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醤油の原材料表示の謎を紐解く ~その2:脱脂加工大豆と遺伝子組み換え表示~

私たちの毎日の食事に欠かせない調味料・醤油。「その1:なぜ小麦が必要なのか?」に続き、改めて醤油の原材料表示にまつわる疑問を考えていきたいと思います。

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脱脂加工大豆って何?

醬油の原材料を見ていると、「大豆」と書かれている場合と「脱脂加工大豆」と書かれている場合があります。脱脂加工大豆を原料にした醤油は、醤油全体の7~8割を占めるほどです。でもこの漢字6文字だけでは、あまりイメージがつかないですよね。

脱脂加工大豆は、「脱脂」つまり大豆の中の油分を抜いて「加工」された後の「大豆」という意味です。大豆から取れる大豆油はサラダ油に使われるなどしており、その絞りかすである大豆を醤油の原料として安く仕入れ、醤油の原材料として二次利用しているということです。

もともとは大豆丸ごと使って醤油が作られてきましたが、第二次世界大戦の前後、食糧難の時代に乏しい資源を有効活用すべく、脱脂加工大豆を原料として使い始めたそうです。ただ最近はやはり丸大豆のほうがまろやかで美味しいというニーズが高まり、CMでも盛んに丸大豆しょうゆを見かけるようになりました。

ちなみに丸大豆というのは、大豆の種類ではなく「大豆丸ごと」だから丸大豆と呼ぶんだとか!これもワタクシ勘違いしていました。

大豆と脱脂加工大豆で作られた醤油は何が違うのか?

では丸大豆しょうゆと、脱脂加工大豆のしょうゆは何が違うのでしょうか。

分かりやすいポイントとしては、脱脂加工大豆は仕入コストが低いため、丸大豆しょうゆよりも安い価格で販売されています。

それからもともと醤油作りに必要なのは大豆のたんぱく質が主であって、大豆の油分ではないこともあり脱脂加工大豆が使えるのですが、反面その油脂が酵素の働きにより「グリセリン」と「脂肪酸」に分解されることで得られるメリットもあるのです。

まずグリセリンは上品な甘みをもち、しょうゆの味を良くする効果があります。脱脂加工大豆の場合でも、麹菌や酵母がグリセリンを作り出すのでないわけではないのですが、やはり丸大豆のほうがグリセリンの量が多いため、味がまろやかになるのです。

また脂肪酸は不溶性(水に溶けない)ため、丸大豆しょうゆの場合でも「しょうゆ油(あぶら)」として捨てられるのですが、香りの一部成分がこのしょうゆ油に移るため、丸大豆しょうゆの方がマイルドな香りとなります。

また脱脂加工大豆の醤油には、原材料にアルコールが添加されていることが多いことと、産地表示がないことも個人的には気になります。

産地については、脱脂加工されている時点で産地表示義務がないのですが、大豆の国内自給率の低さと外国産大豆の油分が多い特性から推察するに、十中八九外国産大豆だと考えるべきでしょう。

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醤油が遺伝子組み換え表示対象外なワケ

醤油は、大豆製品であるにも関わらず、遺伝子組み換え表示義務の対象外です。

これはなぜかというと、例え遺伝子組み換え大豆であっても、その大豆たんぱくは長い製造工程の間にアミノ酸やペプチドに分解されて、醤油の中には残らないからです。

しかし日本の消費者には遺伝子組み換え食品に不安を感じる人が多いため、各メーカーは任意で「大豆(遺伝子組み換えでない)」もしくは「脱脂加工大豆(遺伝子組み換えでない)」と表示をしているケースが多いのです。

ですから、もし遺伝子組み換えに関する表示がない醤油に出会っても問題はないのですが、私自身はより自然に作られたものを選びたいと考えています。

このように一口に醤油といっても、その食品ラベルをよーく読み解くと色々な情報が見え隠れしています。ぜひ値段だけでなく、味や原材料、その製造工程などもよく比較して、納得のいく醤油を選んでくださいね。

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稗田麻衣
日本初のハラール対応レシピ専門サイト「HALAL RECIPES JAPAN」代表。食生活アドバイザー。ムスリムをはじめ、食事に制限がある人にも楽しんでもらえる日本の家庭料理レシピを研究する傍ら、和食の素晴らしさを国内外に伝える活動を展開中。また小学生2人の娘達を育てる母親として、食育を日々実践している。