進化する食卓

和食に欠かせない大豆の原料事情

豆腐、油揚げ、おから、豆乳、味噌、醤油、納豆などなど、大豆から作り出される日本固有の食品は数多くあります。皆さんも様々な形で、大豆製品を日々食べていることでしょう。

その大豆の原料事情と、大豆製品を選ぶときのポイントを今回はお話したいと思います。

 

食料自給率7%の衝撃

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皆さん、食料自給率という言葉をご存知ですか?これは国内の食料消費量に対して、どれくらいを国内生産で賄えているかを割合で表したものです。この食料自給率の算出方法にはいくつか種類があるのですが、一般的にニュースで伝えられるのはカロリーベース食料自給率といい、1人の人間が1日当たりに摂取するカロリーのうち、何%が国内生産で賄われているかを算出したものです。

 

このカロリーベース食料自給率でみると、日本は2016年時点で6年連続39%と低水準で推移しています(※1)。カナダ258%、アメリカ127%、イギリス72%と他の先進国と比べると、その低さが際立ちますよね。

そして食品別に見ると、米が98%、野菜80%に比べて目立って自給率が低いのが大豆で、その自給率はなんと7%しかありません。私たちの食生活に欠かせない食品なのに、そのほとんどが外国産の大豆に頼っているのが現状です。

 

 

世界の大豆生産事情

では次に、外国産大豆について見ていきましょう。外国産大豆は日本の大豆と比べて粒が小さく、油脂分を多く含んでおり、油の搾取や飼料用として主に栽培されています。生産量でみると、1位アメリカ、2位ブラジル、3位アルゼンチンでこの3か国で世界全体の8割の大豆を生産しています。

 

一方、日本産大豆は外国産に比べて粒が大きく、たんぱく質を多く含んでいるのが特徴です。他の国々では、ほとんどの大豆が食用以外に消費されていますが、日本では昔から味噌や醤油、豆腐といった食用で大豆を消費し、その栄養を上手に摂取してきました。

美味しい大豆があったから、日本は豊かな食文化を育んだのかもしれませんね。

 

 

遺伝子組み換え大豆の存在

もう1つ、外国産大豆と日本産大豆で大きく違う点があります。それは「遺伝子組み換え」の問題です。遺伝子組み換えについてはご存知の方も多いと思いますが、遺伝子組み換え技術を使って品種改良することで、病害虫や除草剤に強い性質を持たせ、効率よく収穫量を増やすことが出来ます。

中でも大豆は遺伝子組み換えの割合が高く、作付け面積でみると世界の83%の大豆が遺伝子組み換えだという報告もあります。日本に輸入されている大豆の中にも、当然遺伝子組み換えされた大豆が含まれているのです。

 

日本では内閣府食品安全委員会が安全性に問題がないと判断したものだけが、流通することを認められています。大豆もそのうちの1つです。

日本では遺伝子組み換えをした大豆は栽培されていませんので、「国産大豆」と表示があるものはすべて遺伝子組み換えではないということになりますし、遺伝子組み換えされた大豆が原材料であれば表示義務があるのですぐわかります。

 

個人的には、遺伝子組み換え食品については食べたからと言って直ちに有害なわけではないと思う一方で、長い目で見て人体に安全かどうかというと、それもはっきりとは言い切れないのではという不安もあります。恐らく私のような消費者が多いこともあり、食品表示ラベルに、わざわざ「大豆(遺伝子組み換えでない)」と表示するメーカーも多いのでしょう。

 

その一方で、例えばサラダ油の原材料には大豆油と記載がありますが、その大豆がどこのどういう大豆かは記載されていません。これは大豆油や醤油など、一部の食品については表示義務の対象外だからです。

人間は、食べたもので身体が出来ています。何を食べて何を食べないのか、ぜひ食品表示を手掛かりとして、ご自身で選択することをおすすめします。

 

 

※1:農林水産省平成27年度食料需給表参照

ABOUT ME
稗田麻衣
日本初のハラール対応レシピ専門サイト「HALAL RECIPES JAPAN」代表。食生活アドバイザー。ムスリムをはじめ、食事に制限がある人にも楽しんでもらえる日本の家庭料理レシピを研究する傍ら、和食の素晴らしさを国内外に伝える活動を展開中。また小学生2人の娘達を育てる母親として、食育を日々実践している。