赤ちゃんの離乳食を始めると、月齢に応じた食材選びや調理法に悩むことが多いでしょう。さつまいもは、赤ちゃんが好む自然な甘みがあり、離乳食作りに適した食材のひとつです。糖質が豊富なので、主食としても使え、多彩なレシピに活用できます。アレンジ次第ではおやつにも活用できるさつまいもは、離乳食作りに欠かせない食材と言えるでしょう。アレンジの幅が広いので、月齢に応じた柔らかさや味付けなどで悩むこともあるかもしれません。
この記事では、さつまいもを離乳食に取り入れるタイミングや選び方、使う際の注意点を詳しく解説します。さらに、月齢別の簡単で美味しいさつまいもを使ったレシピも紹介します。健康的な離乳食作りにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
さつまいもに含まれる栄養素は?
調理しやすく、離乳食に適したさつまいもは、栄養価が非常に高い食材です。さつまいもには、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、赤ちゃんの成長に必要な栄養素が豊富に含まれています。特に炭水化物が豊富で、主食としても利用できるほか、自然な甘みがあるため、調味料を加えずにおかずやおやつにも活用できます。また、食物繊維が多く含まれており、腹持ちが良く、便秘の解消にも役立ちます。
さらに、さつまいものビタミンCは、加熱しても壊れにくいのが特徴です。さまざまな離乳食レシピに対応できるさつまいもですが、カロリーが比較的高いため、食べ過ぎには注意が必要です。月齢に応じた適量を守って取り入れるようにしましょう。
離乳食のさつまいもはいつから食べさせる?|生後5~6ヵ月頃から開始
さつまいもは、生後5〜6ヵ月頃の離乳食初期から与えられるおすすめの食材です。
おかゆに慣れてきたころ、初めて「野菜」を取り入れる際に、にんじんやかぼちゃと同様、さつまいもが適しています。赤ちゃんは本能的に甘みを好むため、おかゆ以外の初めての食材として甘みのあるさつまいもは理想的です。
ただし、離乳食初期には形状に注意が必要です。すり鉢でなめらかなペースト状にしてから与えるようにしましょう。さつまいもの味に慣れてきたら、他の野菜や食材と組み合わせて、離乳食のバリエーションを増やしていきましょう。
離乳食のさつまいもの進め方は?|月齢に応じた量の目安とレシピの紹介
離乳食の期間は、初期、中期、後期、完了期の大まかに4つの時期に分けて考えます。
それぞれの時期にさつまいもをどのように取り入れるかの目安を表にまとめました。離乳食の進み方には個人差があるため、赤ちゃんに合わせて進め方を調整していきましょう。
5、6ヵ月頃 離乳食初期 (ゴックン期) | 7、8ヵ月頃 離乳食中期 (モグモグ期) | 9~11ヵ月頃 離乳食後期 (カミカミ期) | 12~18ヵ月頃 離乳食完了期 (パクパク期) | |
食事回数 | 1日1~2回 | 1日2回 | 1日3回 | 1日3回+間食 |
調理形態 | 加熱してからなめらかにすりつぶした状態 | 舌でつぶせる固さ、または5㎜角に切った状態 | 歯茎でつぶせる固さで7mm〜1cm角に切った状態 | 歯茎で噛める固さ |
量の目安(1回) | 小さじ1杯分からスタート | 20~30gまで | 30~40g程度 | 40~50g程度 |
生後5・6ヵ月(離乳食初期)|ペースト状に加工する
さつまいもは、生後5〜6か月から食べさせることができます。
おかゆを始めてから一週間ほど経った頃に、小さじ1杯分から与えましょう。この時期の赤ちゃんに与える離乳食は、必ず加熱したものを与えることが基本です。
さつまいもは、電子レンジで加熱するほか、鍋でゆでたり蒸したりしても構いません。いずれの方法でも、さつまいもが柔らかくなるまでしっかり加熱しましょう。
固さの目安としては、スプーンを傾けるとやっと落ちるくらいのペースト状にします。野菜スープやお湯などで水分を加え、固さを調整しましょう。
離乳食初期のさつまいもを使ったレシピ
「さつまいもペースト」
さつまいもを1cm角に切り、水にさらして水気を切ります。耐熱ボウルに入れて水を加え、ラップをして電子レンジで2分加熱。柔らかくなったらゆで汁を捨て、熱いうちに裏ごしして白湯でペースト状にします。
生後7・8ヵ月(離乳食中期)|粒状が残る程度の固さ
この時期は、さつまいもを単品で与えるだけでなく、他の食材と組み合わせて、さまざまな味や舌ざわりを楽しめるようにしましょう。
舌と上あごでつぶして食べられる固さまでやわらかく調理します。慣れてきたら、5mm角のみじん切りにしましょう。とろみをつけると飲み込みやすくなります。
離乳食中期のさつまいもを使ったレシピ
「さつまいもとりんごのサラダ」
さつまいもとりんごをそれぞれ5mm角に切り、さつまいもは10分ほど水にさらして水気を切ります。鍋に両方を入れ、水を加えて弱火で4分ほど煮ます。指で簡単に潰せる豆腐くらいのかたさが目安です。
「ミルクでスイートポテト風」
さつまいもの皮をむき、やわらかくなるまで茹でます。しっかりと水気を切った後、器に入れ、育児用ミルクを加えます。少しつぶが残る程度に潰しながら、さつまいもとミルクをしっかりと混ぜ合わせます。
生後9~11ヵ月(離乳食後期)|手づかみ食べもスタート
1日3回の食事が始まるこの時期は、さつまいもを上手に活用してレシピのバリエーションを増やしましょう。
固さの目安は歯茎でつぶして食べられる程度で、大きさも1cm角程度のものも食べられるようになります。さつまいもの形状や固さを徐々に変えていくことで、食べる力を育てましょう。
また、自分で食べたい気持ちが育ってくる時期なので、さつまいもを使って手づかみ食べの練習ができるメニューを用意してあげましょう。
離乳食後期のさつまいもを使ったレシピ
「さつまいもと白身魚のグラタン」
さつまいも30gを5〜8mm角に切り、柔らかく茹でます。白身魚20gをレンジで加熱し、フォークでほぐします。みじん切りのたまねぎ10gを軽く炒め、すべての材料を混ぜ合わせて耐熱容器に入れます。粉チーズ小さじ1をふりかけ、トースターで軽く焼き色がつくまで焼きます。最後に、育児用ミルクまたは水を適量加えて仕上げます。
「さつまいものおやき」
さつまいも120gを1cm角に切り、水に10分さらして水気を切ります。耐熱ボウルに入れ、ひたひたの水を加えてラップし、電子レンジ(500W)で2分30秒加熱します。柔らかくなったら、ゆで汁を捨ててフォークで潰し、ツナと片栗粉小さじ1を混ぜて8等分し、小判型に成形します。サラダ油を少々入れたフライパンで、両面が焼き色がつくまで片面約4分ずつ焼きます。ツナの代わりにりんごなどを使っても良いでしょう。
生後12~18ヵ月(離乳食完了期)|おやつにも活用して
離乳完了期は幼児食へと移行する準備期間なので、自分で食べられるメニューも増やしてあげましょう。
スプーンで切れるくらいの固さに加熱して、食べやすい大きさに切ってあげましょう。
前歯で噛み取る練習もできるように、大きめの輪切りやスティック状もおすすめです。また、自然な甘みのあるさつまいもはおやつにも適しています。
離乳食完了期のさつまいもを使ったレシピ
「さつまいもと鶏ひき肉のそぼろ煮」
さつまいも50gを1cm角に切り、鶏ひき肉30g、玉ねぎ20g(みじん切り)、人参10g(みじん切り)をフライパンで炒めます。さつまいもを加え、水大さじ2を入れて蓋をし、中火で煮ます。さつまいもが柔らかくなったら、醤油小さじ1/4と砂糖小さじ1/4を加え、水分がなくなるまで煮詰めます。
「バター醤油さつまいも」(おやつ)
さつまいもを0.5cm幅の斜め薄切りにしてから細切りにします。10分ほど水にさらしてアクを抜いた後、フライパンにバター小さじ1を溶かし、水気を拭き取ったさつまいもを入れて炒めます。バターが全体に回ったら、水を加えて蓋をし、蒸し焼きにします。フライパンを振りながら、醤油小さじ1/2を回し入れ、全体に馴染ませます。
離乳食でさつまいもを使うときのポイント
さつまいもの選び方:皮につやがあり新鮮なものを選ぶ
離乳食用のさつまいもを選ぶ際は、赤ちゃんが安心して食べられるものを選びましょう。繊維が多いと離乳食初期の赤ちゃんには食べづらく、離乳食が進まない原因になる場合もあります。以下のポイントに注意して選びましょう。
- 皮が鮮やかでツヤがあり、均一な色のもの
- 太くてふっくらした形状のもの
- 表面に蜜が出てきているもの
ひげが堅いものや皮が黒く変色しているものは新鮮でない可能性があるので避けましょう。
さつまいもの保存方法は?冷凍保存できる?
さつまいもの理想的な保存温度は13°C~15°Cです。基本的には常温保存で問題ありませんが、夏場は冷蔵庫の野菜室に保存するのがおすすめです。さつまいもを1本ずつキッチンペーパーや新聞紙で包み、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。
食べきれない分は、アク抜きや裏ごしなどの下ごしらえをしてから、月齢に合わせてペースト状や角切りにし、フリーザーバッグに入れて冷凍保存するのがおすすめです。冷凍したさつまいもは、2週間〜1ヵ月以内に使い切るようにしましょう。
離乳食でさつまいもを与える時の注意点
アク抜きをしてから調理する
さつまいもに含まれるタンニンなどの成分が原因で、切った部分が黒く変色したり、渋みや苦味を感じることがあります。
赤ちゃんは渋みや苦味を好まないため、離乳食を作る際は、しっかりアク抜きをしてから調理しましょう。
皮の近くにアクが多く含まれているため、皮を厚めにむくのがポイントです。適当な大きさに切った後、水に5〜15分ほどさらしてアクを抜きましょう。急いでいるときは、手で優しく揉むと早くアクが抜けます。
アレルギー反応に注意をする
さつまいもは、一般的にアレルギーの心配が少ない食材とされています。また、食品表示法でアレルギー表示が義務付けられている食品にも含まれていません。
しかし、完全にリスクがないわけではありません。比較的安全な食材とはいえ、初めて与える際は十分に注意しましょう。他の食材と混ぜずに、さつまいもだけを与えて、アレルギー症状が出ていないか注意深く観察することが大切です。
離乳食ではさつまいもを積極的に取り入れよう
さつまいもは、栄養豊富でアレルギーの心配が少ないうえ、さまざまな料理にアレンジしやすい食材です。
離乳食に取り入れる際は、アク抜きや調理法に注意し、赤ちゃんが食べやすい形で提供することが大切です。また、初めて与える際にはアレルギー反応に気を配り、少量から試しましょう。
さつまいもは、適切に調理すれば、安全で美味しく、アレンジも楽しめる離乳食の強い味方となる食材です。