進化する食卓

日本第2位のご当地うどん!高級路線を行く秋田県「稲庭うどん」

ご当所うどんの数々

日本各地に、その地名を冠した、いわゆる「ご当所うどん」が数多くあります。全国乾麺協同組合連合会のホームページには、各地の代表的なうどんとして次の名前を挙げています。

ちほくうどん                        北海道十勝
リンゴファイバー入りうどん                 青森県
稲庭うどん                         秋田県
島田うどん                         栃木県
上州うどん                         群馬県
おっ切りうどん                       群馬県
水沢うどん                         群馬県
加須うどん                         埼玉県
埼京うどん                         埼玉県
氷見うどん                         富山県
鴨川うどん                         岡山県
讃岐うどん                         香川県
五島手延べうどん                      長崎県

上記以外にも、吉田うどん(山梨県)や伊勢うどん(三重県)など、知名度の高いご当所うどんはいくつもあります。
ご当所うどんとして、きしめん(愛知県)の名前を挙げる場合があります。しかし、うどん類4種類の表示基準が下記のように定められており、厳密には、きしめんはうどんとは呼べません。

うどん :長径が1.7ミリ以上
きしめん:幅が4.5ミリ以上  厚さが2.0ミリ未満
冷や麦 :長径が1.3ミリ以上で1.7ミリ未満
そうめん:長径が1.3ミリ未満
(消費者庁 食品表示基準による)

日本の三大うどんとは?

これらのご当所うどんの三大トップブランドが「日本の三大うどん」です。
どれが入るのかについて諸説がありますが、讃岐うどんと稲庭うどんは、必ずと言ってよいほど含まれており、第1位と第2位の座を占めているといえます。第3位の候補は、水沢うどん(群馬県渋川市伊香保町)、五島うどん(長崎県五島市)、氷見うどん(富山県氷見市)などが有力です。

讃岐うどんが第1位であることに異論をはさむ余地はありません。その全国的な知名度は圧倒的です。地元の香川県下にとどまらず、各地に大手の讃岐うどんチェーン店が展開されて、多くのうどん好きの人達を引き付けています。
「本場讃岐うどん協同組合」の組合員数は83社(2012年9月現在)に上り、第2位「秋田県稲庭うどん協同組合」の18社を大きく引き離しています。

高級品路線を歩む稲庭うどん

では、稲庭うどんがなぜ第2位の位置にあるのでしょうか。その理由は、稲庭うどんが一貫して高級品として育てられ,多くの人々から高級品と認められているからでしょう。

発祥の地は、秋田県湯沢市稲庭町です。この地に稲庭うどんが誕生した理由を老舗の「寛文五年堂」は次のように説明しています。
「この地が古くから良質の小麦の産地であったこと。栗駒山地から清らかな水が流れ込む地形であったこと。そして、当時貴重品であった塩が川伝いの交易で運ばれてきたこと」

老舗の『佐藤養助商店』のホームページでは、稲庭干しうどんの原型が稲庭に伝わり、稲庭(佐藤)吉左エ門により技法が改良され、製法が確立された時期を寛文5年(1665年)としています。小麦粉と塩と水の配合比率、生地の練りと熟成、つぶし、乾燥、裁断という、一連の技法が完成したのです。
吉左エ門は、考案した技法を一子相伝のものとしました。みだりに生産者が拡散することによる技法の乱れを恐れたのでしょう。

文政12年(1829年)には、秋田藩から、「稲庭干饂飩」の名称使用を稲庭(佐藤)吉左エ門家に限るとの特許を得ました。
万延元年(1860年)には、伝家の技法が途絶えることを恐れて、二代目佐藤養助(吉左エ門の四男)に技法が伝授され、佐藤養助家が次第に稲庭うどんの中核になっていきました。

時代が明治に入っても、第1回内国勧業博覧会に出品したのを皮切りに、各地の勧業博覧会に出展を重ね、稲庭うどんの知名度向上に努めました。

家業から地場産業に

昭和47年、佐藤養助商店では一子相伝を止め、家人以外の職人にも製造技術を開放し始めました。昭和51年には稲庭うどん協議会を設立し、地場産業としての発展を図ることとしました。

さらに販売促進のために製品販売会社を設立したり、東京などに稲庭うどん店を開店したりと、稲庭うどんの良さをアピールする努力を続けています。このような努力が実を結び、消費者からの認知度が高まり、三大うどんの一つに挙げられるに至りました。

しかし機械はいまだ使用せず、あくまで昔ながらの職人の製法を頑なに守りつつ、稲庭うどんというブランドを育てるという姿勢は変わりません。

そんな背景を知ってから食べると、ぴかぴかと光る稲庭うどんがいっそう美味しく感じられます。佐藤養助商店は、銀座や赤坂、浅草にも店舗があります。家で食べても美味しい稲庭うどんですが、店舗で食べるとまた別格です。
冷たいうどんが美味しいこの季節、もう一度稲庭うどんについて見つめ直してみませんか?

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