もうすぐ「ひなまつり」。
私は小さい頃から「ひなあられ」が好きで、節分が終わる頃に「ひなあられ」が店頭に並び始めるのが待ち遠しかったものです。
私が食べていたのは縦に細長く白やピンク、緑や黄色と淡い色が付けられ、あられのまわりにお砂糖がまぶされているというもの。中には砂糖がけの大豆が入っていたり、ちょっと大きめでまんまるのあられが入っているものもありました。
大人になるまで「ひなあられ」と言えば当然このタイプでした。でも関西出身の夫と知り合って、関西には全く違うタイプの「ひなあられ」が存在していることを知りました。
関東の「ひなあられ」はポン菓子に砂糖をからめた甘いタイプ
私が小さい頃から食べてきた「ひなあられ」は、一種類でした。
ひなまつりというお祝いの日にふさわしく、見た目もきれいです。女の子のおまつりというという特別感、そしてこの季節しか食べられないお菓子、というのがますます胸をときめかせます。
ほわほわ淡い女の子の大好きな色合いに加えて、そして口に入れるとやさしい甘さとシャリシャリという口どけ。
他のお菓子にはない、このはかない食感が私を惹きつけてやみません。
関東の「ひなあられ」は、うるち米を揚げ砂糖をまぶし色を付けて作られています。中には餅を揚げて同様に砂糖をまぶし色を付けたまんまるのあられや、煎った大豆に砂糖をまぶしたものも入っています。
餅で作ったまんまるタイプのものだけが入った「ひなあられ」も関東では一般的です。子どもの頃はこの大きめのものを弟と取り合って、ケンカをしながら食べた記憶がよみがえります。
関西の「ひなあられ」はしょっぱいあられタイプ
関東で生まれ育った私にとって、「ひなあられ」は1種類しかありませんでした。
だからこそ関西の「ひなあられ」を見つけた時の衝撃は忘れられません。言ってしまえば、男雛と女雛くらい全く印象が違うではありませんか。
関東の「ひなあられ」は色彩も淡くふわふわとした印象なのに対して、関西のひなあられは同じ桃色でもビビッドな桃色がパッケージにも使われています。
関東の「ひなあられ」にはお雛様がやさしげなイラストで描かれているのに対して、凛とした雛人形の写真が使われています。
関西の「ひなあられ」は、形は直径1cmほどのまんまる。色は茶色、そしてピンク、黄色、白もあります。
でも関東の淡い色合いとは違い、明らかにエビやアオサを使っていると分かるあられ感の強いものとなっています。
そんな関西風の「ひなあられ」の中には、艶やかに光るものが混じっていることに気が付きます。それはチョコレートに包まれた「ひなあられ」。
今では柿の種やポテトチップッスがチョコレートに包まれたお菓子もよく目にしますからそんなに驚かないでしょうが、初めてこの「ひなあられ」を食べた時はそれはもう驚きました。
チョコレートの甘さとおせんべいの塩気は、止まらなくなるおいしさです。関西ではどこの家庭でも起こるのでしょうが、我が家の子どもたちもチョコレートの数をきっちりと分けて食べていました。
関東と関西では、お雛様にも違いがあります
雛人形にも、関東と関西で好まれる顔には違いがあります。関東では目は大きめで口元にもかすかに笑みを浮かべているようにも見えます。我が家のお雛様も、やさしいお顔をしています。それに対して関西では、切れ長の目にスッと鼻筋が通った気品あふれる、 いわゆる京美人のお顔立ちが好まれるそうです。
関東の「ひなあられ」も、関西の「ひなあられ」も今ではどちらも私の大好きなお菓子です。毎年この季節になると、東京では買えない大阪の「ひなあられ」を送ってもらい、食べ比べるのもひな祭りの恒例行事となっています。