おいしいもの巡り

大阪名物「うどんすき」発祥「美々卯」で味わう 絶品だしのおうどん

日本だけでなく世界中から食いだおれの街として注目を集めている大阪。「お好み焼き」や「たこ焼き」が真っ先に思い浮かびますが、実は大阪人はうどんが大好き! うどんの老舗や個性的なお店も多く、冬にはうどんがメインのお鍋「うどんすき」が存在するほど。今回は「うどんすき」の名店美々卯でうどんを堪能してきました。

大阪を中心に13店舗ある「美々卯」はどんなお店?

「美々卯」の読み方は「みみう」。美しい字面にかわいらしさのある音の組み合わせが、なんとも上品な名前です。

美々卯はかつて商業の中心地であった泉州・堺で生まれ、200年以上続く料亭でした。大正時代に心斎橋に移り、戦後間もなく現在の船場・平野町へと移りました。文楽座が境内にあったことで有名な御霊神社のすぐ裏手にあり、戦後まもない当時のままの姿が残されています。本店は2023年2月から改装のため休業しており、営業再開が楽しみです。

1973年から関東で「美々卯」を経営してきた「東京美々卯」という会社があり、かつては新宿や新橋、渋谷マークシティなどにも店舗がありました。新型コロナ禍により外出自粛の影響を大きく受け2020年に関東の全店閉店が決まりました。関東で美々卯を愛してきた天龍源一郎さんはスタン・ハンセンさんを招待したこともあるのだとか。娘の紋奈さんは渋谷マークシティ店でアルバイトをしていたこともあるそうです。全店閉店を知った時は「今後東京ではうどんすきの店には手を出さない」と話すほど強い思い入れがあったそうです。

現在の「美々卯」は新大阪やなんば、梅田や伊丹空港など大阪府内に12店舗、京都駅直結のJR京都伊勢丹百貨店と合わせて13店舗。ターミナル駅や空港など便利な場所にある店舗が多いので、観光中はもちろん旅の出発前や旅の終わりなど気軽に立ち寄ることができます。

美々卯が商標登録する「うどんすき」はどういうもの?

大阪名物の「うどんすき」ですが、関西以外ではおなじみの鍋料理とは言えないかもしれません。「うどんすき」とは、薄味のだし汁に肉や海老、野菜やきのこ、かまぼこなどの具材とうどんを煮て味わう鍋料理です。イメージとしては寄せ鍋に近いですが、あくまでもメインはうどんです。

「うどんすき」は「美々卯」が商標登録していますが、現在は普通名称化しているとのことから美々卯以外の飲食店でも「うどんすき」の名称を使うことができます。

「美々卯」の「うどんすき」は、宗田かつお節、本枯節と利尻昆布でとった贅沢なだしが自慢。ちょっと太めの手打ちうどんは煮込むほどにしなやかになり、新鮮な山の幸、海の幸との絶品ハーモニーを楽しめます。

「うどんすき」を店内で楽しむ他にも、お持ち帰りやお取り寄せもできます。店頭でもネットでも注文できますが、どちらも消費期限は当日中です。美々卯通信販では、賞味期限が出荷から30日後の「冷凍うどんすき2人前」も販売しています。美々卯までなかなか買いに行けないという方でも、食べたい時に極上の「うどんすき」を召しあがれます。

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「美々卯」店内に広がる極上だしの香りにうっとり

今回私が訪れたのは、「美々卯」発祥の地・堺市にある堺店。お店の前には天王寺駅から浜寺駅前をつなぐ路面電車が走り、阪堺線宿院駅から徒歩1分の場所にあります。表にある駐車場と裏側にある駐車場と合わせて、専用駐車場が37台分あるので車で来店することもできます。

最大48名様まで利用できる大広間や、少人数から大人数まで幅広い人数に対応できる個室もあります。お祝いや法事のような人数が多く少しかしこまった食事会もお願いでき、予約すれば無料送迎バス付のプランもあります。

今回私が予約なしで案内されたテーブル席でも、席と席の間が広くゆったりとした感じ。どの店舗にも共通していますが、年配の方や小さなお子さん連れなど、幅広い年齢の方でも安心してお食事できる空間となっています。

まだまだ暑さが残っていたお昼どき、店内には年配のご夫婦や家族連れなど4組ほど待っている状態。店内にはだしの香りが広がっているので、待っている時間以上にそわそわしてしまいます。

それもそのはず。美々卯では創業以来、どの店舗でも2時間かけてだしをとっています北海道産の利尻昆布、土佐清水産の宗田かつお節、枕崎産の本枯節からとるだしは、灰汁を取り除いて旨みを凝縮させることによって、澄んだ黄金色になるのです。手間暇を惜しまず、伝統の味を守り続けてきたからこそ、味にこだわりのある大阪でも愛され続けてきたのでしょう。

「美々卯」のランチタイムはうどんや蕎麦も人気

大阪名物の「うどんすき」はランチタイムでも注文できます。厚めにスライスされた特選牛肉を美々卯特製の出汁でさっと火を通していただく「だししゃぶ」、お造りや天ぷら、蕎麦またはうどんなど旬の食材を楽しめる「季節の御膳」、季節の料理と蕎麦・うどんを90分間食べ放題で楽しめる「にぎわい蕎麦」など豊富なメニューの中から選べます。

また「堺 みなと鍋」は堺店限定で、鍋焼きうどんと海老天ぷら、温泉たまご、なにわ寿司、デザートがセットになっています。

いつもの食事にもちょうどいい「天丼」や「カツとじ重」などもありますが、やはり人気なのは「うどん」や「蕎麦」で、ほとんどのテーブルの方が注文していました。大盛や小盛など細やかな量を調整して注文でき、単品での注文はもちろん「なにわ寿司セット」「季節ご飯セット」をつけることができます。

今回注文したのは「きつねうどんの季節ご飯セット」「鳥なんば」。かなり気温が高い日だったので、最後の最後まで冷たいうどんにするか迷いました。せっかく美々卯に来たのだからやっぱりあのおいしいだしを味わいたいと思い、温かいうどんに決めました。

ようやく注文を終えてお品書きを閉じると、かわいらしいうさぎに目が留まりました。お茶碗やおしぼり、割り箸にもうさぎが描かれ、、爪楊枝入れはかわいいうさぎ型の陶器になっていました。

10分ほどでテーブルにやってきたあつあつの「きつねうどん」には、手のひらほどの大きさのふわふわのお揚げが2枚乗っています。極めてシンプルな見た目ですが、だからこそそれぞれのおいしさが引き立つというもの。お揚げにかぶりつくとだしがたっぷりと染み出し、口の中だけでなく身も心もだしのうまみで満たされます。

「季節ごはんセット」はたこを使った季節ご飯ささみときゅうりの小鉢香の物デザートのわらび餅。どれも夏らしくさっぱりとした口当たりです。

「鳥なんば」は鶏肉とたっぷりの白ねぎが入ったうどんです。きつねうどん同じく麺は少し太め、もっちりしながら歯切れのよさがある大阪らしいうどんです。うどんだしに鶏肉とねぎの風味が加わり、最後まで飲み干したくなるおいしさです。

周りの席を見てみると、半数以上の席からほわっと湯気がのぼっているのが見えます。ランチタイムということで、「うどんすき」よりも「温かいうどん」を召し上がる方が多いようでに見えました。

うどんと同じくらい人気だったのがお蕎麦。うどんのイメージが強い「美々卯」ですが、実はお蕎麦にもこだわっています。北海道の契約農場だけでなく、年間を通して良質な玄蕎麦を仕入れています。石工房の石臼で毎日ひいて店舗に届け、料理人の手で麺にするという徹底的ぶり。次回はお蕎麦を頼んでみたいけれど、やっぱりうどんも食べたいと迷ってしまうんだろうな。

「美々卯」のうどんも蕎麦も

家族や親戚、友人が集まることの多い年末年始。年末お届け用の冷凍うどんすきの注文は、2024年11月1日から受注開始とのこと。「うどんすき」をまだ食べてみたことがないという方も、おいしい年越し蕎麦をお探しの方も、なかなか店舗に行けない方も「美々卯」の通信販売を試してみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
ひがのあや
東京都品川在住。小学生の2人の子供を育てながら、ファッション・グルメ・トラベル系のWEBライターとして取材・ライティング・リサーチ業務を行う。長いお休みには国内旅行で美味しいモノを食べ歩き、普段は時間があればアンテナショップやデパ地下を巡っている。