進化する食卓

酒粕を使ってじっくりと熟成した赤酢「三ツ判山吹」

これまで興味はあったけれど、一体どれを選んでいいのか分からずにいたお酢。穀物酢、米酢、黒酢。それだけでなくワインビネガーやりんご酢、柿酢などスーパーのお酢売り場を見るだけでもかなりの種類のお酢が並んでいます。

使う料理によってお酢を変えるのも素敵だなと思っていたとき、ミツカンミュージアム「MIM」で純酒粕酢「三ツ判山吹」に出会いました。

純酒粕酢「山吹」の始まりは、造り酒屋のタブーへの挑戦

ミツカンの創業者中野又左衛門は造り酒屋でした。お酢を作る時には酢酸菌が必要で、菌は桶や蔵だけでなくあちこちに付着します。なのでお酢を作った職人が酒蔵へ入ると、たちまちお酒がお酢に変わってしまうので、酒屋がお酢を作ることはタブーでした。

しかし又左衛門はそのタブーに挑戦し、酒粕を使ってじっくりと熟成させ深い香りと色を持つお酢が完成しました。酢飯にした時にきれいな山吹色になることから「山吹」と名付けられました。ミツカンブランドの第一号となった「山吹」は、江戸で人気の「早すし」に使われたこともあって絶大な人気となりました。

純酒粕酢「山吹」は赤くないけど「赤酢」に分類されます

「赤酢」という言葉は聞いたことがあるものの、赤いお酢なのかしら、という程度でほとんど知識のなかった私。「赤酢」とは酒粕で作られたお酒のことなのだとか。純酒粕酢「山吹」はその名の通り酒粕で作ったお酢ですから「赤酢」に分類されます。

「赤酢」の中には実際にお酢の色が赤いものも多く、でもそれと同じくらい赤くないものもあります。ご飯に混ぜて寿司飯を作るとご飯が赤く染まるということはなく、ほんのりと茶色く、醤油を入れたご飯のような色合いになるのが特徴です。

穀物酢や米酢と比べると、お酢独特のツンとした酸味はまろやかです。純酒粕酢「山吹」はごく普通のお酢と比べてみると香りも全く異なります。お酢の爽やかさは感じますが、ツンと尖った感じはありません。お醤油のようなふくよかな香りも感じます。

純酒粕酢「山吹」を使って、手巻き寿司用の酢飯を作ります

純酒粕酢「山吹」を買った時から試してみたかった手巻き寿司。普段は酢飯を作るのにすし酢を使っているのですが、「山吹」だとどれくらい味が違うのでしょうか。

すし酢はご飯に混ぜるだけで味が完成しますが、「山吹」を酢飯にする場合は塩と砂糖を加える必要があります。お米が3合の場合、「山吹」大さじ4〜5杯に塩小さじ2杯を混ぜてから加えます、甘口がお好みの方は塩と同量の砂糖を加えてもいいのだとか。

我が家は砂糖を入れず、「山吹」と塩のみで味付けすることにしました。まずは酢飯だけを味わってみると、そのまろやかな味わいにびっくり! お酢と塩だけなのにこんなにおいしい酢飯ができるなんて、江戸時代の人もさぞかし驚いたでしょう。うま味が強く、お酢も発酵食品なんだなっていうのをしみじみ感じる味わいになっています。

純酒粕酢「山吹」を使って、春雨サラダを作ります

もっと「山吹」を味わいたい。せっかくなら味の違いを実感したいので、我が家でよく作る春雨サラダを作ってみました。「山吹」はうま味が強いので、塩や砂糖、醤油などは控えめにします。春雨サラダは水分が出るので、他の調味料は気持ち少しだけ控えめにしました。

お酢の酸味が好きな息子、お酢の酸味が苦手な娘。そんな子どもたちの反応をこっそり見ていると、いつもは春雨サラダを残す娘もあっという間に完食しました。息子は「おかわりないの?」とこちらもあっという間に完食です。

爽やかな酸味はありながら深いうま味の「山吹」は、春雨サラダにもよく合います。いつもの春雨サラダよりもまろやかで、それでいて酸味が物足りないとは感じませんでした。

これまでのお酢は何だったんだろう。これまで特にお酢に不満もなかったのに、純酒粕酢「山吹」を味わってしまうともう戻れない、そんな気がします。

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ひがのあや
東京都品川在住。小学生の2人の子供を育てながら、ファッション・グルメ・トラベル系のWEBライターとして取材・ライティング・リサーチ業務を行う。長いお休みには国内旅行で美味しいモノを食べ歩き、普段は時間があればアンテナショップやデパ地下を巡っている。