進化する食卓

白味噌から八丁味噌まで、多種多彩な味噌の種類

私達日本人の食卓に欠かせない味噌。お味噌汁はもちろん、味噌煮込みや味噌漬け、味噌田楽など、味噌を使った料理はたくさんあります。皆さんのご家庭にも、1つは味噌があるのではないでしょうか。

そんな味噌は、地域によって原材料はもちろん、色や香り、食感、味わいが全く違う多様性を持っています。ここでは味噌の種類について、分かりやすくご紹介しましょう。

 

味噌の違いは麹にあり!

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味噌の原材料をご存知ですか?大豆、麹、食塩のたった3つから味噌は出来ます。とってもシンプルなんですね。このうち麹とは、蒸した「米・大麦・大豆」に「麹菌(こうじカビ)」を繁殖させたもので、何の麹を使うかによって、味噌の種類が変わってくるのです。

米麹を使えば米みそに、大麦麹を使えば麦みそに、そして大豆麹を使えば豆みそになります。

このように、味噌はまず大きく3種類に分類できると覚えておきましょう。

 

一番メジャーな米みそも、地方によって全く違う!

皆さんのご家庭の味噌の食品表示ラベルを見てみてください。そこに「大豆、米、塩」とあればそれは米麹から出来た米みそです。米みそは、日本で最も多く生産されている種類の味噌で、北は北海道から南は中国・四国地方まで、幅広く生産されています。有名なところだと、仙台味噌・信州味噌のほか関西の白味噌も米みそです。

 

こう書くと、「え、仙台味噌と白味噌って全く違うのに同じ米みそなの?!」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。仙台味噌は色が赤く、塩分濃度も13%前後と濃い目の辛口味噌。しょっぱいけれど旨味もあります。一方の京都の白味噌は、その名の通り色が白く、塩分濃度も5%前後と甘口味噌の代表格。

 

なぜ同じ米みそなのに、ここまで色も味も違うかというと、実は米麹と大豆を仕込む比率の違いで全く違う味噌が出来るのです。他にも塩加減や、その地域の気候の影響など、味噌は様々な条件の違いで繊細に変化する生きものなんです。

 

南の麦みそは、まろやかな甘みが特徴

次に「麦、大豆、塩」とあれば、それは麦味噌です。麦味噌は中国・四国地方の一部と、九州地方で主に生産されていて、味噌全体の5%程度の生産量を占めています。米みそに比べて麹の量が多く、塩分濃度が低いのが特徴。また大麦の粒がしっかり残っているタイプは、食物繊維を豊富に含んでいるのも嬉しいポイントです。

色も比較的やさしい色合いで「田舎味噌」と呼ばれることもある、なんだかほっこりしてしまうのが麦みその特徴です。なじみがない方も多いかもしれませんが、米みそや豆みそと合わせ味噌にして使ってみると、いつもの味噌とはまた違った旨味を感じられますよ。

 

 

熟成された濃厚な味わい!中京地方の豆みそ

「大豆、塩」だけで作られた豆みそは、八丁味噌とも呼ばれているので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。愛知・三重・岐阜の中京地方でのみ生産されており、独特のコクの深さは味噌カツや味噌煮込みうどんなど、地元の食文化を支える大切な存在となっています。

 

その特徴は、何といっても一度見たら忘れられない濃厚な色!これは米みそが約半年で熟成するのに対し、豆みそは熟成するまでに1年から長いものは3年もかかるため、長期の熟成期間中にだんだんと色が濃くなっていくからです。

 

また、他の味噌に比べて味噌自体が硬いのも特徴の一つ。馴染みのない人にとっては、どう料理していいのか困ってしまうかもしれませんが、麦みそと同じように、やはりお手持ちの違う種類の味噌と合わせて、お味噌汁や味噌鍋を作るところから始めるといいかと思います。

 

皆さんもこれを機会に、ぜひ色々な味噌の種類を試してみてください。

ABOUT ME
稗田麻衣
日本初のハラール対応レシピ専門サイト「HALAL RECIPES JAPAN」代表。食生活アドバイザー。ムスリムをはじめ、食事に制限がある人にも楽しんでもらえる日本の家庭料理レシピを研究する傍ら、和食の素晴らしさを国内外に伝える活動を展開中。また小学生2人の娘達を育てる母親として、食育を日々実践している。