名物であればあるほど困ってしまうのがお店探し。大満足で旅行を終えて帰ってきたら、新幹線の駅や近所のショッピングセンターに店舗を見つけた経験はありませんか? せっかく来たんだからそこでしか食べられない物を食べたい! 宮城県内以外に店舗がなく仙台駅前に複数店舗ありながら大行列ができる「たんや善治郎」をご紹介します。
仙台名物誕生の秘密!仙台が牛たんの聖地になったワケ
「仙台名物と言えば牛たん」というのは広く知られていますが、その理由まで知っている方は少ないのではないでしょうか。
宮城県の畜産農家は手間暇をかけて1頭1頭丁寧に育てる小規模農家が多く、宮城県の銘柄牛と言えば「仙台牛」が有名です。肉用牛飼養戸数は全国第4位、肉用牛飼養頭数は全国第9位です。畜産が盛んではあるけれど、牛たんがこれほどまでに知られるようになったのには別の理由があります。
「牛たん焼き」が生まれたのは今から70年ほど前、戦後の食糧難の時代です。元々日本には牛の舌を食べる文化がありませんでしたが、当時仙台で焼き鳥屋を経営していた佐野啓四郎さんは鶏肉だけでなく豚肉や牛肉など様々な肉を焼いて提供していました。佐野さんは様々な料理を開発していましたが、すぐに他のお店でも同じような料理が並ぶため、誰にも真似できないオリジナル料理を作りたいとの思いから約2年かけて開発したのが「牛たん焼き」でした。
その後迎えた高度経済成長で、転勤や出張で仙台を訪れたビジネスマン達に「牛たん焼き」が知られるようになり、地元に帰った際に話題にのぼるようになったそうです。
また、全国に牛たんを広めるため大きな役割を果たしたのが、仙台で牛たん専門店を営んでいた大川原 要さんです。2号店をオープンする際、看板に「仙台名物」と掲げたのが「仙台名物と言えば牛たん」の始まりであり、全国的に知られるきっかけとなりました。
さらに1991年の「牛肉輸入自由化」により低価格で入手できるようになり、仙台で牛たんを扱う店がさらに増えました。今ではおみやげ用の牛たん風味のお菓子も販売されるほど、「仙台と言えば牛たん」が定着しています。
仙台でしか味わえないこだわりの牛たん「たんや善治郎」
「たんや善治郎」の店舗は宮城県内のみ、13店舗展開しています。
「仙台駅に着いたらそのまま牛たんを食べたい」「新幹線に乗る前に牛たんを食べたい」と駅チカ重視なら駅チカの3店舗がおすすめです。
- JR仙台駅西口から徒歩2分の場所にある「仙台駅駅前本店」 ※土日祝は予約NG
- JR仙台駅3階の新幹線改札口横の一角にある「牛たん通り店」 ※予約不可
- 仙台駅西出口1を出て徒歩1分の場所にある「南町通り店」 ※予約可
どの店舗も仙台駅からすぐ行けるとあって連日行列が絶えない人気店です。日程が決まり次第予約すると待ち時間を短縮できます。
「牛たん通り店」は予約を受け付けていませんが、ポジティブに考えれば行列に並べば食べられるということですね。
また、仙台駅徒歩5分圏内に「たんや善治郎 別館」「たんや善治郎 立ち呑み処」「たんや善治郎 三陸海鮮部」「五橋キッチン kiechan’s」もあります。こちらはどの店舗も予約できますので、旅の計画に合わせて店舗を選べます。
宮城県内の店舗は他に6店舗。
- 「二日町店」:地下鉄南北線「勾当台公園駅」徒歩3分
- 「多賀城駅店」:JR多賀城駅構内、改札前
- 「北根店」:仙台駅方面から泉中央方面へ県道22号を5kmほど
- 「多賀城店」:多賀城駅から徒歩12分、松島観光と一緒に◎
- 「長町モール店」:仙台市地下鉄長町南駅直結
- 「タピオ店」泉アウトレットのお買い物ついでにも
観光や車での旅行などでも立ち寄れます。どの店舗もとにかく人気なので「行列を避けたい」「効率的に旅をしたい」という方は旅行日程を決めたらすぐ予約、またはお店の予約時間を決めてから旅行日程を組むのもいいですね。
時間がなくて店舗で食べられないという方には、仙台駅構内や直売店、各店舗で販売しているお弁当がおすすめ。
少しでもお得に食べたいという方は、たんや善治郎 台原直売所・北仙台直売店へどうぞ。直売店限定の割引価格でお弁当を購入できます。
価格:4900円 |
価格:6400円 |
【実食レポ】たんや善治郎 長町モール店で牛タンを堪能
今回私が訪れたのは、たんや善治郎長町モール店。
仙台駅から車や地下鉄を使っても15分ほどで到着できますので、仙台駅周辺店舗で行列に並ぶより早く食べられるかもしれません。
店舗はザ・モール仙台長町本館の3F。同じフロアには紀伊国屋書店やスリーコインズ、ポポンデッタなど、世代や性別を問わずに見て回れる店舗が並んでいます。
たんや善治郎長町モール店が満席の場合には、入口に名前と人数を書く用紙が用意されています。あとは名前が呼ばれるのを待つだけです。
三連休初日の土曜日、13時頃に店舗に到着すると7組ほど待っていました。30分ほど待つかと思っていたのですが、実際には10分ほどで名前を呼ばれました。
店内は落ち着いた和の雰囲気。三世代で来店しているご家族連れや友人同士、小さな赤ちゃんを連れた若いご夫婦などどなたでも入りやすく、ゆっくりと食事を楽しめる空間です。
善治郎の牛たん焼きは塩焼のみ。使われているのは塩を挽いた「粉挽き塩」。
口当たりが良くまろやかな旨みがあり牛たんにもスッとなじみます。その塩の旨味がしっかりと染みこんだ牛たんは、ほどよい分厚さがありながらさくっとした歯切れのよさがたまりません。
職人さんが一枚一枚牛たんの厚さや霜や筋の入り方を見ながら丁寧に切り込みを入れているので、小さいお子さんや年配の方でも食べやすい牛たんに仕上がっています。
「強火の遠火」の炭火で焼いた牛たんは、外側はこんがり香ばしく、中はしっとりジューシーです。
牛たん一枚一枚の厚さを見ながら焼く時間を変え、一番おいしい状態で私たちのテーブルに届けられます。
今回注文したのは定番の「牛たん定食」と「善治郎定食」。
「牛たん定食」は3枚(6切れ)〜6枚(12切れ)までお好みの量を選ぶことができます。
とろろかサラダのどちらかを選べ、麦めしは1回無料でおかわりできます。
しっかりとした厚みがあるので3枚(6切れ)でも十分食べごたえがあります。
「これだけ厚みがあると噛みきれないかも」という不安は、ひと口食べれば一瞬で解消されます。驚くほど簡単に噛みきれ、じゅわっと口いっぱいに広がる牛たんはまさに箸が止まらなくなるおいしさです。
「善治郎定食」は牛たん塩焼きに牛たんつくね、牛たんソーセージ、ゆでたんが付いた定食です。
せっかく仙台で牛たんを味わうのだから、牛たんを味わい尽くしたいという方にぴったりです。
最初にテーブルにやってきたのはゆでたん。牛たんのうまみをたっぷり吸った仙台麩も添えられています。ほろっと柔らかく塩焼きとは全く違う牛たんの風味を堪能できます。
続いて牛たん塩焼き3枚、牛たんつくね、牛たんソーセージがやってきましたが、ひと皿に乗っているので思わず歓声をあげてしまう豪華さです。
牛たんソーセージはたっぷり2本。ぷりっとした歯ごたえとじゅわっとあふれる肉汁がたまりません。香ばしさとほどよい肉の食感を感じられる牛たんつくねは、思っていた以上に濃厚なうまみを感じられます。
牛たんに添えられているのは白菜のお漬物と南蛮味噌。白菜はシャキシャキとした歯ざわりが心地よく、口の中をさっぱりとさせてくれるのでいい口直しになります。
そして青唐辛子を味噌漬けにした、ピリッとした清々しい辛さの南蛮味噌。牛たんの風味を引き立て、他の肉料理にもよく合うこともあってお土産にも大人気です。
牛たんに欠かせないあつあつのテールスープには、細切りのねぎがたっぷり。大きめのお肉がごろっと入っていて、ほっとする深いコクを味わえます。
仙台で牛たんを食べるなら「たんや善治郎」
牛たん専門店が多い仙台だからこそ、どのお店を選べばいいのか迷ってしまうもの。どのお店もおいしそうで決められないなら、ぜひ仙台駅周辺に店舗も多く、家族連れや女性だけでも入りやすい「たんや善治郎」へ行ってみませんか?