進化する食卓

関西では大人気「ポールウインナー」が全国展開しない理由を考えてみた

兵庫県をはじめとする大阪府、京都府などの関西地方では誰もが知っているのに、全国的にはほとんど知られていない「ポールウインナー」。見た目はよくある魚肉ソーセージです。初めて見たときは「普通の魚肉ソーセージじゃないの?」と戸惑いましたが、食べてびっくり、お肉の味がするウインナーです。

「ポールウインナー」は関西では給食にもでるくらい人気

他にはない独創的なものを作りたいという思いから「ポールウインナー」は研究・開発されました。セロハンでウインナーソーセージを作ったのは伊藤ハム創業者の伊藤傳三氏が初めてでした。

当時セロハンは飴や薬などを包むのに使われていたので、その裁ちくずを適当な大きさに切りそろえ筒状になるようにのり付けして作られていたのだとか。その当時からパッケージや主な原材料はほとんど変わらず、昔ながらの味を守っています。

いつ食べても「懐かしい!」と思うのにはもう一つ理由があります。1965年から1990年代までは、学校給食でも提供されていました。「小学生の頃いつもおやつに食べていた」「冷蔵庫にはいつも入ってた」なんていう、日常に当たり前に存在しているのが「ポールウインナー」です。

公式サイトで「ポールウインナー」の目撃情報を確認できます

進学や就職で関西地方から関東など他の地方に出てから「ポールウインナーをみんな知らない!?」「ポールウインナーが売ってない!」とがく然とする方も多いのだとか。そのためか「ポールウインナー」の伊藤ハムの公式サイトでは、取扱店舗とは別に「ポールウインナーみーつけた!」というポールウインナーの目撃情報を共有できるページがあります。

これを見れば自宅近くで「ポールウインナー」を売っているお店がどこなのかすぐに分かります。コメントも一緒に投稿されているので、「ポールウインナー」を見つけた喜びと同時に「ポールウインナー」がいかに愛されているかが伝わってきます。とても見やすいのでついつい自分の家の近所を調べてしまいました。これで我が家はいつでも「ポールウインナー」を入手できます。

 

「ポールウインナー」が全国展開できない理由は?

関西地方では圧倒的な人気の「ポールウインナー」は、これまで何度も販売エリアを拡大しようと試みられてきました。メディアやネットなどで紹介される機会は増えているものの、なかなかうまくいかないのだそうです。

その理由はハッキリとは分かっていませんが、理由の一つは関東ではおなじみの魚肉ソーセージに見た目が似すぎていることでしょう。おなじみの魚肉ソーセージは直径2cmほどの太いタイプのものが多いですが、「ポールウインナー」は1cmほどと細長いタイプです。見た目がちょっと物足りなく感じさせるのかもしれません。

そしてもう一つの理由が値段です。今回私が購入した「ポールウインナー」は10本入りで494円、魚肉ソーセージは5本入りで127円でした。倍ほど値段が違うのは、一般的にはなかなか大きいのではないでしょうか。

いつも身近にある庶民的なものだからこそ、手に取ってみるまでの見た目と値段が重要なのでしょう。見た目では違いが感じられないので、なかなか買うところまでいかないのかもしれません。

でも、「ポールウインナー」は魚肉ソーセージとは全く違います

見た目がそっくりの「ポールウインナー」と魚肉ソーセージですが、実際どう違うのか食べ比べてみました。違いがよく分かるよう、魚肉ソーセージも「ポールウインナー」と同じように細いタイプのニッスイの「おさかなのウインナー」を購入しました。

「ポールウインナー」には豚肉、マトン、牛肉のほかに魚肉のたらも使われています。「おさかなのウインナー」には魚肉としか書かれていませんでしたが、魚肉ソーセージの多くはたらのすり身を使って作られています。

開け方にはどちらも違いはなく、はさみなどを使わずにぺりっと簡単に開けて食べることができます。

色はかなり違いがあります。「ポールウインナー」は肉を使っていることもありますが赤みがあり、着色料や発色剤が使われています。「おさかなのウインナー」は白に近い淡いピンク色で、クチナシやトマトリコピンで着色しています。

そして食べてみると、味は全く違います。「おさかなのウインナー」は、プリンとした歯ざわりで、あっさりとしたシンプルな味わいです。マヨネーズを付けて食べてもいいですね。「ポールウインナー」を口にしてみると、魚肉ソーセージのような弾けるような感じではなく、ハムに近い食感です。そしてどっしりとした肉の重みを感じる味がします。粒こしょうを付けて食べても美味しいワイルドな味わいなので、クセを感じる方もいるかもしれません。

我が家でも「おさかなのウインナー」派と「ポールウインナー」派できれいに分かれ、男性陣にはポールウインナーが人気でした。そのままでももちろん食べられますが、お肉の味がしっかりしているのでナポリタンなどの料理に使っても美味しくなります。

おやつはもちろん、夕食前にお腹が空いて待ちきれない子どもにもおかず代わりに渡せます。おつまみにも使えますし、あと一品欲しいと言うときにもアレンジして料理しやすい「ポールウインナー」。次回は手巻き寿司にも使ってみたいです。

伊藤ハムの「ポールウインナー」公式サイトはこちら

伊藤ハム ロイヤルポールウインナー ソーセージ 10本入

価格:398円
(2017/11/2 15:10時点)

ABOUT ME
ひがのあや
東京都品川在住。小学生の2人の子供を育てながら、ファッション・グルメ・トラベル系のWEBライターとして取材・ライティング・リサーチ業務を行う。長いお休みには国内旅行で美味しいモノを食べ歩き、普段は時間があればアンテナショップやデパ地下を巡っている。