見学・体験レポート

手ぬぐい片手に九湯めぐり 泉質の違いを存分に楽しむ渋温泉

秋から冬にかけての温泉は、冷えた体をじんわりと温めてくれます。
温泉街をゆっくりと散歩しながら湯めぐりを楽しむ。
湧き出たままの温泉を味わいに渋温泉へ行ってきました。

豊富な湯量と異なる泉質を楽しめる渋温泉とは

長野県の北信エリアにある、渋温泉。
100%源泉掛け流し、贅沢にも自然の恵みを全身で感じることができる温泉なのです。
地面を掘ればすぐ温泉が出てしまうほど源泉が数多く存在し、温泉王国といわれる長野県の中でもめずらしい豊富な湯量と泉質を誇ります。

渋温泉にある温泉は、100%源泉掛け流し。
それぞれの源泉によって成分が異なるため、鉄分が多く褐色を帯びた湯から白濁した湯、緑がかった湯、無色透明の湯と違いを楽しむことができるのもうれしいところ。
源泉から湧き出たままの温泉の違いをたっぷりと楽しむことができるのが渋温泉の大きな魅力です。

効能も胃腸に効く湯から美肌までさまざま。
昔ながらの温泉街をゆったり歩く時間は日常を忘れさせてくれます。

街中から温泉が湧く渋では、自家源泉や個性的な浴室をいくつも備えた宿が多くあります。
趣きある宿の湯をじっくりと味わえるのは、温泉旅行の醍醐味ですよね。
街歩きに疲れたら、足湯「のふとまる」で疲れた足をほぐすのも最高です。
温泉は大切な資源。渋の人々が大切に守り続けておられます。

訪れる人々を癒してくれる温泉ですが、渋で暮らす人々にとっても温泉は大切な生活必需品。
現に九湯めぐりをしていた際、地元の方にもたくさんお会いしあたたかく迎えていただきました。

街の地下には源泉のトンネルとパイプが張り巡らされ、温泉を利用した給湯や暖房、道路に積もる雪を溶かすロードヒーティングなど有効に活用されているのだとか。
大切な資源でもある温泉を守るため、渋の方々は源泉の整備や引湯管に沈殿する温泉成分の清掃などを行っているそうです。

渋温泉宿泊者限定で楽しめる「九湯めぐり」

九つある外湯(共同浴場)を巡るのも渋温泉ならではの楽しみです。
渋温泉の旅館に泊まらないと入れない外湯が多いので、ぜひ宿泊されることをおすすめします。

外湯の利用時間は6:00~22:00まで。
宿泊した各旅館で、外湯めぐり専用の鍵を借りて入浴します。
うれしいことに、なんと入浴は無料なんです。
宿泊しない場合でも、9番湯の大湯(10:00~16:00)のみ一人500円で入浴することができます。
その場合は、渋温泉旅館組合事務所または渋温泉駐車場で入浴券の購入が必要となります。

渋温泉の九湯めぐりは、別名「厄除巡浴外湯めぐり」とも呼ばれています。
九湯めぐりをされる際は、ぜひ各宿で販売されている「祈願手ぬぐい」をお買い求め下さい。
各湯をめぐりながらスタンプを押し、湯めぐりの最後に渋高薬師で印受すれば満願成就。
九(苦)労を流し、厄除け、安産育児、不老長寿のご利益があるといわれているそうです。
スタンプが押された手ぬぐいは、旅の素敵なお土産にもなりますね。

各湯の効能は以下の通り。
それぞれ趣の異なった温泉でとても楽しかったです。
一番湯 初湯 (効能:胃腸)
二番湯 笹の湯 (効能:湿疹)
三番湯 綿の湯  (効能:切り傷、おでき、子宝)
四番湯 竹の湯  (効能:痛風)
五番湯 松の湯  (効能:脊椎病)
六番湯 目洗いの湯 (効能:眼病)
七番湯 七操の湯  (効能:外傷性緒障害)
八番湯 神明滝の湯 (効能:婦人病)
九番湯 渋大湯  (効能:子宝、リュウマチ、神経痛)

宿泊者限定で文化財や源泉を案内してくれる「歴史の宿 金具屋」

今回宿泊したのは、渋温泉といえば必ず名前のあがる「歴史の宿 金具屋」。

昭和11年に完成した木造4階建ての「金具屋斉月楼」と「金具屋大広間」が登録有形文化財に認定されました。
金具屋の客室は全部で29室。画一的なものではなく、当時の職人がひとつひとつすべて異なる造りに仕上げられたそうです。

「歴史の宿 金具屋」では宿泊の方限定のツアーも用意されています。
毎日夕方17時半から約35分の「金具屋文化財巡り」、泉質が異なる4つの専用源泉を実際に見られる「金具屋源泉見学ツアー」が毎朝行われています。

夜ごはんと朝ごはんは大広間で頂くのですが
信州の郷土料理をはじめどれもとても美味しかったです。

「歴史の宿 金具屋」

渋温泉へのアクセス

・車の場合
関東方面から約3時間~3時間50分
関西・中京方面から約3時間50分~5時間50分
新潟方面から約2時間30分

・列車の場合
東京駅から長野駅まで北陸新幹線で約1時間20分
名古屋駅から長野駅まで特急で約2時間50分
新潟駅から長野駅まで北陸新幹線で約2時間

長野駅からは「長野電鉄」湯田中行きの特急で約50分、湯田中駅終点下車。
さらに湯田中駅より:タクシー5分。

決してアクセスが良いとはいえない場所ですが、訪れる価値はあります。

手ぬぐいを片手に外湯めぐり。
地元の方と触れ合いながら心も身体もほぐれる渋温泉にぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。

渋温泉

ABOUT ME
くろかわ まさよ
京都生まれ、京都育ち、京都在住 旅とカメラと旅ごはんが大好きで会社員として働きながら カメラと共に美味しいものを求めて旅に出る日々。 旅先で購入した食材で、お料理を作りながらいつまでも旅の余韻にひたっています。