赤ちゃんの離乳食を始めると、食材選びや調理法に悩むことが多いでしょう。実は、離乳食作りに大いに役立つ食材のひとつが発酵食品のヨーグルトです。とろりとしてなめらかなヨーグルトは、赤ちゃんの成長に必要な栄養がバランスよく含まれているうえに、そのまま食べられる手軽さも魅力で離乳食にぴったりです。しかし、いつから与えていいのか、どのように選べばいいのか、気になる点も多いでしょう。
この記事では、ヨーグルトを離乳食に取り入れるタイミングや選び方、使う際の注意点を詳しく解説します。さらに、月齢別の簡単で美味しいヨーグルトレシピも紹介します。忙しい毎日の中で、離乳食作りにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
ヨーグルトは離乳食に向いているの?
ヨーグルトは乳製品であり、肉や魚、豆腐などと同じく「たんぱく質」の食品群に属します。
肉や魚は加熱が必要で、離乳食に合わせた調理には手間がかかりますが、ヨーグルトは少し温めるだけですぐに食べられます。手軽にカルシウムやたんぱく質を摂取できることが、ヨーグルトの大きなメリットです。
また、ヨーグルトはとろみがあって飲み込みやすいため、パサつきやすい食材や食べにくいものと混ぜて、食べやすくすることができます。
肉や魚とも相性が良く、ささみなどのパサつく食材に混ぜると適度なとろみがつき、飲み込みやすくなります。ゆで野菜と混ぜてソースにしたり、果物と混ぜてデザートにしたり、アレンジしやすい食材です。
手軽に栄養が取れて、アレンジもしやすく、とろみ付けにも利用できるヨーグルトは、離乳食に向いている食材と言えます。ぜひ積極的に活用していきましょう。
離乳食のヨーグルトの進め方は?|月齢に応じた量の目安とレシピの紹介
離乳食の期間は、初期、中期、後期、完了期の大まかに4つの時期に分けて考えます。
それぞれの時期にヨーグルトをどのように取り入れるかの目安を表にまとめました。離乳食の進み方には個人差があるため、赤ちゃんに合わせて進め方を調整していきましょう。
また、ヨーグルトは整腸作用がありますが、食べすぎるとお腹をこわしてしまう可能性もあるので、下記の量を目安にしながら与え過ぎないように気をつけましょう。
5、6ヵ月頃 離乳食初期 (ゴックン期) | 7、8ヵ月頃 離乳食中期 (モグモグ期) | 9~11ヵ月頃 離乳食後期 (カミカミ期) | 12~18ヵ月頃 離乳食完了期 (パクパク期) | |
食事回数 | 1日1~2回 | 1日2回 | 1日3回 | 1日3回+間食 |
可否 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
量の目安(1日) | 小さじ1杯分からスタート | 50~70gまで | 80g程度 | 100g程度 |
生後5・6ヵ月(離乳食初期)|形状の目安になる
一般的なヨーグルトを赤ちゃんが食べるのは生後7~8ヵ月からが推奨されているため、この時期にはパッケージに生後6ヵ月から与えてよいと記載された離乳食初期専用のヨーグルトを与えましょう。
また、この時期の赤ちゃんに与える食事の固さの目安として、ヨーグルトのようにスプーンを傾けたらやっと落ちる程度の固さが適しています。赤ちゃんにヨーグルトを食べさせることで、この時期の赤ちゃんが飲み込みやすい固さの目安が分かります。
離乳食初期から食べられるヨーグルトを使った離乳食レシピとして、「きなこヨーグルト」があります。ヨーグルトを人肌くらいに温め、きなこを適量加えてよく混ぜて与えてみましょう。
生後7・8ヵ月(離乳食中期)|市販のヨーグルトが食べられるように
この時期から市販のヨーグルトを与え始めても大丈夫ですが、他の食材と同様に、初めて与えるときは小さじ1杯からスタートし、徐々に量を増やしていきましょう。
離乳食中期が終わる頃には、1日70g程度まで食べられるようになります。
離乳食中期におすすめのヨーグルトを使った離乳食レシピとして、「ヨーグルトサラダ」があります。加熱したにんじん、かぼちゃ、じゃがいもなどを粗くつぶし、ヨーグルトを混ぜ合わせて完成です。
生後9~11ヵ月(離乳食後期)|野菜と一緒に食べて栄養アップ
1日3回の食事が始まるこの時期は、ヨーグルトを上手に活用してレシピのバリエーションを増やしましょう。量の目安は1日80g程度にし、ヨーグルト以外からもたんぱく質を摂るようにします。
離乳食後期におすすめのヨーグルトを使った離乳食レシピとして、「ひじきのヨーグルト和え」があります。戻したひじきを細かく刻み、玉ねぎと人参はみじん切りにします。小鍋にひじき、玉ねぎ、人参、水大さじ1を入れ、弱火で蓋をして加熱します。野菜が柔らかくなったら火を止め、粗熱を取ります。ヨーグルトと少量のマヨネーズで和えれば完成です。
ほかにも、中期で紹介したヨーグルトサラダに入れる野菜を角切りにしてみることもおすすめです。また、パンケーキを作るときに牛乳の代わりにヨーグルトを入れるとふわふわの食感が楽しめます。
生後12~18ヵ月(離乳食完了期)|スプーンを使って自分で食べる
離乳完了期には自分から食べようとする気持ちが育つ時期なので、自分でスプーンを持ってヨーグルトを食べることにも挑戦してみましょう。1日の量の目安は100g程度です。たくさん食べるからといって与えすぎないように気を付けましょう。
離乳食後期におすすめのヨーグルトを使った離乳食レシピとして、「ヨーグルト入りハンバーグ」があります。
みじん切りした玉ねぎを電子レンジで加熱したら、ひき肉、卵、パン粉、ヨーグルト、玉ねぎ、醤油と塩少々を入れて粘りが出るまでよくこねます。成型したらフライパンで蒸し焼きにすれば完成です。ヨーグルトによって肉の臭みが抑えられ、食感もやわらかめのハンバーグになります。
ファーストバースデーのお祝い用のケーキを手作りするなら、クリームの代わりに「水切りヨーグルト」を使ったケーキもおすすめです。
ボウルにザルをのせてキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトをのせてラップをします。冷蔵庫に3~4時間入れておけば水切りヨーグルトの完成です。好きな形に切った食パン全体に水切りヨーグルトを塗って、いちごやバナナなどのフルーツで飾りつければ水切りヨーグルトのケーキの完成です。
離乳食でヨーグルトを使うときの調理のポイント
市販のヨーグルトの選び方
市販のヨーグルトを離乳食に使う際は、無糖タイプを選びましょう。
加糖タイプは赤ちゃんには味が濃すぎるため、おすすめできません。無糖タイプもしくは乳幼児用のものを選んでください。
大人用の無糖プレーンヨーグルトを使う場合には、酸味が控えめなものを選びましょう。酸味が強いと、初めてヨーグルトを食べる赤ちゃんは嫌がることがあります。
また、市販のヨーグルトには砂糖のほかに添加物が含まれている商品もあるので、パッケージをよく確認して、できるだけ添加物が含まれていないものを選ぶようにしましょう。
ヨーグルトは加熱は必要?
ヨーグルトは加熱せずに与えるのがおすすめですが、冷蔵庫から出したばかりの冷たいヨーグルトは赤ちゃんの胃腸に刺激が強すぎます。
食べさせる少し前に冷蔵庫から出して常温にしておくと良いでしょう。
時間がない場合は、100gのヨーグルトをラップをせずに500Wの電子レンジで40秒ほど温めると、人肌程度の温かさになり、食べやすくなります。
ただし、加熱すると酸味が増すなど風味や食感も変わるので、赤ちゃんの反応を見ながら加熱時間を調整しましょう。また、加熱しすぎると善玉菌が死滅してしまうため、60℃以上にしないよう注意してください。
ヨーグルトの保存方法は?冷凍保存できる?
ヨーグルトは冷凍すると分離して、まろやかな食感がなくなってしまうので冷凍保存はおすすめできません。
開封後のヨーグルトは冷蔵庫で保存してなるべく早く、1週間以内を目安に食べ切ることを心がけてください。赤ちゃんの健康を考えて、新鮮なヨーグルトを適量ずつ与えるようにしましょう。
離乳食でヨーグルトを与える時の注意点
アレルギー反応に注意をする
栄養が採れて与えやすいヨーグルトですが、乳製品であるため乳アレルギーのリスクがあります。そのため、ヨーグルトを初めて与えるときは、病院に行きやすい時間帯に少量を与えて様子を見ましょう。また、初めて与えるときは、ナッツや果物などの他のアレルゲンとなる食材は同時に与えないでください。アレルギー症状が出たときに原因が特定しにくくなるからです。
アレルギー症状は、食後2時間程度で現れる場合もあれば、やや時間が経ってから症状が出る場合もあります。初めて与えた後は、しばらく注意深く様子を観察しましょう。
ハチミツ入りの製品は与えない
はちみつには「ボツリヌス菌」が含まれている可能性があり、1歳未満の乳児には絶対に与えないようにしましょう。
この菌は加熱しても完全には死なないため、赤ちゃんの腸内に住みつくと「乳児ボツリヌス症」を引き起こすリスクがあります。乳児ボツリヌス症は非常に危険で、適切な治療が行われない場合、重篤な神経麻痺を引き起こし、まれに死に至ることもあります。
そのため、赤ちゃんが1歳を過ぎるまでは、はちみつ入りのヨーグルトを与えるのは厳禁です。ヨーグルトに限らず、はちみつを含むお菓子や飲料なども決して与えないようにしましょう。
離乳食にはヨーグルトも積極的に取り入れよう
ヨーグルトはなめらかで食べやすく、離乳食にもぴったりの食材です。栄養が豊富でアレンジもしやすいため、離乳食のメニューが充実します。
ヨーグルトを使った離乳食は、簡単に栄養を追加でき、赤ちゃんの食事をよりバランスの取れたものにしてくれます。
初めて与える際は、少量から始めて赤ちゃんの様子を見ながら進めましょう。
不安がある場合は、医師や栄養士に相談して、安心して取り入れるようにしましょう。ヨーグルトを安全に導入し、赤ちゃんの食事の時間がより楽しいものとなることを願っています。