日本のローカルフード

こちらが元祖!沼田のみそパン発祥の店 シャロン伏見屋の「元祖みそパン」

以前ご紹介したフリアンパンの「みそパン」が大好きで、すっかりその魅力に魅了されてしまった私。しかし、群馬県沼田名物である「みそパン」は、フリアンパンだけではないという噂を聞きつけ、もう一軒気になっていたお店へ向かいました。

それが、沼田市にある「シャロン伏見屋」。高崎市や銀座でも購入できるフリアンパンとは異なり、シャロン伏見屋は沼田市まで足を運ばなければ味わえない、まさに知る人ぞ知るご当地パンなのです。

フリアンパンとはどのような違いがあるのか、期待に胸を膨らませて、いざ実食!

まんじゅう屋からパン屋となった伏水屋

2016年の大河ドラマ「真田丸」で、真田の里としてさらに広く知られるようになった群馬県沼田市。都内から約2時間ほどの場所にあり、人口は群馬県の市の中でも一番少ない、山に囲まれた静かな場所です。

シャロン伏見屋は、沼田市内では最も歴史あるパンの製造・販売店。江戸時代中期に越後商人の初代 ・伏見屋八郎左エ門氏が沼田へ移住し、伏見屋商店を創業したのが始まりです。代々沼田城の城下町で商売がえをしながら、幕末または明治初期の頃には12代目が饅頭店を始め、焼きまんじゅうの元祖である 「酒種仕こみのまんじゅうの素」を開発しました。

 昭和初期まではまんじゅう店として営業していましたが、パン製造としては2代目の14代目が戦後の食生活の変化を感じたことで、まんじゅう製造からパン製造へ本格的に転向させました。1949年に沼田市西倉内町に「伏見屋ベーカリー」を開店させ、あたたかみのある自家製のパン生地がおいしいと地元の人気パン店になりました。

そして約50年前、昭和40年代に郷土食「おやき」をヒントに「元祖みそパン」が生まれました。みそとパンという意外な組み合わせが評判となり、予想以上の大ヒット商品になりました。伏水屋は時代に合わせて商売を変化させながら、長い歴史の中で地元の方々に愛されてきました。

家庭的な雰囲気が魅力のシャロン伏水屋

シャロン伏見屋は、JR上越線沼田駅から約700m、関越バスで沼田局前で降りたらすぐです。関越道沼田インターから国道120号線を月夜野(みなかみ)方面へ約10分、沼田郵便局や沼田市中央公民館の近くにあります。沼田城があり、同じく地元で親しまれている郷土食・焼まんじゅうのお店なども並ぶ城下町の雰囲気も感じられます。表町商店街の中にあります。

商店街沿いには赤や青ののぼりが立てられいて「天空の城下町 真田の里 上州沼田」の文字と一緒に六文銭が描かれています。

シャロン伏見屋の前には「元祖みそパン」ののぼりが立てられ、店の窓には「元祖伏見屋のみそパン」と大きく書かれています。そしてドアには「マーブルターツあります!」と貼られています。貼り紙を見てしまうと、みそパンと同じくらいマーブルターツも気になってしまいます。

シャロン伏見屋の店内へ入ると、一番先に目に入る場所には大きなポップで「沼田名物」と書かれたマーブルターツが置かれています。そして大きなポップが置かれ、トレー2つ分と一番スペースを取って置かれているのが「元祖みそパン」です。他にもカレーパン、アップルパイ、メロンパン、あんパン、チョコチップ、ぶどうパンと、どこかホッとするような懐かしさのあるパンも並んでいます。

トレーとトングが置かれていて、お好きなパンを選んでレジに持っていくスタイル。レジへ持っていくと、お会計をしながら「固くなってしまったらレンジで温めるとまたおいしく食べられますよ」を教えてもらえました。近所にあったらうれしいな、と感じさせてくれる温かい雰囲気です。

シャロン伏水屋の元祖みそパンとマーブルターツ

シャロン伏見屋の元祖みそパンは、女性の手のひらにぴったり乗るサイズ。小さめとまでは感じないちょうどいい大きさです。こんがりと焼かれたパンは甘い香りがします。

元祖みそパンの中を開いてみると、しっかりと濃い色をした特製みそが入っています。この特製みそは黒糖入り、だから特製みそに負けないコクがあります。香ばしく柔らかいパンとの相性もよく、小麦の優しい味にあまじょっぱいみそがたまりません。

フリアンパンのみそパンと比べると、シャロン伏見屋の元祖みそパンより焼まんじゅうに近い素朴な風味です。どちらもおいしいけれど、個人的には元祖みそパンの素朴さが好きです。

一方、元祖みそパンと並びシャロン伏見屋の看板商品となっているマーブルターツ。しっとりとしたカステラ生地にココアパウダーを混ぜ、表面はマーブル状になっています。そこに入っているのは、爽やかな酸味のあるあんずジャム。三角形にカットされたマーブルターツはレトロな雰囲気。3つに切って食べましたが、やや重めのしっとりとした食感はおやつにぴったり。大人が食べてもちょうどいい甘さなので、ちょっとしたおみやげにもいいですね。どことなくおしゃれに見えるのもポイント高いです。

地元高校の購買でも大人気、販売イベントではほとんど完売してしまうほど大人気のパンというのも納得です。高校生だったら毎日でも食べられるな、と思ってしまいます。「もうないの?」と聞かれるほど我が家の子どもたちもお気に入りでした。

今では「沼田で生まれ育った誰もが食べる」という、郷土の味となった元祖みそぱん。新聞や雑誌、SNSなどで紹介されはじめると、群馬県内だけでなく全国にもその存在を知られるようになりました。関東近郊からだけでなく、青森県や広島県などの離れたところから買いに行かれる方もいるとのこと。

シャロン伏水屋のHPでは、通信販売も受け付けています。注文や商品のお問い合わせは電話またはシャロン伏水屋のHPにある専用お問い合わせフォームからどうぞ。

また、シャロン伏水屋のInstagramで道の駅やマルシェなどの出店予定を確認することができます。沼田市近郊が多いようですが、お近くに行く予定があればぜひこちらもチェックしてみてください。

せっかくならみそパンだけでなくぜひマーブルターツも一緒に食べて欲しい! こうしている間にもあの味を思い出してしまい、おなかが空いてきました。シャロン伏水屋の元祖みそパンもマーブルターツも、家族や友だちに「これおいしいから食べてみて」とおすそ分けしたくなります。大切な人を思いながら、または大切な人と一緒に食べたくなる、そんなあたたかい気持ちになれるパンです。

ABOUT ME
ひがのあや
東京都品川在住。小学生の2人の子供を育てながら、ファッション・グルメ・トラベル系のWEBライターとして取材・ライティング・リサーチ業務を行う。長いお休みには国内旅行で美味しいモノを食べ歩き、普段は時間があればアンテナショップやデパ地下を巡っている。