京都市内にありながらも、のどかな里山の風景が色濃く残る「大原」。三千院、寂光院を始めとした社寺仏閣が観光客に人気の一方、京都三大漬物のひとつ「しば漬」発祥の地でもあります。 梅干しを漬けるための良質な赤しそを求め、収穫が最盛期となる7月上旬に「里の駅大原」を訪れました。 大原の赤しそとは 大原は、京都市中心部から路線バスで40分ほどのところにあります。三千院周辺はお土産物店が軒を連ねる観光地となっていますが、少し離れると日本の原風景とも言うべきのどかな景色が広がります。 7月上旬はまさに赤しその旬。あちこちの畑に収穫を待つ赤しそがフサフサと繁り、近づくとしその香りにふんわりと包まれます。 大原の赤しそはちりめん状に縮れた葉と濃厚な香り、鮮やかな発色が特徴で、主に名産品のしば漬の原料として800年以上昔から栽培され続けているそうです。 シソ科の植物は自然交雑しやすく、通常は長年栽培を繰り返すうちに性質が変わってしまうのですが、大原は周囲を山に囲まれていることにより花粉の飛来が少なく、他品種と交配せず原種に近い性質を保っているのだとか。 また大原は盆地のため、昼夜の寒暖差が大きいことも良質な赤しそを育てるのに適しているといいます。早朝に霧が発生する日も多く、乾燥を嫌う赤しその葉に潤いを与えてくれるそうです。 地元の採れたて野菜が並ぶ「里の駅大原」 赤しそを買うために訪れたのは、「野村別れ」バス停から徒歩5分のところにある「里の駅大原」。 里の駅大原には、産直品販売所の「旬菜市場」、地元のお母さんたちが腕をふるう家庭料理レストラン「花むらさき」があります。また、毎週日曜日の朝6時からは「大原ふれあい朝市」が開催され、新鮮な野菜や大原ならではの加工品などを買い求める大勢の方で賑わうそうです。 旬菜市場には、地元で採れた新鮮な野菜が並びます。同じ種類の野菜でも、生産者ごとに色や大きさ、価格が異なるため、比較しながら選びます。 スーパーマーケットには並ばない珍しい品種や、形はいびつだけれどそのぶん安い野菜が買えるのも魅力です。 赤しそは梅1㎏を漬けられる量を1つの束にして売られていました。朝に収穫したものとのことで、素晴らしいツヤとやみずみずしさです。 里の駅大原に到着したのは平日の午後2時頃でしたが、お目当ての赤しそはなんと残りわずか。ギリギリ購入することができました。 赤しそのシーズンには、梅干しやしそジュースの材料として遠方から買いに来る方も多いそうです。電話による予約も可能なので、早い時間に行けないときやまとまった量が必要なときは予約したほうが良さそうです。 「里の駅大原」で買って帰りたい「しば漬」 旬菜市場では野菜だけでなく、併設された「もちの館」で作られたこだわりの杵つき餅や、地元で作られた加工品も数多く販売されています。 地元特産品のしば漬などの漬物は種類豊富で、土井志ば漬本舗や志ば久といった老舗漬物店の商品も取り扱っています。 そんな中、直売所ならではなのが自家製のしば漬。 もともとしば漬けは、夏に多量に取れた野菜を冬場の保存食とするために、かつては大原の各家庭で作られていたそうです。 現在スーパーマーケット等で売られているしば漬は、酸味のある調味液でなすやきゅうりを漬け込んだ「調味しば漬」がほとんどですが、ここで売られている「生しば漬」は「なす・赤しそ・塩」のみで作られています。 塩で漬けこむと自然に乳酸発酵し、まろやかかつ力強い酸味が生まれます。赤しその華やかな香りと相まって、格別の味わいです。 「里の駅大原」で買った赤しそで梅干しづくり 買って帰った赤しそは、その日のうちに葉を枝から摘んで洗い、塩で揉んでアクを抜きます。塩漬けの梅に加えたら、梅雨が明けるのを待ちます。 梅雨が明け、3日間連続で晴れる日を狙って「土用干し」をおこないます。 今年の梅は、南高梅の他に叶匠寿庵の寿長生の郷で収穫した城州白梅を使いました。 土用干しが終わったら、びんに詰めて味がなじむまで半年ほどおきます。大粒で鮮やかに染まった梅は、見ているだけで食欲が湧いてきます。 梅を漬けこんだ後の赤しそや梅酢も、梅と一緒に土用干しします。 赤しそは、カラカラに乾燥させてからミキサーにかければ自家製のしそふりかけに。梅酢も酢の物や魚の煮物などに無駄なく活用します。…
阿東いつ子
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「ぬちまーす」という塩をご存知ですか? 「ぬちまーす」の名前は、「ぬち(命)」「まーす(塩)」という沖縄の方言が由来。 沖縄の海水から作られ、2000年には「世界一ミネラルの多い塩」としてギネス認定されました。 「ぬちまーす観光製塩ファクトリー」では、「ぬちまーす」を作る様子を無料で気軽に見学できると知り、沖縄旅行の機会に訪れてみました。 「ぬちまーす」の特徴とは 海水から塩を作るには、天日乾燥や濃縮後に煮詰めて塩の結晶を取り出す方法が一般的。 一方「ぬちまーす」は、濃縮した海水を空気中に噴射し乾燥させて作るため、海水中のミネラルがそのまま粉末化されます。 「ぬちまーす」に含まれる塩分は75.5%で、残りはマグネシウムやカルシウムです。 「食塩」で99%以上、ミネラルを残して作った「粗塩」でも90%程度が塩分なのと比べると、「ぬちまーす」に含まれるミネラルの多さがわかります。 含まれるミネラルにより「塩味」だけでなく「甘味」や「苦味」が加わって、まろやかでうまみのある塩になります。 もう1つの特徴がきめ細かさです。 片栗粉のような粉末状で口の中でサッと溶けるので、少量でも塩味を強く感じます。 このため、塩をそのままつけて食べるゆで卵やてんぷらなどでは、特に減塩が期待できます。 また、空気を含んで軽いため、小さじ1は食塩だと約5gなのに対し「ぬちまーす」は約2.5gと半分程度。 料理加える際に微調整しやすく、使いすぎを防げます。 「ぬちまーす観光製塩ファクトリー」への行き方は? 「ぬちまーす観光製塩ファクトリー」は、沖縄県中部のうるま市宮城島にあります。 島といっても橋でつながっているので、アクセスは良好! 那覇空港から車で1時間半ほどで到着します。 島へ渡るには4.75kmの「海中道路」を通ります。 その名の通り海の中をまっすぐに通る橋で、ガイドブックなどでも取り上げられることが多い絶好のドライビングスポットです。 世界初!「常温瞬間空中結晶製塩法」を見学 「ぬちまーす」は汲み上げた海水を濃縮・ろ過した後、細かい霧状に噴射し、温風を当てて乾燥させ作ります。 瞬時に水分だけが蒸発し、海水に溶けていた塩分やミネラルは空中で結晶となり、雪のように降り積もります。 この世界初の技術は「常温瞬間空中結晶製塩法」と名付けられ、日本を含む世界13カ国で特許を取得しているそうです。 残念ながら訪れた日はメンテナンス中で、製塩の様子を見ることはできませんでした。 製塩を行っている日なら、雪のように塩が降り積もる真っ白な世界が見られるそうです。 「ぬちまーす」を製造する上で重要な工程が検品です。 その検品作業を上からガラス越しに見ることができます。 真っ白の塩の中に見つけた小さな異物をチューブで吸い取るという地道な作業により、「ぬちまーす」の品質は保たれるのだそう。…
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とろけるような食感の求肥を大納言小豆のあんでくるんだ「あも」を始めとした、人気商品がたくさんある「叶 匠寿庵」。 全国の百貨店に店舗がありますが、その発祥は滋賀県で大津市には農園も持っています。 「寿長生の郷(すないのさと)」と名づけられた農園の広大な敷地には、和菓子の材料となる梅や柚子が植えられ、季節ごとに来園者の五感を楽しませてくれます。 梅の実が熟す梅雨の時期、「寿長生の郷」の梅狩りに行ってきました。 無料シャトルバスも!「寿長生の郷」へのアクセス 「寿長生の郷」は、琵琶湖から流れる瀬田川の丘陵地にあります。 市街地からは遠いため、自家用車での来園者がほとんどです。 名神瀬田西・東インターからはともに約20分で、大阪や名古屋方面からも多くの観光客が訪れます。 最寄駅のJR琵琶湖線石山駅からは、無料シャトルバスが1日4往復運行しています。 タクシーで20分ほどの距離のため、無料なのは大変ありがたいです。 「寿長生の郷」の梅はどんな梅? 「寿長生の郷」には城州白梅(じょうしゅうはくばい)という品種が約1,000本も植えられています。 他の品種よりも熟す時期が遅く、例年6月下旬から収穫が始まります。 実が大きくなるにつれて白っぽくなるのがその名の由来。 大粒で果肉が厚く、桃のような甘い香りの高級品種です。 しかし他の品種と比べると収穫量が少なく、京都府城陽市の青谷地域以外ではほぼ栽培されていないそうです。 叶 匠壽庵の創業者は梅の菓子に合う素材を求めて全国を歩き、この品種にたどり着いたのだとか。 6〜7月初旬に楽しめる「寿長生の郷」の梅狩り 梅狩りの参加費はひとり500円。 ですが、梅狩りをするとお菓子の購入や食事に使える500円券がもらえます。 また「寿長生の郷」で食事などをすると、そちらで梅狩りの無料券がもらえます。 梅狩りは実質無料ですが、収穫した梅を持ち帰るには別途料金が必要です。 受付時に持って帰りたい量を伝え、1kgあたり1,080円支払い、渡されたビニール袋に収穫した梅を入れていきましょう。 粒が大きく、黄色みがかった実を選んで収穫します。 日が良く当たった梅は鮮やかな赤みが差し、いい香り。 梅が傷つかないようにそーっと袋に入れ、袋の端が閉じられるくらいまで集めたら最後に計量してもらいましょう。 1㎏を越えた分は100gあたり108円で持ち帰ることができます。 収穫後には梅ジュースをいただきました。…
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国内だけでなく、海外からの観光客にも人気の沖縄。 黒糖にパイナップル・紫芋など特産品が多く、お土産のバリエーションも豊富なので、何を買って帰ろうか迷ってしまいます。 相手の好みがわからないときやすぐには渡せないときは、「沖縄の塩」をお土産にしてはいかがでしょうか? 塩を使わないという人はそうはいませんし、賞味期限を気にしなくてもよいので、渡す相手を決めずに予備として買っておくのにも向いています。 美しい海に囲まれた沖縄には、以前ご紹介したぬちまーすの他にもたくさんの製塩所があります。 中でも有名で手に入れやすく、インパクトもある「雪塩」をご紹介します。 「雪塩」ってどんな塩? 雪塩は、沖縄本島から南西に300㎞ほど離れた宮古島で作られます。 飛行機で1時間弱かかるため、沖縄旅行のついでに行くにはちょっと遠いのですが、雪塩は沖縄本島でも簡単に手に入れることが可能です。 雪塩の原料は宮古島の地下にある海水です。 宮古島の地下には、海底にあったサンゴ礁が元となった琉球石灰岩と呼ばれる地層があります。 この地層にはたくさんの空洞があるため、海水が地下へとしみ込み、地下海水となります。 琉球石灰岩が天然のろ過装置となって海水中の不純物を取り除いてくれるうえ、台風などの影響を受けないので、1年を通してきれいな地下海水を汲み上げることができるそうです。 汲み上げた地下海水は、濃縮したのち熱した金属板に吹き付けて乾燥させます。 従来の製塩では取り除かれていたマグネシウムなどのミネラル分がそのまま含まれるので、まろやかな味わいに仕上がるのだそう。 また琉球石灰岩に含まれる成分が溶け込むため、カルシウムなども多くなるそうです。 この豊富なミネラルが、雪塩のまろやかなしょっぱさを作り出します。 雪塩のもう1つの特徴が、粉雪のような軽さときめ細かさです。 粒の大きさは一般的な塩の1/4程度で、お菓子作りなどに使う「粉砂糖」のようにふんわりとしています。 普通の塩の大さじ1杯が約15gのところ雪塩は5gほどしかありません。 しかも食塩相当量は100g中72.6gなので、いつもの塩と同じ感覚で使えば自然と減塩につながります。 粒子が細かいことにより、食材となじみやすいのもポイントで、肉や魚の下ごしらえの時間が短縮できます。 雪塩を買うなら「塩屋(まーすや)」がおすすめ! 沖縄・那覇のメインストリート「国際通り」に「塩屋」はあります。 沖縄はもちろん、日本中いや世界中の塩がずらりと並ぶ様子は圧巻です。 産地ごとの塩だけでなく、「おにぎり用」「ゆで卵用」「刺身用」など用途に合わせてブレンドされた塩や、「ステーキ用」「サラダ用」などハーブやスパイスを加えた専用の塩などのオリジナルの塩もたくさんあります。 「塩屋」は雪塩の製造を行っている「株式会社パラダイスプラン」が経営しているため、雪塩も種類豊富に取り扱っています。 沖縄限定パッケージの商品はお土産にもぴったりです。 通常の雪塩の他、顆粒タイプもあります。 顆粒タイプは大さじ1が約15gと通常の塩と同じです。…
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京都のお土産というと、どんなものを思い浮かべますか?生八ツ橋などの定番お菓子からお茶や漬物、扇子やあぶらとり紙などなど。人気の観光地だけあって買って帰りたいお土産がたくさんありますよね。 料理好きの方におすすめしたいのが、京都ならではの調味料。中でも他にはない味わいが楽しめる「原了郭」の「黒七味」は、軽くて小さく、値段も手頃でお土産にぴったりです。 原了郭の「黒七味」は中華や洋食にも チョイ足ししたい万能香辛料 黒七味の原材料は白ごま、唐辛子、山椒、青のり、けしの実、おの実。おの実は麻の実のことで、けしの実同様漢方薬の原料にも用いられます。これらの材料を乾煎りし、丁寧にもみ込むことで、独特の香りと色をもつ黒七味になるのだとか。 爽やかで奥行きのある豊かな香りと唐辛子の程よい辛みが絶妙で、うどんなどの和食はもちろんホワイトシチューやオムレツなど洋食にもマッチします。また、麻婆豆腐や餃子などの中華との相性もバツグンで、一度使ったら手放せなくなります。 一般的な七味と比べて辛味は穏やかなので、辛いのはあまり得意でないという方でも、取り入れやすいと思います。我が家では味噌汁・親子丼・きんぴら・唐揚げなど色々な料理に使うので、常にスタンバイしています。 原了郭は1703年創業赤穂浪士の子孫が創業 原了郭の創業は元禄16(1703)年。初代の原儀左衛門道喜は出家して「了郭」と名乗り、祇園社門前に店を開いたそうです。 看板商品は、漢方の名医「山脇東洋」の処方による「御香煎」(ごこうせん)。御香煎とは茴香(ウイキョウ)や陳皮(チンピ)といった漢方の材料を混ぜ合わせて香ばしく煎り粉末状にして焼き塩で味付けしたもので、白湯に浮かべていただきます。爽やかな香りで江戸時代の旅人の疲れを癒していたものと同じ処方が、原了郭では今もなお一子相伝で受け継がれています。 ちなみに初代の「了郭」は、赤穂浪士赤穂義士四十七士のひとり原惣右衛門の息子というのだから歴史の長さを感じます。 原了郭 本店は風情あふれる祇園にある 原了郭の本店は、八坂神社へとまっすぐ伸びる四条通の北側、ちょうど祇園の中心あたりにあります。祇園といえば年末に行われる歌舞伎の顔見世興行で有名な「京都南座」や、海外からの観光客にも人気の観光地「花見小路」など京都らしい見所が多く、京都観光には外せない定番エリアです。 本店はビル1階の少し奥まったところにあるためうっかり通り過ぎてしまいそうになりますが、道路に面したショーケースにある特大の薬味入れを目印にすると見落とすことなく来店できます。 黒七味は本店以外でも京都伊勢丹などで買える 本店を含む3つの直営店以外にも、黒七味を購入できる場所はたくさんあります。なかでも四条河原町の高島屋京都店や京都駅直結の京都伊勢丹など百貨店の食品売り場は、種類も豊富でおすすめです。お得な詰め替え用も販売しているので、リピーターにはうれしいですね。 その他多くのお土産店などでも取扱いがあります。小さくて持ち歩きもしやすいので、見つけたときに買っておくのもいいですね。 原了郭 店舗のご案内 原了郭 黒七味を味見したいなら八条口店へ 「原了郭 八条口店」は物販コーナーを併設した飲食店のため、食事と買い物両方を楽しむことができます。新幹線や在来線の改札を出てすぐの駅ビル内にあるので、京都に到着してすぐ「まずは腹ごしらえ!」というときや、旅の終わりに京都らしいものを食べてから帰りたいというときにも便利な立地です。 黒七味が香る「ごま麺」がおすすめ 原了郭の看板メニューがこちらのごま麺。練りごまを使ったスープということで、濃厚&クリーミーな味を想像していたところ、意外にも優しくあっさりとした味。思わず飲み干したくなる味わいです。 水菜などたっぷりの野菜を、中華麺とともにいただきます。まずは何もかけずにごまの香りをしっかり味わったら、次は黒七味で味変!優しい味に深い香りと程よい辛みが加わって、力強い味に早変わりします。 黒七味以外にも全部で8種類のスパイスが用意してあるので、途中で味を変えたり好みの味を見つけるのも楽しいですね。ごま麺は麺とスープがセットになった商品も販売されているので、ご家庭で味わうことも可能です。 原了郭の黒七味は関東では横浜高島屋にある 原了郭の黒七味は関東でも横浜高島屋などのデパートで販売はされています。ただし、あまり取り扱い店は多くないので、お求めの場合は通販サイトを利用した方がよさそうです。原了郭の自社物販サイトもありますし、Amazonや楽天にも出店しています。 原了郭…
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伊勢神宮参りのお土産といえばやはり赤福が有名です。でも実は伊勢には美味しいお餅のお土産も揃っています。それぞれ特徴の異なる5種類の餅菓子を創業が古い順にご紹介します!お餅を通して伊勢の歴史を感じてみませんか? 【太閤出世餅】創業は室町時代!太閤秀吉ゆかりの餅菓子 「太閤出世餅」を製造する「太閤餅」は、永禄8年(1565年)伊勢神宮のお膝元で参拝客のお休み所として店を構えたそうです。 店名の由来となる太閤秀吉は、天下統一を果たすまでに幾度も伊勢神宮を参拝し、さらには一時途絶えた式年遷宮の復興にも尽力しています。江戸時代後期に書かれた「神都長嶺記」には秀吉が焼餅を「美味也」と称賛したと記されているそうです。 「太閤出世餅」は粒あんと餅の量のバランスがよく、あんの豆の香りとほんのり香ばしい餅の味を両方しっかり味わえます。香ばしさがあとを引き、2~3個は軽く食べられます。 個包装になっていて、8個の袋入りや箱入りなら5日程度日持ちするので、職場などへのお土産にも向いています。 内宮宇治橋前の茶屋では、ほうじ茶・抹茶付のお盆セットをいただくことができます冬場はぜんざい、夏場は氷入り抹茶のセットといった季節メニューもあるので、参拝のあと一服しに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 「太閤出世餅」 【二軒茶屋餅】毎月25日はくろあんの日「二軒茶屋餅角屋本店」 二軒茶屋餅は、天正3年(1575年)の創業と伝えられているそうです。当時伊勢神宮への参拝は陸路と海路があり、海路から勢田川を上った舟付場には参拝客をもてなす2軒の茶屋があったそうです。そのため辺りは二軒茶屋と呼ばれるようになり、それが餅の名にもなったと言い伝えられているそうです。 そのうちの1軒の「角屋」は、現在「伊勢角屋麦酒」として地ビールの醸造販売も行っています。お餅とビール、不思議な組み合わせに感じますが、どちらも参拝客をもてなすという思いは同じなのかもしれません。 二軒茶屋餅角屋本店 伊勢角屋麦酒 詰合セット 価格:5,896円 (2019/11/19 10:17時点) おはらい町周辺では、おかげ横丁にある「名産 味の館」などいくつかのお店で「二軒茶屋餅」を買うことができます。普段はこしあんですが私が伺った25日は月に1度のくろあんの日。戦前までは黒砂糖であんを作っており、それが復活するのが毎月25日なのだそうです。 「名産 味の館」 柔らかなお餅に香り高いきな粉をまとった「二軒茶屋餅」。25日限定のくろあんは、黒糖の風味がほんのりではなくかなりしっかり感じられます。コクがありコーヒーにもよく合いました。 賞味期限は翌日まで。食べきれない場合は冷凍保存可能です。自然解凍そのままだと少し硬かったため電子レンジ10秒だけ温めたところちょうどよい柔らかさになりました。油で揚げても美味しいそうです。 【へんば餅】馬で伊勢神宮を目指した旅人の憩いの茶屋「へんばや商店」のお餅 伊勢神宮の近くを流れる宮川は、江戸時代までは、橋が架かることなく渡し船などで往来していたそうです。 そんな宮川を渡る前に、馬などでやって来た参拝客が立ち寄る茶屋がありました。参拝客がここから馬を返して参拝したことから、いつしかへんば(返馬)餅と呼ばれるようになったそうです。 ほんのり香ばしいお餅は、米粉を使っているからかしっかりとした弾力があり食べ応えがあります。口溶けのよいしっかり甘めのこしあんとの相性がよく、食べれば旅の疲れが吹き飛ぶようです。 賞味期限はこちらも翌日まで。固くなってしまったらフライパンなどで軽く焼くと柔らかさと香ばしさが戻るそうなので、多めに買って冷凍しておくのもいいですね。 「へんばや商店」 【岩戸餅】明治から続くお土産屋さん「岩戸屋」の銘菓 明治43年(1910年)創業の岩戸屋は、お多福が目印のお土産屋さんです。 「岩戸餅」の他にも「生姜糖」や「お多福饅」などオリジナルの商品がたくさんあるので、伊勢土産を探すにはもってこいです。…
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リニューアルした京都駅チカお土産スポットをご案内してきましたが、最後にご紹介するのは「京都駅前地下街 ポルタ 東エリア」です。 ポルタはバス乗り場の真下に広がる地下街で地下鉄やJRともつながっているため、乗り換えなどのちょっとした時間に買い物するのに便利です。 以前から東エリアにお土産物コーナーはありましたが、いかにも観光客向けで普段は足が向きませんでした。 しかし2018年3月のリニューアルでおしゃれなショップも増え、ついつい立ち寄りたくなるスポットに生まれ変わりました。 お土産にも日常使いにも便利な「京都駅前地下街 ポルタ 東エリア」 すっかりおしゃれになりましたが、「京名菓」コーナーでは生八つ橋等の和菓子や漬物・佃煮・お茶など、定番のお土産がしっかりそろいます! リニューアル前からあった人気の阿闍梨餅も、もちろん引き続き購入可能です。 「京せれくと」は京都スイーツを集めたセレクトショップです。 地元京都の厳選スイーツが並び、京都駅ではここでしか購入できない商品も多くあるので要チェックです。 京都で味わう本格派フィナンシェ「KYOTO FINANCIER GION SAKAI」 京都らしい風情あふれる祇園の花見小路沿いに店を構える「洋菓子ぎをんさかい」。 そこで一部のお得意様だけに別誂えで作っていたフィナンシェを一般に解禁し、専門店にしたのが「KYOTO FINANCIER GION SAKAI」です。 本来のフィナンシェを忠実に作りたいという思いから生まれたオリジナルフィナンシェは、小麦粉を使わずアーモンドの粉末のみを使用して焼き上げられています。 シチリア産とカリフォルニア産の2種類のアーモンド粉末を使っているそうで、心地よい歯ざわりと口どけの良さを楽しむことができます。 当日焼き立ての商品は1つから購入可能です。日持ちは翌日までと短いですがお好きな数を買うことができるので、自宅用や気軽なおもたせなどにも重宝します。 すぐに食べると伝えれば簡単な包みで渡してくれるので、表面のサクサク感がほんのり残る焼きたてを食べ歩きで味わうこともできます。 ダブルの抹茶が香るKYOTO FINANCIER GION SAKAI「フィナンシェ…
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旅先で見たことのないお菓子に出会うと心ときめきます。しかも地元で長年愛されているとなれば美味しいに違いありません。でもいきなり箱で買うのは不安なので、少しの量を試しに買いたい!そんな希望に応えてくれる「おみやげ小路 京小町 」が2018年10月、京都駅中央改札を出てすぐ左側にオープンしました。 「京都のホンモノをお気軽にお求めいただける京土産売場」がコンセプトなだけあって、老舗の商品を少量から購入できるので、ちょっとずついろいろ試してみたい方や、たくさんの人に少しずつのお土産を買いたい方にぴったりのお店です。 「京の和菓子 のれんめぐり」で老舗の味を手軽に味わう 店に入るとまず目に入るのが、おみやげ小路 京小町南館限定「京の和菓子 のれんめぐり」です。伝統ある京の和菓子のおいしさをもっと知って欲しいと、老舗の若手後継者たちが企画したそうです。 一店一店のれんをくぐって買い求めるイメージで、パッケージは老舗の御紋を染め抜いたのれんデザインに統一されています。1つが300〜500円程度で購入できるので、ちょっとしたお土産に最適です。 お饅頭や生八つ橋、飴に豆菓子とバラエティー豊富な品揃え。 何を買おうか迷ってしまいますが、ときどき無性に食べたくなる「蕎麦ぼうろ」を買うことにしました。 蕎麦の香ばしさがクセになる「丸太町 かわみち屋」の「蕎麦ぼうろ」 ぼうろといえば、多くの人が子どもの頃よく口にした「たまごボーロ」を思い浮かべるかもしれません。「たまごボーロ」も「蕎麦ぼうろ」も、元をたどれば室町末期にポルトガル人により伝えられた南蛮菓子に行き着きます。 当時は小麦粉に砂糖を加え練って焼いたものでしたが、ここに鶏卵を加え、蕎麦の野趣味あふれる香りを生かすよう焼き上げたのが「蕎麦ぼうろ」です。梅の花の形がかわいらしく、これも長年愛される理由かもしれません。 いつまでも飽きのこない素朴な味わいとカリカリとした食感。クッキーなどの焼き菓子よりは堅めながら口どけがよいので、ご年配の方へのお土産にもおすすめです。 スモーキーな香りが特徴の京番茶と良く合うので、一緒に買って帰ってほっこりとしたお茶の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。 丸太町 かわみち屋「蕎麦ぼうろ」と総本家 河道屋「蕎麦ほうる」 実は「丸太町 かわみち屋」と「総本家 河道屋」でほぼ同じものが作られている「蕎麦ぼうろ」。ちなみに「総本家 河道屋」では「蕎麦ほうる」の名前で売られています。 店名の読みが同じ「かわみちや」でパッケージもよく似ているので、恥ずかしながらこれまで2つのお店で出しているとは気づかずにいました。もしかしたら「蕎麦ぼうろが食べたい!」と思いながら買っていたのは「蕎麦ほうる」だったかもしれません。材料は同じですが味や食感に多少の違いがあるそうなので、一度食べ比べをしてみなければ。 「総本家 河道屋」からのれん分けしたのが「丸太町 かわみち屋」とのことですが、その二つの商品がこうして肩を並べて共存しているところにも、京都らしさを感じます。 丸太町…
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「鳥羽マルシェ」は伊勢のお土産スポット&ビュッフェレストラン 市内全域が伊勢志摩国立公園内にあり、風光明媚な景色やレジャー、グルメなどが楽しめる三重県鳥羽市。飼育種類数日本一を誇る「鳥羽水族館」や、島全体が真珠のテーマパークとなっている「ミキモト真珠島」など、外せない観光スポットがたくさんあります。 観光前にまずは腹ごしらえ! という時は、地元の食材が味わえる「鳥羽マルシェ」がおすすめ。「鳥羽マルシェ」は、地域が誇る海産物や農作物の産直市場と、郷土食を中心とした地産地消ビュッフェレストランです。 「鳥羽マルシェ」は駐車場はないので、電車がおすすめ! 農協と漁協がタッグを組んで運営している鳥羽マルシェ。このような形態のお店は全国的に見ても珍しいことだそうです。でもそのおかげで新鮮な野菜と海産物を一緒に手に入れることができるのです。 直売所や道の駅などは車でないと行きづらい所が多いですが、「鳥羽マルシェ」はJR・近鉄の鳥羽駅から徒歩約2分! 電車旅でも気軽に立ち寄ることができます。駐車場はないので、車で訪れる際は近隣駐車場を利用します。すぐ隣にある佐田浜第一駐車場は、1時間まで無料で停められます。 建物の外には自由に入れる足湯もあって、のんびり旅におすすめのスポットです。 「鳥羽マルシェ」のビュッフェレストランは予約がおすすめ! 旅行前、鳥羽水族館近くでランチを食べらるお店を探していたところ、「鳥羽マルシェ」のビュッフェレストランを発見! すぐさま電話予約を入れました。 予約は11:00~11:15までに入店できる場合にのみ可能です。その時間には来られないときや予約人数が上限に達した場合は、直接来店してウェイティングシートに記名します。直売所が開店する10:00以降は、レストランオープン前でもウェイティングシートに記名できます。口コミサイトを見ても人気店のようなので、前もって予約したほうがよさそうです。 到着したのは10:50頃。直売所は買い物客と、レストランの開店を待つ人とでで賑わっていました。 オープン時刻になると予約した方から名前を呼ばれ、会計を済ませたら60分間食べ放題のスタートです。 この日は事前に予約した人と11時までにウェイティングシートに記名した人だけで8割ほど席が埋まっていました。1月下旬の平日でこの程度なので、週末や夏休みなどはもっと混むのでしょう。 「鳥羽マルシェ」では月替わりで季節の料理がいただけます ビュッフェメニューは月替わりで、デザートも含め約25種類ほどあります。 また、プラス料金でオプションメニュー(このときは10食限定加茂牛ハンバーグ)をオーダーすることもできます。 地魚のマヨソース炒めや穴子ご飯などの魚介メニュー、わさび菜のかきあげやふろふき大根などの野菜メニュー、鳥羽市加茂地区で飼育されている加茂牛を使ったカレーやオムレツ、ミートソースとバラエティー豊富な料理が並びます。 メニューからも鳥羽市は食材に恵まれた土地であることがわかります。 お米は鳥羽志摩産特別栽培米コシヒカリの「珠光(たまひかり)」を使用。ピザには三重産小麦を使い、トマトも地元のものを使うなど、地産地消への強いこだわりを感じます。 数あるメニューの中でも、この土地ならではと感じたのがわかめのしゃぶしゃぶです。生わかめを軽くしゃぶしゃぶしたら、もみじおろしとポン酢でいただきます。 香りが良く柔らかいのにシャキシャキ! 乾燥わかめではこうはいきません。 彩りがきれいな「てこね寿司」は赤身の刺身を醤油に漬け込み、寿司飯と一緒に食べる郷土料理です。漁師が仕事の合間に食べていたのが起源なのだとか。 刺身に味がついているので、海鮮ちらしより食べやすく見た目も華やか。家でも真似したくなるメニューです。 また、牡蠣グラタンや穴子飯などボリュームのあるメニューもあるので、食べ盛りの子どもを連れての家族旅行にもちょうどいいですね。 直売所でさばいてもらった伊勢海老を持ち込める!ビュッフェレストラン 1人1皿限りですが、新鮮なお刺身も食べられます。日によって魚の種類が変わるそうで、この日はイナダでした。1皿に5切れなので、海鮮をお目あてに鳥羽を訪れた方にはちょっと物足りないかもしれません。…
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伊勢名物といえば絶大な知名度を誇るのが「赤福」。しかしそれ以外にも歴史のある餅菓子がたくさんあります。 今も昔も伊勢参りの楽しみはやっぱり「赤福」 2000年もの歴史を持つ伊勢神宮。 「お伊勢参り」として庶民が伊勢へ参拝するようになったのは、五街道などの交通網が発達した江戸時代のこと。「一生に一度はお伊勢参り」と言われるほど大ブームだったそうで、年間何百万人もの人が参拝に訪れたのだとか。 旅の楽しみの大きな割合を占めるのがご当地グルメです。今と違い徒歩で伊勢神宮を目指した当時の参拝客は、手軽に食べられて腹持ちのよいお餅を好んで食べたそうです。 そのため桑名から伊勢までの参宮街道沿いにはいくつもの名物餅が生まれ、別名「餅街道」と呼ばれるようになりました。 古くからお伊勢参りの旅人にとって、道中の茶店でほっと一息憩い楽しむ名物餅は、お腹と心を満たす格別なものだったのでしょう。 お伊勢参りに行ったら寄っておきたい「赤福 本店」 伊勢神宮 内宮宇治橋前から五十鈴川沿いに続く「おはらい町」は内宮の鳥居前町として栄えてきました。石畳の通り沿いにお伊勢さん特有の建物が軒を連ね、風情ある街並みに旅行気分がくすぐられます。 その中でもひときわ目を引くのは、伊勢らしい切妻屋根と正面に掲げた大きな看板の「赤福」の金文字。 そう!「赤福本店」です。 赤福は1707年創業。現在の赤福本店の建物は1877年に建てられたそうです。 赤福本店では店内で赤福を作る様子も見ることができます 歴史を感じる店内に入ると、番茶のこうばしい香りが鼻をくすぐります。 会計を済ませ奥に進むと「餅入れさん」と呼ばれる女性職人が一つ一つ赤福を作るところを見ることができます。ひとりが均等に餅を丸め、もうひとりがあんをのせ、指先で筋をつけて形を整えます。その独特の形は、伊勢神宮神域を流れる五十鈴川のせせらぎをかたどっており、あんにつけた三筋の形は清流、白いお餅は川底の小石を表しているそうです。 さらに奥に進むと畳敷きの座敷と五十鈴川に面した縁側があります。好きな席に着いて赤福が運ばれてくるのをを待ちます。 作りたての赤福と番茶のメニューはたった税込210円 まもなく運ばれてきたのは、番茶と赤福2つ。これで税込210円です。 観光地にも関わらず、この価格でお菓子とお茶がいただけるとはなんとも良心的です。 作りたての赤福はモチモチやわらか! たっぷりのこしあんは切れの良い甘さなので、伊勢うどんでお腹いっぱいだったのに2つともペロリと食べてしまいました。 お土産でもらった赤福もおいしいですが、情緒ある本店でいただく作りたての赤福は格別です。 本店では赤福のみの取り扱いですが、すぐ向かいにある別店舗やその他直営店などでは冬は赤福ぜんざい、夏は赤福氷や冷やしぜんざい等季節メニューも楽しめます。 賞味期限は夏は2日・冬は3日が目安 赤福が伊勢土産と知ったのは、大人になってからかもしれません。それまでは漠然と「名古屋より西のほうのお土産」と思っていました。 私がぼんやりとしていたのかもしれません。しかし赤福は、新大阪駅で大阪らしい商品を押しのけてお土産売上上位に入るそうなので、「名古屋より西のお土産」というくくりはあながち間違いではありません。 これほど広い範囲で一社の単一商品がお土産として定着しているものは珍しいのではないでしょうか。大阪で売れている赤福は、もちろん京都でも購入できます。赤福のホームページによると賞味期限は夏は製造日共2日、冬は製造日共3日と短めなので、お土産で渡す場合はご注意ください。 夏期(5月中旬~10月中旬)は製造日共2日間、冬期(10月中旬~5月中旬)は製造日共3日間です。…