進化する食卓

武蔵野に江戸時代から伝わる春の味「のらぼう菜」

近所にはそれほど大きくない商店街ですが八百屋さんが多く、歩いて10分ほどの場所に4軒もあります。どの八百屋さんにもそれぞれ特徴があり、散歩がてら八百屋さんを回るのが私の楽しみです。特に、春は初めて見る野菜に出会えることが多く「のらぼう菜」も家の近所で見つけました。

埼玉県比企地域で栽培がさかんな「のらぼう菜」

出会いというのはいつも突然、それが恋でも野菜でも。場所は私のお気に入りの八百屋さん、そこでタイムサービスで売られていたのが「のらぼう菜」です。こうして珍しい野菜が安く買えるので、ついつい立ち寄っちゃう八百屋さんです。

「のらぼう菜」の第一印象は、茎や葉がちょっと菜の花に似ているかな。袋には「比企地域の伝統野菜」と書かれています。
調べてみると、埼玉県飯能市・比企郡小川町付近や東京都あきる野市、青梅市といった西多摩地方で多く栽培されているようです。特に今回買った埼玉県比企群では「比企のらぼう菜」として特産化もされています。

江戸時代初期には、「のらぼう菜」はすでに各地で栽培されていたと伝えられています。耐寒性に優れているので、江戸時代の大飢饉の際には人々を飢餓から救ったという記録が残っているほど、優れた葉物野菜です。

栄養面でも優れていて、鉄分、ビタミンAやビタミンC、食物繊維を豊富に含んでいます。収穫後はしおれやすいので、生産地近郊でのみ流通しています。だからこれまであまり目にしたことがなかったのですね。

「のらぼう菜」はおひたしでも、炒めても、マヨネーズ和えでもおいしい

「のらぼう菜」の外袋には、おひたしとマヨネーズ和えのお手軽レシピが書かれています。見た目が菜の花に似ているので苦味があるのかなと思っていたのですが、おひたしで食べられると言うことは苦味が少ないということでしょうか。

マヨネーズ和えや炒めものも魅力的、でも初めての野菜だから素材の味をしっかり感じたい。なので「のらぼう菜」はおひたしでいただくことにしました。

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人数: 4

材料

  • のらぼう菜 1束
  • しょうゆ 小さじ2
  • だし汁  小さじ2

工程

1、しょうゆとだし汁を合わせ、だし醤油を作っておく。
2、大きめの鍋にお湯を沸かし、沸騰したら洗っておいたのらぼう菜を茎から入れる。
3、3分ほど茹でてしんなりしたら水にさらす。
4、粗熱が取れたら水気をしぼり、4cmほどの長さに切り器に盛り付ける。
5、かつおぶしを乗せ、だし醤油をかければ完成。

沸騰したお湯に入れるとパッと鮮やかな緑色に変わります。これは菜の花と同じ、できあがりだけでなく料理中にも春を感じられます。茎の部分が長いのでアスパラガスのような適度な歯ごたえもあり、葉はやわらかく調和が楽しめます。

苦味がないのかなとは思っていましたが予想以上に苦味がなく、菜の花は得意ではない娘もあっという間に完食してしまいました。もう一度食べたいと思ってちょくちょく八百屋さんをのぞいていますが、再会はまだできません。次はちょっぴりごまを入れて、マヨネーズで和えてみたいな。

ABOUT ME
ひがのあや
東京都品川在住。小学生の2人の子供を育てながら、ファッション・グルメ・トラベル系のWEBライターとして取材・ライティング・リサーチ業務を行う。長いお休みには国内旅行で美味しいモノを食べ歩き、普段は時間があればアンテナショップやデパ地下を巡っている。