあげます。離乳食の進み具合によって量を調整しつつ、炭水化物、ビタミン・ミネラル、タンパク質といった栄養バランスにも気を配りましょう。

生後9~11ヵ月|離乳食後期 徐々に形のあるものに移行

自分で食べたい気持ちが高まってくる時期。栄養の6~7割を食事からとるようになりますが、朝と夜の2回くらい母乳やミルクもあげましょう。離乳食は1日3回に増やし、だんだんと大人の食事時間に近づけていきます。

食べ物に手を伸ばすようになったら、手づかみ食べをスタート。手づかみ食べで食卓が汚れることも多くなりますが、上手に食べられるまで気長にトライさせてあげましょう。

離乳食の形状は、歯ぐきで噛んで食べられるバナナくらいの固さが目安。食材は5〜8㎜角ぐらいに切り、徐々に形のあるものに移行していきます。この時期からしょうゆ、みそなどの調味料もごく少量から使えるのでメニューの幅が広がります。

献立は主食+主菜+副菜+汁もので3~4品を用意します。炭水化物の量も増やしていきましょう。主食は5倍がゆですが、慣れてきたら軟飯に変えてもOK。卵や豆類、魚などを積極的に取り入れて、鉄分不足を防ぎましょう。

生後12~18ヵ月|離乳食完了期 前歯で噛み取る練習も

離乳食の最終ステップで、嚙む力の基礎を固める重要な時期。いよいよ離乳食から幼児食へと移行する準備です。母乳やミルクへの依存度も減り、必要な栄養の大部分は離乳食からとります。食事に加えて1~2回のおやつも取り入れてOK。家族との食事時間を楽しみ、食事のリズムを整えていきましょう。

離乳食の形状は、肉団子程度のやわらかさで1㎝ほどの角切りにします。徐々に大きさや形を変えていき、前歯で噛み取る練習もします。食材を奥歯でつぶし、唾液と混ぜ合わせて飲み込む、大人と同じ食べ方を目指します。

主食は軟飯を基本に、やわらかいごはんやロールパンなども食べられるようになります。肉や魚も取り入れて、栄養バランスを考慮したメニューを用意しましょう。大人用のメニューから取り分けることもできますが、濃い味付けには注意。おやつには果物やおにぎり、乳製品、さつまいもなどを与えると良いでしょう。

離乳食を作るうえでの注意点

赤ちゃんにとって安全で栄養のある離乳食を作るために、いくつか注意すべき点があります。以下で詳しくみていきましょう。

アレルギー食材に気を付ける

はじめて食べさせる食材は少量を1種類ずつ与えましょう。具合が悪くなったときに原因を特定できるからです。もし症状が出たら、すぐ受診できるよう、病院が開いている時間に試してください。特にアレルギーの原因になりやすい卵、牛乳、小麦などを与えるときは、体調の変化を慎重に観察しましょう。食物アレルギーを心配するあまりに、自己判断で食材を除去してしまうと赤ちゃんの成長を妨げる危険もあります。

赤ちゃんに食べさせてはいけないNG食材を知っておく

はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは避けてください。刺身などの生ものも、食中毒になる恐れがあるので食べさせないようにしましょう。

餅やこんにゃく、たこなどは喉に詰まりやすく、固くて噛みくだけないナッツ類なども避けるべきです。

衛生面に気を付けて食中毒の予防を

赤ちゃんを食中毒から守るためには衛生面に特に注意が必要です。調理する前に必ず手洗いをしましょう。食器や調理器具は使用後は必ず洗剤で洗い、煮沸や熱湯消毒を行います。食材は中まで十分に加熱してから与えるように心がけてください。

栄養バランスや味付けに注意

赤ちゃんは、たんぱく質を分解する消化吸収機能が未発達なのでとりすぎないように注意しましょう。脂質も消化しにくいので、9ヵ月までは使用を控えるようにして、離乳食のうちはとりすぎに気を付けます。

大人のメニューから取り分けるときは、濃い味のものを与えないように気を付けましょう。糖分、油分が多く、添加物が含まれるものは食べさせないようにしてください。

市販の離乳食を使えば負担が軽減できる

離乳食は全てを手作りする必要はありません。最近では、離乳食初期から食べやすいベビーフードも増えており、フリーズドライ、粉末・フレーク状のドライタイプと、びん詰めやレトルトパウチのウェットタイプがあります。外出や旅行先、時間のないときは活用してもいいでしょう。

月齢に合った離乳食で食べる楽しさを伝えよう

はじめての離乳食では、不安や悩みはつきものです。大事なことは、食べる練習を通じて赤ちゃんの好奇心や食べる力を育むこと。月齢に応じたステップで食事の形状や食材を正しく選べていれば、食べた量にそこまで神経質にならなくても大丈夫。赤ちゃんのペースを尊重してあげましょう。

離乳食を楽しく進めるコツは、一緒に食事を楽しむ雰囲気をつくってあげることです。保護者が不安な顔をしていると、赤ちゃんも安心してチャレンジすることができません。少しでも食べられたらたくさんほめてあげることが大切です。

大変だなと感じたら、まとめて作って冷凍をしておく、市販品を取り入れてみるなどの工夫をしながら、保護者もリラックスして離乳食の時期を過ごしましょう。

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旅する食卓編集部
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