フランスではバターと言えば発酵バターが主流です。エシレバターの流行で発酵バターの存在を知った方も多いでしょう。私もその中の一人です。日本でも発酵バターは作られていますが、やはり「エシレバター」は別格なのでしょうか。食べ比べてみました。
目次
食べ比べる5種類の有塩発酵バターをご紹介します
1.エシレ発酵バター 有塩 (50g/545円、1gあたり10.9円)
2.よつば パンにおいしい発酵バター(100g/302円、1gあたり3.02円)
3.小岩井純良バター(160g/700円、1gあたり約4.38円)
4.カルピス 特撰バター(450g/1555円、1gあたり約3.45円)
5.トラピストバター (200g/1490円、1gあたり7.45円)
輸入品と言うことも関係しているのでしょうが、1gあたりのお値段はエシレバターが一番高いです。その後、トラピストバター、小岩井純良バター、カルピスバター、よつ葉バターと続きます。原材料は、トラピストバターだけが「クリーム、食塩」ですが、その他は全て「生乳、食塩」となっています。
商品名も、値段も秘密!!お好きなバターはどれですか?
1種類ずつお皿にバターを乗せ、名前も値段も隠しておきます。味の感想とお好きなバターを教えてください、とお願いして食べ比べてもらいました。どのバターが一番人気になるのかドキドキです。食べ比べてもらったのは20〜40代の男性女性、合わせて8人です。
1.冷蔵でフランスから空輸される、「エシレ発酵バター 有塩」
フランスの中西部にあるエシレ村は、優れた乳製品の産地として知られています。新鮮さを保つため、冷蔵の状態でフランスから日本へ空輸されています。
エシレバターは50gの小さめサイズだったのも関係しているのか、他のバターよりもずっと柔らかく感じました。これだけ柔らかいとパンに塗るのも、お菓子作りにも使いやすいともいます。
「エシレ発酵バター 有塩」を食べた8人の感想は、「しょっぱい」「塩気が強い」と共通していました。確かに口に入った瞬間、強い塩気を感じます。口溶けがいいのであっという間に口の中でなくなってしまい、後からバターの風味を感じます。
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2.口溶けよくホイップされた、「よつ葉 パンにおいしい発酵バター」
北海道の「よつ葉バター」でも発酵バターが作られています。よつ葉からは何種類か発酵バターが販売されていますが、一番手に入りやすいのがこの「パンにおいしい発酵バター」です。北海道産の生乳と塩のみで作られ、パンに塗りやすいようにバターがホイップされているのが特徴です。バターナイフがスッと入ってしまう柔らかさで、軽さがあり塗りやすいです。
「よつ葉 パンにおいしい発酵バター」で一番多かった感想は、「ミルク感が強い」というもの。軽くてふわっとしているのに、コクがしっかりと感じられます。「エシレ発酵バター 有塩」より酸味があり、ヨーグルトのような軽い酸味がします。クリーミーというのがぴったりなバターです。
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価格:328円 |
3.明治35年から製造されている看板商品、「小岩井純良バター」
今回の発酵バター食べ比べの中で、ただ一つの瓶入りバターが小岩井乳業の「小岩井純良バター」です。発売当時、ヨーロッパ式の製法で作られた発酵バターは日本にはほとんどありませんでした。
今も変わらぬ製法で作られている「小岩井純良バター」は、バターになる前のクリームの段階で乳酸菌を加えて長時間発酵させているのが特徴です。レトロなデザインの瓶はおしゃれなだけでなく、空気に触れて風味を損なわないよう発売当初からのこだわりが込められています。
「小岩井純良バター」は「あっさりしている」「口どけがよい」という感想が多く、口に入れた瞬間に発酵バターのコクや塩気を感じますが、サッと口の中で溶けてしまいます。酸味はほとんど感じず、パンにぬるだけでなく料理にも使いたい発酵バターです。
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価格:1,500円 |
4.カルピスを作る工程で生まれた「カルピス 特撰バター」
カルピスというと、あの白地に青の水玉模様のボトルに入った乳酸菌飲料が思い浮かびます。「カルピス 特撰バター」は、そのカルピスを作る工程で生まれました。はじめは業務用としてのみ販売されており、一流のトップシェフ達からも絶賛される秘伝の「幻のバター」と呼ばれていました。
その後家庭用の「カルピス 特撰バター」も販売され、生産量は限られているもののスーパーマーケットでも買えるようになりました。紙製ですが化粧箱のようなデザインは高級感があり、思わず気分の上がる国産発酵バターです。
「カルピス 特撰バター」は他の発酵バターと比べてみると、その白さが分かります。際立って白いので、見ただけで「カルピス 特撰バター」だと分かってしまうほど。食べ比べた感想は「爽やか」という声が多く、カルピスらしいほのかな酸味がスッキリした味です。口の中で溶けてしまった後から、塩気とコクがあふれ出してきます。
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価格:1,570円 |
5.生きた乳酸菌が入った、修道院で作られる「トラピストバター」
紺色の缶に英語とカタカナで「トラピストバター」と書かれた、レトロなパッケージが目を引きます。ふたに描かれている建物はトラピスト修道院で、「トラピストバター」はこの修道院で作られています。明治29年に来日した数名の修道士によって創立された修道院は、原野を開拓し、道南に酪農をいち早く取り入れたことでも知られています。
修道院では「トラピストバター」を使ったクッキーやバター飴も販売していて、直売店では4月末あたり~10月末までソフトクリームも販売しています。スプーンの代わりにトラピストクッキーが付いてくる、ぜひ食べてみたくなる一品です。
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価格:1,080円 |
5種類の発酵バターを見比べてみると、「エシレ発酵バター 有塩」と「トラピストバター」は他に比べて黄みがかった色をしています。「エシレ発酵バター 有塩」も塩気を強く感じましたが、「トラピストバター」も同じく「しょっぱい」という感想が多かったです。「いつも食べている味」という声も多く、バターのコクも感じられる食べやすいバターです。
【結論】エシレに近いのはトラピストバター、コスパで考えるならカルピス
5種類のバターを食べ比べてもらい、どのバターが一番好きかを答えてもらいました。予想では「エシレ発酵バター 有塩」が人気なのかな、と思っていました。
2票ずつ入ったのは、「よつ葉 パンにおいしい発酵バター」「カルピス 特撰バター」「トラピストバター」、1票が「エシレ発酵バター 有塩」「小岩井純良バター」と意外にも好みはバラバラで、一番人気が決められませんでした。
「エシレ発酵バター 有塩」を基準に考えるなら、一番風味が近いのは「トラピストバター」です。「エシレバター」と比べると値段は控えめなのに量があるので、パンに塗るだけでなく料理にも使うことができます。塩気もしっかりとしているので、バターソテーにも最適です。
味もよくコストパフォーマンスがいいのは「カルピス 特撰バター」です。お菓子作りでバターを使う機会が多いという方には特におすすめです。今回は有塩でしたが、食塩不使用のものもあります。いつものパンケーキに乗せるだけで、簡単にグレードアップできます。