お遣い物を買おうと、立ち寄った東京・丸の内の福光屋さん。お目当てのものを無事手にし、会計を終えたとき、ちらっと視界に入ったパッケージが心に留まりました。薄い水色の市松模様と、そこに書かれた「ライスミルク」という文字。どこかレトロでどこかかわいいパッケージに惹かれて、試しに買ってみました。でも、実はわたし、ライスミルクのざらっとした感じが少し苦手だったのですが…。さてはてお味のほどは?
ライスミルクは飲みにくい?国内市場広がり鈍く
牛乳、豆乳に次ぐ第三のミルクとして、数年前に話題になったのが「ライスミルク」。米を原料とした飲み物ですが、明確な定義はなく、製法はさまざま。国内では、米粉を糖化(酵素などによりでんぷんを糖に分解すること)させ、米本来の甘みを生かす製法が用いられているものもあります。海外製品に比べると飲みやすくはなっているのですが、それでも、米粉を原料とする製品では、後味に粉っぽさを感じるものがあったり、玄米を粉にしたものを原料とする製品では、香ばしさがある一方、苦味を伴うものもあり、飲みにくいと感じる人もいたようです。実際、「一部で注目はされたが、市場は広がらなかった」とし、2015年にライスミルクを製品化したキッコーマンは9月で販売を終えることを決定。「GEN- MY」というブランドで2014年に製品化したケイ・エス・ティ・ワールドも販売を終えています。
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そんな中で、今年3月に新たにライスミルク市場に参入したのが石川県金沢市に本社を置く「福光屋」です。説明するまでもないかもしれませんが、福光屋は1625年に創業した、金沢で最も古くからある酒蔵。1960年からは契約栽培米を用いた酒造りへの取り組みを開始するなど、原材料にもこだわった製品づくりをしています。既にブームが落ち着いたかのようにみえるライスミルク市場に、福光屋が参入した理由は何なのでしょう。
ライスミルクは「乳糖不耐症」が多い日本人に適している
まず挙げられるのは、牛乳代替製品へのニーズの高さです。日本人は欧米に比べ「乳糖不耐症」という疾患を持つ人が多く存在するといわれています。牛乳に含まれる乳糖という糖を分解する酵素活性が弱いなどの理由で、牛乳を飲むと下痢をしてしまうというものです。
またアレルギー対応としての需要もあります。「ライスミルク」には、アレルギーの表示が義務付けられる、もしくは推奨されるアレルゲン27品目が一切含まれません。この点は、牛乳代替となる豆乳と差別化を図れる部分であり、需要のある部分といえます。
甘酒市場の拡大を目指す
甘酒市場のすそ野を広げたいという狙いもあります。米と米麹から作る「糀甘酒」は同社の人気商品。かつてないほどの甘酒ブームもあり市場は広がっていますが、一方で、甘酒の粒々が飲みにくいという消費者からの声もあったと言います。
福光屋のライスミルクは、米と米麹で発酵させるという甘酒とほぼ同じ製法をとります。材料は石川県産契約栽培米「ゆめみづほ」と霊峰白山麓からの「百年水」、そして米麹のみ。米粉を溶かす方法とは異なり、発酵という過程を経るため、これまでのライスミルクにあったような独特の粉っぽさは感じません。また、原料米の品種や米と米麹の配合比率、仕上げの濃度などを工夫することにより、甘酒特有の濃厚さや粒々感のない、さらりとした風味に仕上げているのです。
>>「福光屋ライスミルク」を楽天市場で検索する >>「福光屋ライスミルク」をAmazonで検索するライスミルクは牛乳の代わりに料理にも使える幅広さ
実際に飲んでみると、「ライスミルク?」と思うほど、くせもなく、さらりと飲めます。香りは、甘酒に近いですが、もったりとした濃厚さはなく、甘酒好きのわたしからすると、少し物足りなさを感じるほどです。栄養価についても、甘酒同様、ビタミンB群や必須アミノ酸も含まれるので、今の時期、夏の暑さで疲れた体にはぴったりといえそうです。
牛乳代替として料理に使いやすいというのも福光屋のライスミルクの特徴です。特におすすめしたいのは、お菓子づくり。ホットケーキやフレンチトースト、ミルクゼリーなどでは、砂糖を入れなくても、優しい甘さでおいしくいただけます。料理としては、ベシャメルソースに使うといった方法もあります。ただ、この場合には、甘さがやや気になることもあるので、ツナやチーズといった塩分のあるものと合わせると、よりおいしくいただけるそうです。