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【ベビーフード市場】注目は高機能離乳食!サブスクやAIの活用も

近年、共働き世帯の増加や少子化、健康志向の高まりなどの影響を受け、ベビーフード市場は大きな変化を遂げています。かつては、母親が手作りするものであったベビーフードは、今では多様なニーズに対応した商品が販売され、市場規模は拡大し続けています。本記事では、ベビーフード市場の現状と課題、そして今後の展望について解説します。

【ベビーフード市場規模と成長率】ベビーフード市場規模は322億円

ベビーフードとは、乳幼児の離乳をサポートする目的で市販されている離乳補助食品のことです。日本ベビーフード協議会では、ベビーフードは「乳児」および「幼児」の発育に伴い栄養補給を行うとともに、順次一般食品に適応させることを目的として製造された食品という定義をしています。

日本ベビーフード協議会の生産統計によると、2022年のベビーフードの市場規模は前年比3.8%増の322億4500万円です。製品タイプ別でみてみると、水や湯を加えて用いる「ドライタイプ」が同12.2%増の59億980万円、調理完成品としてそのまま与えられる「ウエットタイプ」は同2.1%増の263億3600万円。またベビー飲料は同2.2%減の93億1100万円、おやつは同2.2%減の43億6200万円でした。(2024/02/07調査)


ベビーフード業界は、共働き世帯の増加や少子化の影響を受けながら、近年大きな変化を遂げています。市場全体は縮小傾向にあるものの、高付加価値なベビーフードやオンライン販売は拡大しています。

https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0374

【ベビーフード業界の主要企業】誰もが知ってる企業ばかり

ベビーフード業界の上位5社は、調査機関や調査方法によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

1. キユーピー株式会社

  • 売上高:約1,400億円(2022年3月期)
  • ベビーフード売上高:約300億円(2022年3月期)
  • シェア:約30%
  • 主力商品:キューピーベビーフード、すこやかチャップ

2. アサヒグループ食品株式会社

  • 売上高:約1,000億円(2022年3月期)
  • ベビーフード売上高:約150億円(2022年3月期)
  • シェア:約15%
  • 主力商品:ウィルキンソン タンサン ベビー、らくらくキューブ

3. 森永乳業株式会社

  • 売上高:約900億円(2022年3月期)
  • ベビーフード売上高:約120億円(2022年3月期)
  • シェア:約12%
  • 主力商品:森永乳業はいはい、ピジョン ほほえみ

4. 雪印ビーンスターク株式会社

  • 売上高:約400億円(2022年3月期)
  • ベビーフード売上高:約80億円(2022年3月期)
  • シェア:約8%
  • 主力商品:雪印ビーンスターク ベビーフード、もぐもぐ

5. ピジョン株式会社

  • 売上高:約250億円(2022年3月期)
  • ベビーフード売上高:約60億円(2022年3月期)
  • シェア:約6%
  • 主力商品:ピジョン ほほえみ、らくらくベビー

キユーピーは、国内シェア首位として離乳食初期から完了期まで幅広い商品展開をしており、アサヒグループ食品は、和光堂ブランドで有機栽培素材や化学調味料不使用の商品を人気にしています。明治は、ステップミルクや粉ミルクなど乳幼児向け食品で高いシェアを誇り、森永乳業は、ピジョンブランドで母乳実感シリーズなど機能性表示食品に力を入れています。エルビーは、有機栽培ベビーフードの先駆けとして添加物・化学調味料不使用の商品で人気を集めています。

【ベビーフードのポイント】無添加や国産食材への信頼

今後も、ベビーフード市場は、各社の競争がさらに激化する一方で、高付加価値化やオンライン販売の拡大などが進むと予想されます。

1. 機能性ベビーフードの需要増加

DHAやARAなどの機能性成分を配合したベビーフードの需要が高まっています。これらの素材は、赤ちゃんの脳や目の発達に良いとされています。また、化学農薬や化学肥料を使用していないオーガニックベビーフードの需要も高く、安全性や健康志向の高まりが背景にあると考えられます。

2. 国産へのこだわり

近年、中国産のベビーフードから農薬が検出されたという事例もあり、国産の食材で作られていることへのこだわりが高く見られます。日本の食品安全基準は世界でも厳しい基準として知られています。国産のベビーフードであれば、その基準を満たしていることが確実であるため、安心・安全に与えることができるのです。

3. 簡便性の高い商品の需要増加

共働き世帯の増加により、簡便性の高いベビーフードの需要も高まっています。温めるだけで食べられるものや、パウチに入ったものなどが人気です。少子化の影響で、個食タイプのベビーフードの需要も高まっています。少量ずつ色々な味を試せるものなどが人気です。

【ベビーフードのトレンド】注目はオーダーメイドとサブスク

一人一人の赤ちゃんにあわせたベビーフードの提供

厚生労働省の調査によると、乳児期(0~1歳)の食物アレルギーの有病率は約5~10%です。つまり、10人の赤ちゃんのうち、1~2人が食物アレルギーを持っていることになります。最近のベビーフードは、食物アレルギーを持つ赤ちゃん向けの、アレルギー対応フードも充実しています。

離乳食初期から後期まで、成長に合わせて食べられるベビーフードも増えています。最近では、赤ちゃんの体調や体質に合わせて、おすすめのベビーフードを診断してくれるAIサービスも登場しています。

ベビーフードのサブスクリプションサービスの普及

昔から、生協コープの「コープデリ」など、ベビーフードの宅配サービスはありましたが、近年、ベビーフードも宅配サービスを利用する人が増えています。また、月齢にあったベビーフードを定期的に届けてくれるサブスクリプションサービスも登場しています。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00843/00003/

ベビーフードのサブスクサービス3選

ベビーフードのサブスクサービスは、共働き世帯や、離乳食作りに時間がない人などにおすすめのサービスです。ここでは、おすすめのベビーフードサブスクサービスを3つ紹介します。

1. the kindest(カインデスト)

毎月7,000人が登録するという「カインテスト」。食事作りに追われずに、家族で素敵な時間を過ごしたいママパパと赤ちゃんのためのライフスタイルブランドです。管理栄養士監修のもと、ベビーフードだけではなく、妊娠中のママさんや、幼児食にも対応。子供と親のニーズに合わせたメニューを届けてくれるサービスです。化学調味料、着色料、保存料不使用で、安心安全をモットーにしています。

公式:カインデスト

毎月7000人登録の離乳食サブスク 子育て家庭の課題に先回り

2. ひよりの和ごはん

保育園でも離乳食を提供する栄養士を中心に、月齢に合わせた食材・形状・大きさ・分量にこだわりを持ち開発しています。湯煎をするだけの簡単な準備で、栄養バランスの取れた和食の離乳食が出来上がります。

公式:ひよりの和ごはん

3. Oisix(オイシックス)

有機野菜や無添加食材を使用したベビーフードを届けてくれるサービスです。離乳食初期から後期まで、幅広いメニューを取り揃えています。

【世界のベビーフード市場】への広がり

世界中で出生率は少しずつ低下していますが、働く女性の増加を背景に、ベビーフード業界は拡大を続けています。ベビーフードの市場規模は、2022年には約740億米ドル、2028年には約1000億米ドルに達すると予測されています。

世界のベビーフード業界には、日本のアサヒグループやキューピーコーポレーションのほか、ネスレやダノンといった世界的なメーカーが力をいれています。

特に貧困率が高いアフリカや南米では、ベビーフードが、子どもの栄養失調の問題解決につながることも期待されています。ただし北米ではベビーフードが子供の成長に及ぼす影響について懸念があることがメディアで取り上げられ、成長は鈍化しています。また、ヨーロッパも包装規制などが障壁となって伸び悩んでいます。

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旅する食卓編集部
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