伊勢名物といえば、やっぱり「赤福」を思い浮かべる方が多いのでは? 関東近辺ではほぼ手に入らないこともあり、お土産でいただくと思わず笑みがこぼれてしまうもの。そんな赤福も大好きですが、私が伊勢に行ったら必ず買うのが「虎屋ういろ」です。
ういろうと聞くと愛知県の名物というイメージがありますが、伊勢のういろはまた別物。しっかりした弾力ともっちり食感、広がる豊かな風味を一度味わってしまうと、もう他のういろうは食べられません。
「虎屋ういろ」とは?
虎屋ういろは2023年3月に100周年を迎えた老舗のういろ屋さんです。三重県内に8店舗、愛知県では名古屋エリアに3店舗、岡崎エリアと刈谷エリア、岡崎エリアに1店舗ずつ、そして岐阜県にも1店舗あります。東京都・池袋にも1店舗あります。催事も行われていますので、店舗が近くにない方でも購入機会があるかもしれません。
伊勢地方では黒砂糖でつくられたういろが定番です。愛知名物の青柳ういろうも、「白、黒、抹茶〜」というCMソングがおなじみですが、そこでも黒ういろうは定番商品です。虎屋ういろでは黒ういろをはじめ様々な材料を加えてアレンジし、定番のういろと季節限定のういろを合わせてこれまでに約40種類のういろが販売されてきました。
厳選された材料を使い昔ながらの手作業で作られた生ういろは、防腐剤が使われていないので消費期限が短いのも特徴です。店頭で購入すると「明日までのお日持ちです」と言われ、冷蔵庫でも野菜室での保存がおすすめだと教えてもらいました。
日持ちがしないということは、一度にそう何本も購入できないということ。毎回どれを選んだらいいのか、店頭で必ず迷ってしまいます。
そして多くのういろうは米粉が使われていることが多いのですが、虎屋ういろは小麦粉も使用されています。「虎屋ういろ」はピンと角ができるほどしっかりしていて、もちもちぷるんの食感です。
定番ういろも季節ういろも魅力的な「虎屋ういろ」
私がういろを買いに行った日、店頭には白、黒、抹茶、よもぎ、栗などの定番ういろの他に、マンゴー、すいか、宇治金時など10種類前後のういろが並んでいました。何度も言いますが「虎屋ういろ」の消費期限は短い! 分かっていても、事前に目星をつけていても、毎回何本買うか迷います。
「虎屋ういろ」は定番のういろはどれも懐かしさがある素朴な味わい。何度食べても飽きのこない素朴さが魅力です。季節ういろは和菓子らしく季節感を取り入れたものや斬新な新しさのういろなど、目でも舌でも楽しませてくれます。毎回店頭で「よもぎは絶対外せない!」とか「前回は黒を諦めたから今回こそ!」など、まずは定番ういろを見ながら家族それぞれが主張し始めます。もちろん今だけしか味わえない季節ういろも外せないので「初めて見たういろを食べてみたい」とか、「去年食べられなかったういろを今年こそ!」と、後から来たお客さんに何度も先を譲りながらもなかなか決まりません。
そんな私のお気に入りは、定番のよもぎ。爽快な香りと深い色で、味も香りもしっかりとよもぎを感じられます。よもぎういろに挟まれているのは、国産小豆の粒が残る小倉ういろです。甘さはありながら素材の味もしっかりと感じられ、もちもちとしているけれど歯切れがよく、それはもう絶妙な美味しさです。
伊勢志摩限定だった「伊勢茶栗ういろ」、夏と言えば「スイカういろ」
家族の好みと翌日までに食べきれる量を考えた結果、定番ういろから「伊勢茶栗ういろ」「抹茶」の2本、季節限定「スイカういろ」の合計3本を購入。以前は伊勢志摩限定だった「伊勢茶栗ういろ」は、伊勢茶の風味とこしあんういろが組み合わせられた上に、たっぷりと栗も敷き詰められています。力強い伊勢茶の風味と上品なこしあんのういろ、そこへ栗も加わってなんとも贅沢なういろです。
上質な抹茶をたっぷりと使用した「抹茶」は、抹茶の風味ともちもちした優しい生地の甘みが味わえるういろです。あっさりとした甘みは老若男女問わず人気のういろです。
そして夏限定の「スイカういろ」! 毎年と言っていいほどお目見えする息子お気に入りのういろです。和菓子とは思えないキュートなスイカ模様のういろは。スイカ果汁が使われ種部分は小豆が散りばめられています。もちろん見た目だけでなく、味もしっかりとスイカの風味がします。
虎屋ういろにはプラスチック製の楊枝が付いてくるので、食べる前に切り分けることができます。最初はどのくらいの厚さに切ったらいいのか迷いましたが、羊羹よりも分厚めの約3cmくらいで切るのがおすすめ。もちっとした食感だけでなく歯切れの良さも味わうことができます。
定番ういろだけでも10種類ほどあり、日によっても店舗によっても品ぞろえが異なります。季節も日時もバラバラなはずなのに、なかなかお目にかかることができない定番ういろもあります。「ハーフサイズでもっと沢山の種類が買えたら……」とも思わなくもないですが、あれこれ悩むのも楽しいものです。
「虎屋ういろ」の公式サイトはこちら