おいしいもの巡り

自分好みの味を見つけるわくわく感 マイ七味唐辛子を作ってみよう

料理にアクセントと風味をプラスしてくれる七味唐辛子。地域やメーカーによって辛さや味わいに違いがあるので、お気に入りの七味唐辛子がある方もいるのではないでしょうか。今回は辛いのが好きな方も、辛いの苦手な方もきっと気に入る自分だけの七味唐辛子作りに挑戦してみました。

七味唐辛子の七味とはどんなもの?

ご家庭の食卓に七味唐辛子はありますか? 1つだけでなく何種類かあるという方も少なくないのではないでしょうか七味唐辛子は唐辛子をはじめ7種類の香辛料をブレンドした、日本ならではの香辛料です。

七味唐辛子に使われることが多いのは以下の香辛料です。

唐辛子白ごま/黒ごま生姜
陳皮麻の実青のり
柚子けしの実紫蘇

七味唐辛子の調合は「二辛五香(にしんごこう)」が基本です。辛味の香辛料2種類香りの香辛料5種類を組み合わせてブレンドするという意味ですが、もちろんお好みに合わせてアレンジもできます。

関東と関西の七味唐辛子には違いがあります

市販されている七味唐辛子は、ざっくりと関東タイプと関西タイプに分けられます唐辛子の辛さと香りを重視する関東タイプに対して、関西タイプは山椒の辛さと香りを好む傾向があるのだとか。

そのため、関東タイプの七味唐辛子は赤みも色合いも濃くお蕎麦のつゆのような濃口の醤油味に合うよう、風味と辛味を強調したブレンドになっていることが多いです。

関西タイプの七味唐辛子は、薄口醤油に昆布やかつおのだしが効いたうどんつゆに合うよう、香りを重視した配合になっています。

七味唐辛子というのは関西風の名前で、関東では七色唐辛子(なないろとうがらし)とも呼ばれていたそうです。

もちろん地域だけでなくメーカーによっても辛みや風味が異なり、どんな料理に合わせることが多いのかによっても自分に合う七味唐辛子は違ってきます

七味唐辛子は漢方薬をヒントに開発 別名は「薬研堀」

今では食事のスパイスとしての役割がメインとなった七味唐辛子。その始まりは江戸時代で、1625(寛永2)年に両国薬研堀で創業した「やげん堀」の中島徳右衛門が漢方薬の知識を活かして開発し、販売を始めたと言われています。

将軍徳川家光に七味唐辛子を献上して気に入られ「德」の字を賜ったことから、「徳」右衛門と名乗り、ロゴにも「山德」の称号が掲げられています。1943(昭和18年)に現在の浅草新仲見世に移転しましたが、10代に渡って中島家が営んでいます

七味唐辛子の元祖でもある浅草の「やげん堀」長野県・善光寺の門前に店を構える「八幡屋礒五郎」京都府・清水寺の門前の「七味家」と共に日本三大七味唐辛子の1つと言われています。

東京浅草「やげん堀」
唐辛子、焼唐辛子、黒胡麻、山椒、陳皮、けしの実、麻の実
2種の唐辛子で辛さに深みを出し、香り高い山椒や胡麻の風味が特徴
長野善光寺「八幡屋礒五郎」
唐辛子、山椒、生姜、麻種、ごま、陳皮、紫蘇
辛味と香りの調和のとれた独特の味わい
京都清水「七味家本舗」
唐辛子、山椒、麻の実、白ごま、黒ごま、青のり、青紫蘇
唐辛子の他は香りを持った素材を使うことで香りが際立ちます

それぞれ特徴が異なり、どのお店にもそれぞれの「七味」があります。辛みを強くしたり抑えたり、柚子の配合を変えた七味や洋食にも合うように調合した七味など、実に奥深い楽しみ方ができます。

辛みと香りの「二辛五香」を意識したオリジナル七味

七味唐辛子の基本である「二辛五香(にしんごこう)」に従って調合していきましょう。それぞれの風味や特長、期待できる効果をご紹介します。

「辛み」

・唐辛子 辛味だけをプラスしたい時に。食欲増進や血行促進、発汗作用による脂肪燃焼効果

・山椒 サンショオールという辛み成分で舌が麻痺したようになることも。胃の調子を整え消化不良の改善や食欲増進

・生姜 辛み成分はジンゲロール。血行促進作用や体を温める働きがあり、胃腸の働きを助ける効果も。胃への刺激が強いので食べ過ぎには注意

「香り」

・けしの実 ポピーシードとも呼ばれるナッツ類の一種。ミネラルやビタミンを含み、カルシウムや鉄分も豊富食物繊維が腸の働きを整え便秘を解消

・青のり 風味が豊かで旨味が強く、口溶けもなめらか。栄養豊富で少量でも存在感があります。

・ごま(白・黒) 必須脂肪酸のリノール酸やオレイン酸が豊富で、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれています。抗酸化作用やコレステロール値の改善、便秘の改善

・陳皮(みかんの皮) 古くから漢方として使われ、のどの炎症やせき・痰、胃腸のトラブルにも。ヘスペリジン(ポリフェノールの一種)が豊富。

・柚子 ビタミンCやリモネン、ヘスペリジンなどを含む。胃の不快感を和らげたり、せきや痰を抑える。香りがよく柚子を多めに配合した七味も高い人気。

こうして材料を見てみると「意外と身近な材料だな」と感じたのではないでしょうか。今回私が買い足したのは「けしの実」「青のり」「唐辛子」の3種類。ごく普通のスーパーでも青のり山椒生姜パウダーは売られてますし、「けしの実」はネットで少量を買うことができます

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陳皮柚子は、普段食べているみかんや柚子の皮を乾燥させ、フードプロセッサーなどで細かくすれば作れます

材料さえ手に入れば、あとは混ぜ合わせるだけでできあがります。

七味を調合して2種類のオリジナル七味のできあがり

まずは基本の七味唐辛子の調合について知っておきましょう。完成品が小さじ5〜6になるようにすると作りやすく使いやすい分量になります。

【基本の調合】

材料分量
唐辛子小さじ3
山椒小さじ1/4
ごま小さじ1
けしの実小さじ1/4
青のり小さじ1/2
陳皮小さじ1/2
麻の実小さじ1/4

参照:戸板女子短期大学

「麻の実」は、鉄、銅、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルや食物繊維などが豊富必須アミノ酸が9種類も含まれたスーパーフードです。「ヘンプシード」「麻子仁(ましにん)」とも呼ばれ、古くから漢方薬として使われてきた大麻草の果実です。

種子は「大麻」に該当しないため所持していても法律的に問題はありません。海外では法規制の対象となっているところもあることから、輸出されている七味唐辛子には麻の実使われていません

麻の実は少し手に入れにくいこと、頑張って粉砕しても実が大きく食感が気になるという声もあることから、今回は麻の実は使わずに七味唐辛子を作ることにしました

【オリジナル七味】

材料分量
唐辛子小さじ2
山椒小さじ1/2
白ごま小さじ1
けしの実小さじ1/3
青のり小さじ1/3
陳皮小さじ1/2
柚子小さじ1/2

基本の調合と比べると、唐辛子を控えめにして山椒を増やし陳皮と柚子で香りをアップさせました。

うどんや蕎麦、豚汁や味噌汁などの汁物から、丼ものから焼肉までどんな料理にもよく合います。振りかけるだけで味変でき、マヨネーズとの相性も抜群です。混ぜ合わせればディップソースやドレッシングのようにも使えます

【ゆず七味】

材料分量
唐辛子小さじ2
山椒小さじ1/4
白ごま小さじ1
けしの実小さじ1/4
青のり小さじ1/2
陳皮小さじ1/2
ゆず小さじ1
生姜小さじ1/4

オリジナル七味と同じく辛みを抑えて生姜をプラス青のりを増やして香りと風味が豊かになるようにしてみました。

できあがったゆず七味をチーズトーストにかけてみました。ふわっと柚子の香りが広がったあと、青のりの香りが食欲をそそります。ピリッとした辛さがありますが、チーズにもよく合いいいアクセントになってくれます。

これまで食事では七味唐辛子を使うことはなかったのですが、マイ七味唐辛子を作ってからは「ちょっとかけてみよう」と和食でも洋食でも試しにかけてみています。香りがとんでしまわないよう密封できる袋に入れて保存し、早めに使い切るようにしましょう。

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旅する食卓編集部
「食べることを通じて、まるで旅に出たような新しい発見や楽しさを届けたい!」と願う編集チームです。国内外のご当地料理や、現地の風景や文化を感じられるグルメ情報、そして旅先の味をおうちで楽しめるレシピなどを親しみやすくご紹介しています。