天候に左右されず、比較的安定な値段の人参は、家計にも優しい野菜です。キャロット・ラぺは、そんな人参料理の中でも、保存性があり、あると便利な一品です。今回は、そんなキャロット・ラぺに、旬のデコポンを合わせてみました。デコポンの濃い甘味とほどよい酸味が、人参の甘味を引き立てます。そのままサラダとして食べてもいいですが、サンドイッチの具としても使えます。 [penci_recipe] 人参に多く含まれるβカロテンは脂溶性ビタミン。脂質と一緒にとることにより、吸収率が高まります。 ノンオイルドレッシングではなく、いい油を適量使うことにより、栄養面での効果を生かすことができます。ドレッシングに入れた人参は具材とドレッシングの調和役。具材全体にドレッシングがからまりやすくなります。
蒼井 翠
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デコポンと不知火は同じ品種です デコポンと不知火といえば、よく見かけるかんきつ類の一つですよね。ぽこっと飛び出た頭。甘く瑞々しい果実と食べやすさが人気のかんきつ類です。見かけも味も似ているこの2つのかんきつ類、呼び名は違いますが、実はどちらも同じ品種だということを知っていましたか。不知火というのは、品種の名前。デコポンは不知火の中で一定の基準を満たしたものにつけることができるブランド名なんです。2つの名前がなぜ生まれたのか。そこには、少しばかり複雑な事情があったんです。 不知火もデコポンも濃い甘みと手でむける手軽さが売り 1~5月に収穫される温州ミカンを除くかんきつ類は、中晩柑と呼ばれます。この中晩柑の中で、栽培面積、収穫量、出荷量で全国トップを誇るのが不知火。露地物が出回る今の時期は不知火の旬です。ごつごつとした皮は、意外なほど柔らかく手ですっとむけ、果実を包むじょうのうも薄いので、食べても気にならない。ほどよい酸味を残しながらも甘い果実は瑞々しく、柔らかです。 不知火の収穫量でトップをいくのはやはり熊本県。全収穫量の約25%を占めます。今の時期になると、くまモンがあちらこちらでPRしているのも、そのためですね。 偶然から生まれたデコポン 不知火が生まれたのは1972年。長崎県の園芸試験場(現・果樹研究所カンキツ研究部)において、清見オレンジとポンカンの交配により誕生しました。ただ、この段階では製品としての日の目は見ていません。玉の揃いが悪く、形がいびつだったことから、選別の過程で放棄されてしまったんです。 長崎県において、一度は捨てられた品種。そこに目を付けたのが熊本県不知火農協でした。この時代、かんきつ類の産地は苦境に陥っていました。かんきつ類の主流となる温州ミカンが生産過剰により価格の暴落を起こしていたからです。また対米輸出の急増により生じた貿易問題を契機に、オレンジの輸入自由化の議論も進んでいました。温州ミカンの価格暴落は熊本県の特産であった甘夏にも影響、売れ行きが落ち込むという足元の問題と自由化への懸念がありました。不知火農協では、この状況を打破すべく、試験園を設け、甘夏にかわる品種を模索。果樹は170種類を集め、検討していたその中に、たまたまあったのが不知火でした。 ただ、この段階で不知火はあくまでも集めた果樹の中の一つ。まったく期待されていませんでした。というのも、酸味が強かったからです。不知火は熟成させることにより、酸味がやわらぎ、コクと甘味が引き立つようになります。いま、私たちが手にしているのも熟成期間を経たもの。当然ながら、当時、そのような知識はありませんでした。 「熟成」が必要だということがわかったのは、ある偶然から。試験園の園長が、たまたま取り置き放置していたものを食べたことがきっかけでした。酸味は抜け、甘くなっている。その場に居合わせた市場関係者にも食べたもらったところ、「おいしい」と太鼓判をもらったことから、不知火農協を挙げての産地づくりが開始しました。甘夏の樹木に接ぎ木をし、生産面積を広げるとともに、酸味を抜くための熟成方法、土壌管理、施肥技術などを開発し、栽培を拡大していきました。 3月1日は「デコポンの日」です! 初めて東京市場に出荷されたのは、1991年3月1日。25トンが出荷されました。最高値は5キロ7千円。甘夏の3~4倍に相当する価格といわれています。3月1日が「デコポンの日」となったのは、初出荷を記念してのこと。「デコポン」という名前は翌1992年に熊本県果実農業協同組合連合会により商標登録として申請され、1994年に認定されました。もともと「デコポン」は農家の間で呼ばれていた名称。ぽこっと飛び出たヘタの部分の形状と、ポンカンを親に持つことから自然発生的に生まれたものと言われています。 デコポンを名乗るための3つの条件 当初、デコポンという名は申請さえすれば、だれもが使えるものでした。生産地が全国に広がり、認知度も高まる。良い面がある一方で、品質にばらつきが生じることが問題となってきました。もともと熊本県などでは、基準を設け品質を高める努力をしていましたが、他の産地においては同様の基準がない場合もあり、「デコポン」という同じブランド名がついたものの中で差が生じる結果となってしまったんです。 熊本県果実農業協同組合連合会では、「デコポン」というブランドの品質を守るため、1997年、所有していた「デコポン」の商標に関する権限を、上位団体である日本園芸農業協同組合連合会に委譲。同連合会の傘下の農業団体(JA)と柑橘生産のある農業団体(JA)に「デコポン」の名称使用を限定しました。 同時に「デコポン」というブランドの品質を守るための2つの基準を設けました。1つは糖度13度以上であること、そしてもう一つはクエン酸が1.0%以下であることです。計測に用いる機械も決まっています。 結果として、現在デコポンを名乗れるのは、JAを介したものであり、かつ2つの基準を満たしたものとなりました。言い換えると、JAを介していないものは、たとえ2つの基準を満たすレベルの糖度と酸味であっても、「デコポン」と名乗ることはできず、「不知火」として販売されるということになりました。これが2つの名前が混在するようになった理由です。不知火がおいしくないというわけではなく、販売ルートの問題等もあり、使えないという大人の事情があるということがポイントですね。 デコポン選びは皮、重さ、軸の色で デコポンを選ぶ際のポイントは3つ。皮の状態と重さ、軸の色です。皮の色は濃く、均一であり、かつはりのあるものがおすすめ。手にしたときに、ずっしりと重みのあるものは、果汁が多いとされます。また軸が緑色のものは鮮度がよい証拠となります。 皮を手でむくときにはデコの部分に親指を入れ、剥き始めるときれいにむけます。果実を包むじょうのうを食べるか否かは、個人の自由。サラダなどに使うときには、じょうのうをむいたほうが、色鮮やかできれいではありますが、じょうのうは薄い上に、果実は柔らかくつぶれやすいため、きれいに剥きとるのは少し難しくもあります。 中晩柑の人気者、デコポンと不知火は何が違う? was last modified: October 26th, 2020…
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タラの白子、北海道では「たち」と言います 子どもの頃から「たち」が大好きです。大根と「たち」の入ったみそ汁があれば、それだけで幸せな気分になれるほど。といっても、何のことかわからないかもしれませんね。「たち」は、主に北海道で使われる言葉で、一般的に言うならタラの白子。クリームがかった白い身と、人体模型の脳のような形が特徴の”あれ”です。 「たち」はタラの白子を指す言葉。タラの種類によっても呼び方は異なっており、スケソウダラの白子なら「スケダチ」、マダラの白子は「マダチ」と言われます。私の周りの北海道人をみると、呼び分けている人は少なく、「タラの白子=たち」という使い方をしている人が多いというのが実感です。 外観はともかく、あの濃厚な味は何にも代えがたいと思ってしまいます。そんな「たち」を使ったかまぼこがあるって知っていますか? 「たちかま」は北海道の家庭の味 「たちかま」は北海道の漁師町で古くから作られてきた家庭の味でした。発祥はわかっていないといいますが、漁師の奥さんが考案したとされています。たちかまに使われるのは「スケソウダラ」と呼ばれるタラ。マダラに比べると安く、その雌の腹にある卵は「たらこ」に加工され、流通します。 一方、雄がもつ白子は日持ちもせず、加工方法はなかったと言います。そんな「たち」を有効活用できないか。そんな思いから生まれたといわれるのが「たちかま」なんです。かつては「たちかま」をさらに乾燥させ、高野豆腐のようにしたものを削って食べていたといいます。 おいしく食べてほしいから「基本は売り切り」 そんな「たちかま」を製造・販売するのは、北海道でもわずか数社。その中でも古くから製造・販売を手掛けているのが、利尻島に本社がある北洋食産です。利尻島は北海道の最北端にある稚内市の西に位置する島で、タラの漁が盛んだった地域でもあります。 北洋食産が「たちかま」の製造・販売を始めたのは今からおよそ半世紀前のこと。今はなき、札幌の老舗百貨店「五番舘」で開かれた物産展での実演販売が始まりだったといいます。実演販売から始めたのは、出来上がる過程が視覚的におもしろいから。その面白さを一言でいうなら、「変化」にあります。 新鮮な「たち」を軽くゆで、塩とでんぷんを練り上げます。最初は液状だったものが、練り上げることにより弾力感のある、つきたてのお餅のような状態に変わるんです。あとはちぎって丸め、軽くゆでるだけ。作り方を聞くと簡単にできそうにも思えますが、やはりコツがあるよう。誰もが作れるものではないと言います。 「たち」のおいしい時期は12月から1月。北洋食産の「たちかま」の製造期間も、たちのおいしい時期のみに限られます。製造期間は12月から翌年1月。販売期間は12月から翌年2月まで。冷凍してしまうと、食感、味が落ちてしまいます。できたときの状態で食べるのが一番おいしいと、北洋食産では、売り切れる量を作ることを基本としています。 食感の妙、1個に使われるたちは約75g 見た目はモッツァレラチーズのよう。白いもち肌で、ころっと丸い形をしています。「たちかま」の最大の特徴といってもいいのが、その食感。かまぼこというイメージで食べると、いい意味で裏切られます。ぷりっというよりも、もっちりとした食感はくせになります。 北洋食産の「たちかま」は1個約50g。ここに約75gの「たち」が使われています。材料にでんぷんは含まれますが、安定剤としてほんのわずか使われているだけで、基本は「たち」と塩のみ。だからこそ、たちの風味を楽しむことができます。 食べ方としておすすめなのは、刺身、みそ汁、鍋、バター焼き。刺身として食べる場合は、しょうゆをつけず、わさびのみで食べるのがおすすめ。「たちかま」自体の塩気で十分おいしくいただけます。人気の食べ方はバター焼き。濃厚な味わいが評判です。 札幌駅なら「どさんこプラザで」買えます 北洋食産の「たちかま」は札幌市内のスーパーのほか、札幌駅の西コンコースにある「どさんこプラザ」、大通りにある百貨店、丸井今井の「きたキッチン」で購入できます。「たち」自体をお土産に買うことは難しいですが、「たちかま」ならお土産に買って帰ることもできます。雪まつりやスキーなどで札幌に来る予定のある方、お土産にいかがですか? 利尻の珍味★たちかま!フワフワ食感で鍋にどうぞ♪北海道利尻町★米田商店 米田商店特製・利尻の珍味「たちかま」 5パックセット 価格:4,500円 (2019/11/20 21:39時点) 感想(20件) 冬に食べたい北海道の珍味、利尻の「たちかま」 was last modified:…
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暦の上では春。とはいえ、今年の寒さはなかなかしぶとそうですよね。春には程遠く、厳しい寒さが続く今の時期に手放せないのが生姜湯です。お湯を注ぐだけで作れるという手軽さ。そして、飲むと体の奥からじんわりと温かくなる。そんな生姜湯に日々助けられています。今回紹介するのは、生姜湯の中でも体を内側から温める効果が高いと言われる蒸生姜を使ったもの。広島県尾道市にあるイトク食品が製造・販売しているものです。「生姜で体温革命」を社是とするこの会社。昨年末には生姜の効能をまとめた本と合わせて、自社の製品を売るという新たな取り組みも開始するなど、食べるというだけでなく、知識という面も含め、生姜のすばらしさを伝える活動を展開しています。 蒸生姜にこだわり、実力派の生姜湯 昔の薬袋のような、ちょっとレトロなパッケージ。雑貨屋さんでみかけたということもあり、見た目だけかも、と少々疑いながら買ったのが、この生姜湯でした。生姜湯って、ものによっては香りと甘さだけということもありますよね。でもこの生姜湯は、生姜の存在感がきわだつ、まじめなまじめな生姜湯なんです。口にしたときの香り。飲み込んだ後で、じんわりと広がる辛さ。ところどころに残る粒々感。生姜の一大産地である高知産を使い、皮ごと荒おろしにしているというこだわりの製法からできたものです。 生姜湯に使われているのは、蒸生姜。蒸した後、低温でじっくり乾燥させたものです。この蒸生姜を使っていることが、体をぽかぽかにするという生姜の力を引き出すことにつながっています。 生姜の力を決める3つの成分 なぜ生姜で体があたたまるのか。知っている人も多いかとは思いますが、少しおさらいしてみましょう。生姜の成分のうち約90%は水分です。残る約10%に炭水化物、たんぱく質などが含まれます。温かさにもつながる生姜特有の辛み成分や芳香成分はこの残る10%のごくごく一部に含まれるものです。 成分として挙げられるのはジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンの3成分です。この中で最も多く含まれるのがジンゲロール。生の生姜で最初に感じるぴりっとした辛さといわれます。ショウガオールはジンゲロールの脱水反応により生成されるもの。保存している間にも増えますが、加熱することにより、さらに増加します。じんわりと感じる辛みがショウガオールといわれます。ジンゲロンは3成分の中でも極微量しか含まれないものです。ジンゲロールが分解することで生成され、強い辛みを感じるものです。 これらの成分は生姜の効能という点で異なります。もっとも多く含まれるジンゲロールは殺菌作用があるほか、血管を広げる作用をもつことから、血圧を下げる効果があるといわれています。ただ一方で解熱作用もあり、身体の深部を考えた場合には冷やす方向に働くとされます。対して、ショウガオールは体を内側からあたためる効果が高く、胃腸の血行を高め、代謝もあげることができるといわれています。つまり体を温めるという効果を考えた場合、ショウガオールがどれくらい存在しているのかという点が重要になります。 本当に生姜オールに体を温める効果があるのでしょうか。その効果を示すものとして、生姜部で有名な永谷園が行った試験があります。その名も「ショウガ商品摂取による基礎体温の改善試験」です。20歳以上の男女で体温が低め、もしくは冷えを感じている20人を被験者として実施。粉末生姜入りインスタントみそ汁を1日2回(夕食時は必須)摂取し、基礎体温の変化をみるとともに、体感アンケートにより効果を検証したものです。試験期間は8週間です。使用している粉末生姜は生姜を加熱し、乾燥させることにより、ショウガオールを増やしたものです。実験の結果、摂取前に比べ、4週間後、8週間後では徐々に基礎体温が上昇していることがわかりました。また全身、手・指先、下肢・足先のいずれの部位においても、有意に改善したことが認められました。ジンゲオールと比較したものではありませんが、ショウガオールを増やした生姜の効果がわかる結果といえます。 参考:永谷園生姜部 http://www.shouga-bu.com/ginger/ 1袋に生姜4577㎎が入っています イトク食品の蒸生姜湯は、蒸し、加熱することによりショウガオールを増やしたものです。蒸生姜湯に使われている生姜の重量は、生重量で4577㎎。グラムに換算すると4.577gとなります。 ではショウガオールはどれくらい含まれているのか。同社のホームページを参考にみていきたいと思います。日本 食品分析センターの結果として示されているものを参考にしました。生の生姜(100g)に含まれるショウガオールは1.5㎎です。乾燥させた場合、ショウガオールは32mgと21.3倍に増加。蒸して乾燥した生姜に至っては、50mgと生の生姜に比べ33.3倍にまで増えます。この製品で用いられているのは生の生姜に換算すると約4.6g。つまり、ショウガオールとしては約2.3㎎が入っていることになります。米国の論文の中には、ショウガオール0.56㎎の経口摂取でエネルギー代謝の亢進、また0.46㎎の経口摂取で寒冷負荷後の体表部の温度低下抑制効果があることを示したものもあります。このことを考えると、蒸生姜湯のぽかぽか効果はすごいといえるかもしれません。 蒸生姜+唐辛子、刺激も楽しめる温辛生姜湯 イトク食品では蒸生姜を使った様々な製品を発売しています。蒸生姜を使った生姜湯としては、6つの和漢食材(生姜、ナツメ、桂皮、甘草、本葛、カリン)を配合した六漢生姜湯や、唐辛子を加えた温辛生姜湯などがあります。特に唐辛子を加えた温辛生姜湯は、唐辛子と生姜の辛さの違いを楽しめる一品。まず感じるのが舌にぴりっとくる唐辛子。その後で生姜の辛さが広がり、刺激を求める人にはぴったりの生姜湯です。 今年1月からは、同社の蒸生姜製品の一つである「野菜の粉末 蒸生姜」の書店での販売も始めました。同じく尾道の地元企業であり、書籍販売を手掛ける啓文社と協力。生姜の効能を記した書籍と、同社の製品を並べて販売するというものです。相乗効果により売り上げの増加を狙うというだけでなく、生姜の良さを広く伝えたいという同社ならではの取り組みといえそうです。 イトク食品 蒸し生姜湯 80g 価格:298円 (2019/12/25 10:12時点) 社是は「生姜で体温革命」 蒸生姜がすごいんです was last modified: December 25th, 2019 by…
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きびだんごといえば、岡山県の銘菓と思っていませんか?実は、北海道にもきびだんごがあるんです。岡山のきびだんごが「吉備団子」なら、北海道のきびだんごは「起備団合」。団子と書かないことからもわかるように、このお菓子、団子ではないんです。今回は、北海道民、いわゆる「どさんこ」ならだれでも知っている、懐かしの味「きびだんご」を紹介します。 岡山との違いは?北海道の「きびだんご」とは 「北海道のきびだんご」と聞いた時、「岡山のきびだんご」と何が違うの?と思った人も多いかもしれませんね。 鬼退治に向かう桃太郎に、おじいさんとおばあさんが作ってくれたのが岡山の「にっぽんいちのきびだんご」。これさえ食べれば十人力と、道中で犬、猿、雉を仲間にする際に与えたものです。にっぽんいちのきびだんごを食べた四人(1人、2匹、1羽?)は「なんびゃくまんりき」の力で鬼を退治します。 福音館の絵本「ももたろう」をみると、桃太郎が腰につけた袋から取り出したきびだんごは、当然のごとく、丸い団子状。 でも、北海道のきびだんごはというと…。幅4cm、長さ14cm、少し厚みのある短冊のような形。主な材料は麦芽水飴、砂糖、もち米、生餡で、「ゆべし」を少し硬くしたような、食感と味わいで、かなりねちっとしています。食感だけを表現するなら森永製菓の「ハイチュウ」に近い印象。オブラートに包まれているので、そのまま手に持ち、かじることができますが、粘度はかなり強いです。岡山県の名物で、桃太郎にでてくる「きびだんご」はもち米や黍粉を使った羽二重のもの。同じ「きびだんご」とはいえ、形も柔らかさも、味も、まったく異なります。 参考:福音館「ももたろう」文・松居直絵/絵・赤羽末吉 北海道開拓の屯田兵も食べていた携帯食が起源 「きびだんご」を作っているのは、北海道栗山町にある「谷田製菓」。大正2年創業の菓子メーカーで、すでに100年を越える歴史をもちます。ちなみに栗山町は、日本ハムファイターズの栗山英樹監督の自宅がある街としても有名です。札幌から東に車で1時間ほど行ったところに位置します。炭鉱の町として知られる夕張市に隣接した町でもあります。 「きびだんご」はそんな谷田製菓の代表的な銘菓で、大正12年に発売されました。北海道開拓の屯田兵が食べていた携帯食が由来とされています。 「きびだんご」命名の理由は?震災復興へ助け合いの精神 なぜ「きびだんご」と言うのか。それは、同年に発生した関東大震災が関係しています。北海道の「きびだんご」は漢字で書くと「起備団合」。事が起きる前に備え、団結して助け合うという意味をもちます。北海道開拓の精神を受け継ぐとともに、発売の年に発生した「関東大震災の復興」を願い、命名され、発売されたものなんです。北海道の「きびだんご」は谷田製菓だけでなく、北海道の食品メーカー数社が製造・販売していましたが、今は谷田製菓と天狗堂宝船の2社のみで作られています。 シンプルな材料、素朴な味わい、非常食にも 昭和23年生まれの私の母も幼い頃食べていたというほど、昔からある駄菓子がきびだんご。今もスーパーの菓子コーナーには必ずといっていいほど並んでいます。今回紹介した「短冊型」のもののほかに、キャンディーのように一口サイズに切り、包まれた製品も作られています。 長く愛される理由は麦芽水飴、砂糖、もち米、生餡というシンプルな材料。今回、母と一緒に食べてみました。小学校以来口にしていなかったというだけに、記憶も薄れてはいるようですが、思い出の味と変わらないと言います。実際、創業以来、製造方法は変わっていません。もち米は石臼で細かく曳き、餅状になるよう蒸します。生餡は十勝産の小豆から作ります。蒸気で温めながら、餅米、生餡、砂糖、水飴を練り合わせ、型に流し入れ、ゆっくりと冷まし固めたのち、一本分の大きさに切り分け、オブラートに包み、さらに包装紙で包みこんだら出来上がりです。包装の作業は、一本一本手作業で行われています。 短冊形になっているのは、片手で食べられるように。今回は切って食べましたが、生地に練りこまれた餡の甘味がほどよく、ほっとする味わいです。固くなった場合には、あたためて食べるとよいそうです。 かつては屯田兵が食べており、発売開始直後には非常食としてのニーズもあったというほど、エネルギー補給源として優れているのも特徴です。1本(70g)あたりの栄養価を計算してみるとエネルギーは246kcal、たんぱく質は1.5g、脂質は0.7g、炭水化物は58.5g。エネルギーだけをみると、ごはんを茶碗に軽く1杯(150g)入れたときとほぼ同じくらいです。効率的にエネルギーを摂れる「きびだんご」は、厳しい寒さの中で開拓にあたる屯田兵の貴重なエネルギー源だったということが想像できます。 【ゆうパケット限定/送料込】北海道銘菓【谷田製菓】日本一 きびだんご 5本入り 価格:1,050円(2019/10/30 12:12時点)感想(0件) 北海道のきびだんごは丸くない!?100年以上続く老舗の駄菓子は、屯田兵も食べた懐かしの味 was last modified: October 30th, 2019 by…
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漢字を見れば、一目でその旬がわかる。そんな魚の一つがブリ。まさに今が旬の魚の代表格です。今月2日には富山県氷見漁港で「ひみ寒ブリ宣言」も出されるなど、今シーズンの漁も本格化しています。ブリといえば、大晦日やお正月のおせち料理にも欠かせない年取り魚としても知られますが、そんなブリに、異変が起きているって知っていますか? 年取り魚の代表格ブリ、東西で違いも 丸餅か角餅か、白みそ仕立てかすまし汁か。地域差が色濃く表れるお雑煮と同様、おせち料理にも地域差があります。その一つが二の重の主役となる魚の焼物です。東日本では、サケ(もしくは塩鮭)、西日本ではブリ(もしくは塩鰤)が食べられてきました。その境界は、富山県の糸魚川と静岡県の大井川を結ぶフォッサマグナとする説が有力とされています。フォッサマグナ上に位置する長野県や、人の流出入の多い首都圏の東京、埼玉、神奈川については、ブリが主流となるなど、多少の例外はありますが、基本的にはこの東西差は、なお続いています。 そもそも、なぜ祝いの席で、精進ではなく魚を食べるのかということについては、諸説あるようですが、民俗学者の柳田国男はその理由を、禁戒(精進)を終え、自由な祝賀へ移行するための儀式として「まなくい(魚食い)」が必要であったのではないかと推測しています。だからこそ、海のない地域でも、塩鮭や塩鰤という形に加工し、厳しい輸送工程を経ながらも取り入れてきたと考えられています。 縁起のいい出世魚、呼び名はなんと…。 おせち料理には、それぞれ意味が込められています。黒豆は「まめ(健康)に働けるように」。数の子は「子孫繁栄」。ブリに込められた意味は「一家繁栄、立身出世」です。というのも、ブリは成長とともに名を変える出世魚。地域によっても呼び名は異なっており、その数は100種類を超えるとも言われています。関東地域でいえばワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ。富山県ではフクラギ→ガンド→ブリ。ちなみに、ハマチというと、養殖のブリと考えてしまいますが、これも、もともとは地域における呼び名の一つだったもの。日本で初めて鰤の養殖に成功した香川県など、西日本で主に使われていた名です。養殖が本格化し、ハマチの名が全国的に広がったことから天然ブリと区別する形で養殖ブリをハマチと呼ぶようになったと言われています。 温暖化の影響?漁獲量は高水準 東と西で違いのある年取り魚。高級なブリに庶民派の鮭といったイメージもありましたが、ここ数年状況は変わってきているようです。サケは記録的な不漁により価格は高騰傾向にあります。一方、ブリの漁獲量は増えており、サケに比べると価格は安定しています。12月15~16日時点での築地市場における国産ブリの相対取引による卸値は、高値平均で1kgあたり4860円と前年並みの状態が続いています。 ブリは沿岸性の回遊魚で全国の都道府県沿岸で漁獲されます。日本海区水産研究所などが行った2016年度のブリの資源評価によると、2015年のブリ(ブリ類)の漁獲量は12万2千トン。前年は下回ったものの、1952年以降で過去最高水準にあります。高水準を支える大きな要因となっているのが、漁獲量の少なかった北海道や太平洋地区での漁獲量の増加。北海道に限定してみると、2010年頃まで数百から3000トン程度だった漁獲量は2011年以降、7000~1万2000トンにまで増大しています。ブリの漁況は海況と関係するとされます。気候変動により海水温が上昇したことにより、高水温を好むブリの生息域が北上したことが一因として考えられています。 北海道はこれまでブリ文化のなかった地域。それだけに、漁獲量の増加に対応できない部分もありましたが、最近では、ひだか漁業協同組合の「はるたちぶり」、羅臼漁業協同組合の「羅臼 産船上活〆鰤 ぶり」、函館市の戸井漁業 協同組合の「戸井活〆鰤」など、北海道におけるブリのブランド化も進んでいます。 天然VS養殖、栄養価は? ブリを選ぶときには何に気を付ければいいのでしょう?選ぶ際、まず気になるのは天然か養殖かということ。天然ものは漁獲量で価格が変動するため、一概にはいえませんが、近所のスーパーを見ると、やや天然ものが高い程度でいまのところ、大きな差はなさそうです。一目でわかる違いは色。養殖のものは白っぽく、脂分が多く、身はぽてっとしています。対して、天然のぶりは身の赤みは強く、筋肉質でぎゅっとしまっています。食味については、好みによるところが大きいです。味わいを優先するか、トロッとした食感を求めるのかによっても違うといえそうです。 栄養価についても比べてみました。日本食品標準成分表2015年版(七訂)でみると、天然(ぶり成魚皮なし)とはまち(養殖皮なし刺身)では、このような差がありました。あくまでも成分値ということを踏まえてみてください。いずれも100gあたりの成分値です。 エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 ぶり 257kcal 21.4g 17.6g 0.3g はまち 203kcal 21.0g 12.0g…
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かりっ、ふわっ、じゅわー。焼き上げたときのあの香り、口に入れたときに広がる旨み。ただ焼いただけなのに、おいしくて、我が家の冷蔵庫に欠かすことのできないものが油揚げです。それも、栃尾の油揚げのように分厚いものです。いろんな地域の油揚げを食べたくて、今回試してみました。厚い油揚げの食べ比べ。 厚揚げと厚い油揚げの違いとは? 食べ比べに入る前に、まずは油揚げの定義から。 というのも、外見だけをみると、厚い油揚げと厚揚げの違いってわからなくなりませんか?豆腐から作るなら同じでは、と思ってしまいますが、油揚げと厚揚げでは作り方が大きく異なります。 料理家であり、池波正太郎原作のテレビドラマ「鬼平犯科帳」の料理指導を務めた阿部孤柳氏らの著作「とうふの本」では、油揚げについて「木綿豆腐を硬めに作って薄く切り、圧搾して水を切り、これを低温と高温の2枚の鍋を用意して揚げたものである」と定義しています。 絶対的な必要条件とされるのは、豆腐の生地の状態よりも大きく膨化していること。そして、表面がからりと、水分が全く含まれていないように揚がり、形がしっかりしていることです。 といっても、わかりにくいですね。端的に言ってしまうと、厚揚げは普通に作った豆腐を厚めに切り、高温で揚げたもので、二度揚げはしません。 対して、油揚げは、膨化(膨らませること)させることがポイントとなります。このため、もととなる豆腐自体も膨化しやすいように作られているようです。また揚げ方も低温の油と高温の油で2度揚げるという方法をとっているとされています。 低温で揚げることで、膨化を促した上で、高温の油で水分を飛ばし、からりと仕上げることができます。 目で見てわかる違いは、断面。厚揚げの断面はつるりとしていますが、油揚げは網目状になっていますよね。 4種類で食べ比べ、厚さはいずれも2cm以上 今回用意したのは、4種類。 1.「栃尾油揚げ」(新潟県・栃尾豆庵236円/6.5cm×20cm×3.2cm) 2.「谷口屋のおあげ」(福井県・谷口屋570円/12cm×12cm×3.5cm) 3.「五箇山平家あげ」(富山県・ねこのくら工房300円/9.5cm×10cm×3.5cm) 4.「さんかく油揚げ」(宮城県・ほし食品233円/15cm×9㎝(三角形×2枚)×2.3cm) ※価格はいずれも税込み。大きさは実測に基づくもので、縦×横×厚さ(さんかく油揚げは底辺×高さ×厚さ)。あくまでも目安として考えてください。 栃尾油揚げとは 「栃尾油揚げ」は、栃尾豆庵の製品。低温と高温の二度揚げによりスポンジ状にふっくらと仕上げています。栃尾の揚げの特徴と言われるのが、揚げたあとに金串を刺し、棚にぶら下げ、油をきる方法です。これにより、余分な油が取り除けるだけでなく、厚みのある状態を維持できるといいます。油揚げに穴が開いているのは、この金串のあとです。原材料は丸大豆(国産)、植物油、凝固剤(にがり)です。 【油揚げ 栃尾の油揚げ あぶらげ】新潟県栃尾 栃尾豆庵の油揚げ栃尾の油揚げ 130g 15枚【冷蔵 産直便 ギフト 贈り物】 価格:2,625円 (2019/10/30…
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東京・上野動物園で5年ぶりに誕生したジャイアントパンダ「シャンシャン」。12月には一般公開も予定されており、パンダ好きというわけではなくても、なんとなくそわそわしてしまいます。関連グッズを目にすることも増えた先月末、たまたま入った店で、見つけてしまったのが、この「小竹の笹だんごパン」です。でっぷりとしながらも、愛嬌のあるパンダのパッケージ。そのかわいさもさることながら、中に包まれているのは、その名のとおり、丸々一個の笹団子。炭水化物×炭水化物という恐ろしくも素敵なパンです。 新潟ご当地「サンドパン」で有名な老舗パン屋 愛嬌のあるパンダのイラストが目を引く笹だんごパン。製造・販売するのは、新潟県上越市にある小竹製菓です。大正15年に菓子店として創業。昭和28年には、パンの製造部門も設置し、製造販売を始めました。パン屋としては上越市でもっとも古くからある老舗です。特に有名なのは、コッペパンにホワイトバタークリームをはさんだ「サンドパン」。新潟のソウルフードと言われるもので、販売するメーカーはいくつもありますが、中でも「小竹のサンドパン」は人気だといいます。 開発に7年、パンも笹団子も、もっちもち そんな老舗の小竹製菓が2015年に発売したのが、新潟県の名産品である笹団子とパンを組み合わせたこの笹だんごパン。組み合わせ自体は、あまり珍しくもないようですが、小竹の笹だんごパンはひと味、違います。開発に要した期間は7年。こだわりがぎゅっと詰まっています。 その一つがパン生地に米粉を使ったこと。もちっとした食感へのこだわりから、地元産のコシヒカリが使われています。またパンの表面に焦がしきなこをのせることで風味を高めています。中に包まれた笹団子もこだわりの品です。菓子としても販売している自家製のもので、頸城のこしひかりと蓬の新芽、隠し味にヤマゴボウの葉を加えた香り豊かな生地。餡の甘さもほどよく、ほっとする味わいです。炭水化物×炭水化物というと重く感じてしまいますが、笹団子を包むパン生地も薄いため、思ったよりも軽く食べられます。 笹だんごパンは焼いてもおいしい パンのもちっと感と笹団子のもちっと感。2つのもちもち感が特徴の笹だんごパンですが、個人的には焼いて食べるのもおすすめです。パン生地のもちっとした食感は薄れてしまいますが、香ばしくさくっとしたパン生地もなかなかのもの。熱を加えることにより、中の笹団子は、そのままのときよりも、やわらかくなります。 笹だんごパンは都内でも購入できます! 新潟県上越市が推奨する「メイド・イン上越認証品(特産品)」にも指定され、新たな名産品として知名度があがっている笹だんごパン。 地元、上越市以外でも購入することが可能です。通信販売に対応しているほか、東京都内には直接購入できる店舗もあります。のもの全店で取り扱っているほか、秋葉原にある「日本百貨店しょくひんかん」、表参道にある新潟県のアンテナショップ「ネスパス表参道・新潟館」などでも販売されています。ただ、入荷数は多くなく、入荷日も限られているので、注意が必要です。入荷日が多いのは、東京駅にある「のもの丸の内店」で、週4回火曜、木曜、金曜、土曜に入荷しています。そのほかのお店は、週1回です。 保存料は含まれていないため、消費期限は製造から3日。出荷日の朝、蒸し上げた笹団子をパン生地に包み、焼き上げ、発送するという体制をとっています。上野公園のシャンシャン効果もあり、売れ行きは好調。販売店の方では入荷を増やしたいようですが、生産体制が限られるため、なかなか難しく、入荷してもすぐに売り切れてしまうというのが現状のよう。気になる方は、出会えたときに購入することをおすすめします。
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キタアカリ、レッドムーン、はるか、マチルダ。これらすべてジャガイモの種類です。この時期になると北海道の母から届くジャガイモ。毎年顔ぶれも変わっていて、種類の多さには驚くばかりです。でもどう使うかと言えば、肉じゃが、コロッケ、ポテトサラダ…。使い分けには程遠く、なんとももったいない限りです。そこで、今回、調べてみました。ジャガイモの品種にあった食べ方を。 北海道産のジャガイモ、品種は約60種類 じゃが芋の収穫量で全国トップを誇るのが北海道。その数は2016年産で171万5千トンと全国の8割を占めます。北海道産のジャガイモの収穫時期は夏から秋。春先にでる新じゃがは主に長崎や鹿児島などで栽培されたもので、北海道産のジャガイモの旬は10月~2月と、まさに今が旬なんです。 北海道で作られるジャガイモの種類はおよそ60種類。ただ、これらすべてがスーパーに並ぶわけではなく、わたしたちが買う「生食用」と言われるものは、このうち30種類くらい。残りはポテトチップスやフライドポテト、コロッケ、サラダなどの加工食品用として栽培される「加工用」、麺や片栗粉などの製造に使われる「でん粉用」になります。加工食品用は甘さを抑えた品種、でん粉用はデンプンの含量が多いものと、用途によって育成される品種の特徴も異なります。 主流派は男爵、メークイン、きたあかり 男爵やメークインといえば、ジャガイモの王道ですが、この2つの品種は明治維新後のいわゆるジャガイモの導入時期からあるもの。北海道開拓民用の食料として普及したもので、いまでも生食用の作付面積で上位1,2位を占めます。次いで広がっているのはキタアカリ。男爵を母にもち、寄生虫への耐性を持たせた品種です。スーパーで見ることも多く、普段使いのジャガイモの一員になってきていますよね。生産量では上位に及びませんが、人気があるのはインカのめざめ。栗のような風味と甘みが特徴のインカのめざめは、「良食味品種」として知られています。北海道生まれではありますが、全国各地で栽培されてきています。 煮崩れの見極めは品種とデンプンの量 多くの品種を目にすると、どう調理していいのか迷ってしまいます。そもそも何が違うのか。調べてみると調理に関するポイントは主に2つ。1つは煮崩れです。 煮崩れしやすい男爵と煮崩れしにくいメークイン。ジャガイモの使い分けというと、こう区分する人も多いですよね。ジャガイモの煮崩れを左右する要素は品種がもつ特性とでん粉の量です。煮崩れがなぜ起きるのかといえば、ジャガイモの主要成分となるでん粉が加熱により吸水、膨らみ、細胞同士がはがれてしまうからです。でん粉の量が多ければ、その分膨らみやすくなります。一方で守る力が強ければ煮崩れはしません。それが品種の特性と言われる部分。細胞が小さければ、その分細胞同士が接着する表面積が大きくなり、接着力は強くなります。細胞壁が厚い、細胞間の接着剤自体が強いといった特性がある品種も煮崩れしにくいといえます。 代表的な品種でみると、でん粉の量が多く、煮崩れしやすいのは、男爵、キタアカリ。でん粉の量が少なく煮崩れしにくいのはメークイン。でん粉の量は多いけれども煮崩れしにくいのはインカのめざめです。インカのめざめの場合、細胞が小さいことが煮崩れしにくい要因となっていると推察されています。同じ品種の中でも、でん粉の量は違うので、煮崩れしにくいとされる品種でも、でん粉の量によっては煮崩れることもあるんです。 家庭で見極めたい場合には、食塩水にジャガイモを浮かべる方法があります。夏休みの自由研究のようになってしまいますが、1ℓの水に120gの食塩をとかし、ジャガイモを入れます。浮いたものはでん粉の量が少ないもの、沈んだものはでん粉の量が多いものとなります。あくまでも品種の特性が優先されるので、一概には言えませんが、同じ品種の中でみると、でん粉の量が多いものの方が、煮崩れる可能性が高いといえます。 ジャガイモの甘さを楽しむならチルド室で冷温保存 もう一つのポイントは甘さ。揚げ物にする際、糖が多いと焦げ付きやすくなるからです。ジャガイモに含まれるでん粉は冷温で保存することにより一部が糖に変わります。特にメークイン、男爵、キタアカリ、インカのめざめは糖に変わりやすい品種といえます。ジャガイモを揚げるときには140℃と低い温度の油から入れ、徐々に油の温度を揚げ180℃で取り出す、低温で揚げてから一度取り出し、二度目は高温で揚げるといった方法があります。いずれも一定程度時間をかけることで、でん粉が糊化し、おいしく食べられるようになります。糖が多いジャガイモは変色したり、すぐに焦げてしまったりするため、糖の少ないジャガイモが揚げ物にはあっているといえます。 甘さを楽しみたい場合は、冷温保存を活用するというのもジャガイモを楽しむ一つの方法です。新聞紙でくるみ、ぬらしたキッチンペーパーで包んだものをビニル袋に入れ、チルド室で保存すると甘味がぐっと増します。ただし、貯蔵期間は2週間程度を目安にしましょう。 ほこほこ?粘質?4種類で試してみました 実際にどう違うのでしょうか。以上の点を踏まえながら、今回届いた4種類のジャガイモを調理してみました。左から順にキタアカリ、レッドムーン、はるか、キタアカリ、マチルダです。上が揚げたもの、下が皮ごとゆでたものです。キタアカリは男爵を母にもつ品種。一目見てわかるように、ゆでただけで皮の近くの形が崩れています。男爵系に分けられます。レッドムーン、はるか、マチルダは煮崩れしにくい、メークイン系に属するタイプで、やや粘質の食感。マチルダはデンプン価がやや高いので、中心部に粉っぽさもみられます。食べた印象では、キタアカリ、マチルダはうまみが濃く、次いではるか。レッドムーンはやや水っぽくあっさりとした感じです。ほこほこ感とねっとりとした食感が程よい感じに調和しているのはマチルダです。 揚げ物に関しては、いずれも皮目付近が濃く変色してしまっています。レッドムーンについては、皮のきれいな赤色がぬけてしまっているので、少しもったいない感じです。 今季出荷開始!新じゃが じゃがいも 送料無料 市場の目利きが選んだ「北の厳選野菜」選べる3品セット【ジャガイモ いも 薯 芋 秋野菜 男爵 キタアカリ きたあかり メークイン レッドムーン…
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ケールにも匹敵すると言われるほど高い栄養価をもつ「すいおう」。だからこそ、栄養価を損なわないように食べたいものです。今回は、葉と茎をさっと炒め、ケーク・サレの具にしてみました。炒めることにより、加熱時間を短くできるほか、水にビタミンが流出することも防ぐことができます。 [penci_recipe]