イチゴがおいしいこの季節。 スーパーや八百屋さんに行くと、様々な種類のイチゴが売り場を彩っています。 私がいつも買うイチゴはとちおとめ。関東育ちの私にとってイチゴといえばとちおとめでした。 だけど、たまにはいつもと違うイチゴも食べてみたい、種類によって味はそんなに違うものなの? そう思い、旅する食卓編集部でイチゴの食べ比べをしてみることにしました。 7種のイチゴを食べ比べ! 今回食べ比べをしたのは上から時計回りに ・恋みのり ・あまおう ・やよい姫 ・淡雪 ・スカイベリー ・ゆうべに ・紅ほっぺ の7種類。あまおうと紅ほっぺ以外は初めて目にする品種でした。 それぞれのイチゴの特徴については次で詳しくご紹介します。 イチゴ7種類を食べ比べしてみました それでは、食べ比べをしたイチゴの特徴をご紹介します。 今回はそれぞれのイチゴのサイズ感をお伝えするため、計測した重さも記載します。 定番&王道・あまおう(福岡県産) 【あまおうとは】 あまおうとは、福岡を代表する果実の大きさが特徴的なイチゴ。 2001年に品種登録出願、2005年に登録されました。 赤くてつやが良い、糖度が高い特徴を持つことから、「あ」かい、「ま」るい、「お」おきい、「う」まいの頭文字をとって「あまおう」と名づけられたそうです。 【あまおうの重量】 15g 【あまおうの購入価格】 754円/1パック 【あまおうを食べてみた感想】 今回食べたあまおうは、少し小ぶりでした。…
3月
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デコポンと不知火は同じ品種です デコポンと不知火といえば、よく見かけるかんきつ類の一つですよね。ぽこっと飛び出た頭。甘く瑞々しい果実と食べやすさが人気のかんきつ類です。見かけも味も似ているこの2つのかんきつ類、呼び名は違いますが、実はどちらも同じ品種だということを知っていましたか。不知火というのは、品種の名前。デコポンは不知火の中で一定の基準を満たしたものにつけることができるブランド名なんです。2つの名前がなぜ生まれたのか。そこには、少しばかり複雑な事情があったんです。 不知火もデコポンも濃い甘みと手でむける手軽さが売り 1~5月に収穫される温州ミカンを除くかんきつ類は、中晩柑と呼ばれます。この中晩柑の中で、栽培面積、収穫量、出荷量で全国トップを誇るのが不知火。露地物が出回る今の時期は不知火の旬です。ごつごつとした皮は、意外なほど柔らかく手ですっとむけ、果実を包むじょうのうも薄いので、食べても気にならない。ほどよい酸味を残しながらも甘い果実は瑞々しく、柔らかです。 不知火の収穫量でトップをいくのはやはり熊本県。全収穫量の約25%を占めます。今の時期になると、くまモンがあちらこちらでPRしているのも、そのためですね。 偶然から生まれたデコポン 不知火が生まれたのは1972年。長崎県の園芸試験場(現・果樹研究所カンキツ研究部)において、清見オレンジとポンカンの交配により誕生しました。ただ、この段階では製品としての日の目は見ていません。玉の揃いが悪く、形がいびつだったことから、選別の過程で放棄されてしまったんです。 長崎県において、一度は捨てられた品種。そこに目を付けたのが熊本県不知火農協でした。この時代、かんきつ類の産地は苦境に陥っていました。かんきつ類の主流となる温州ミカンが生産過剰により価格の暴落を起こしていたからです。また対米輸出の急増により生じた貿易問題を契機に、オレンジの輸入自由化の議論も進んでいました。温州ミカンの価格暴落は熊本県の特産であった甘夏にも影響、売れ行きが落ち込むという足元の問題と自由化への懸念がありました。不知火農協では、この状況を打破すべく、試験園を設け、甘夏にかわる品種を模索。果樹は170種類を集め、検討していたその中に、たまたまあったのが不知火でした。 ただ、この段階で不知火はあくまでも集めた果樹の中の一つ。まったく期待されていませんでした。というのも、酸味が強かったからです。不知火は熟成させることにより、酸味がやわらぎ、コクと甘味が引き立つようになります。いま、私たちが手にしているのも熟成期間を経たもの。当然ながら、当時、そのような知識はありませんでした。 「熟成」が必要だということがわかったのは、ある偶然から。試験園の園長が、たまたま取り置き放置していたものを食べたことがきっかけでした。酸味は抜け、甘くなっている。その場に居合わせた市場関係者にも食べたもらったところ、「おいしい」と太鼓判をもらったことから、不知火農協を挙げての産地づくりが開始しました。甘夏の樹木に接ぎ木をし、生産面積を広げるとともに、酸味を抜くための熟成方法、土壌管理、施肥技術などを開発し、栽培を拡大していきました。 3月1日は「デコポンの日」です! 初めて東京市場に出荷されたのは、1991年3月1日。25トンが出荷されました。最高値は5キロ7千円。甘夏の3~4倍に相当する価格といわれています。3月1日が「デコポンの日」となったのは、初出荷を記念してのこと。「デコポン」という名前は翌1992年に熊本県果実農業協同組合連合会により商標登録として申請され、1994年に認定されました。もともと「デコポン」は農家の間で呼ばれていた名称。ぽこっと飛び出たヘタの部分の形状と、ポンカンを親に持つことから自然発生的に生まれたものと言われています。 デコポンを名乗るための3つの条件 当初、デコポンという名は申請さえすれば、だれもが使えるものでした。生産地が全国に広がり、認知度も高まる。良い面がある一方で、品質にばらつきが生じることが問題となってきました。もともと熊本県などでは、基準を設け品質を高める努力をしていましたが、他の産地においては同様の基準がない場合もあり、「デコポン」という同じブランド名がついたものの中で差が生じる結果となってしまったんです。 熊本県果実農業協同組合連合会では、「デコポン」というブランドの品質を守るため、1997年、所有していた「デコポン」の商標に関する権限を、上位団体である日本園芸農業協同組合連合会に委譲。同連合会の傘下の農業団体(JA)と柑橘生産のある農業団体(JA)に「デコポン」の名称使用を限定しました。 同時に「デコポン」というブランドの品質を守るための2つの基準を設けました。1つは糖度13度以上であること、そしてもう一つはクエン酸が1.0%以下であることです。計測に用いる機械も決まっています。 結果として、現在デコポンを名乗れるのは、JAを介したものであり、かつ2つの基準を満たしたものとなりました。言い換えると、JAを介していないものは、たとえ2つの基準を満たすレベルの糖度と酸味であっても、「デコポン」と名乗ることはできず、「不知火」として販売されるということになりました。これが2つの名前が混在するようになった理由です。不知火がおいしくないというわけではなく、販売ルートの問題等もあり、使えないという大人の事情があるということがポイントですね。 デコポン選びは皮、重さ、軸の色で デコポンを選ぶ際のポイントは3つ。皮の状態と重さ、軸の色です。皮の色は濃く、均一であり、かつはりのあるものがおすすめ。手にしたときに、ずっしりと重みのあるものは、果汁が多いとされます。また軸が緑色のものは鮮度がよい証拠となります。 皮を手でむくときにはデコの部分に親指を入れ、剥き始めるときれいにむけます。果実を包むじょうのうを食べるか否かは、個人の自由。サラダなどに使うときには、じょうのうをむいたほうが、色鮮やかできれいではありますが、じょうのうは薄い上に、果実は柔らかくつぶれやすいため、きれいに剥きとるのは少し難しくもあります。 中晩柑の人気者、デコポンと不知火は何が違う? was last modified: October 26th, 2020…