進化する食卓

「四葉きゅうり」はサラダにも漬物にも◎、でも生で食べると一番おいしい

ぽりっ。ぽりぽりっ。小気味よく響く食感がうれしくて、ついつい一本丸かじりしてしまいました。一年中スーパーで手に入るので、旬を意識することもあまりなくなってしまいましたが、夏野菜の代表格といえばきゅうり。今回紹介するのは、そんなきゅうりの中でも、市場に出ることの少ない「四葉きゅうり」と呼ばれるものです。

「四葉」と書いて「すうよう」と読む中国系のきゅうり

「よつば」と呼びたくなってしまいますが、正しい読み方は「すうよう」。中国系の品種です。きゅうりは、華南系と華北系に大別されます。原産地インド方面から沿海路を北上し、華南、華中に土着したものが華南系。これに対し、華北系はシルクロードを経て、華北に伝播したものを指します。

四葉きゅうりは、華北系に属するもので、日本には大正から昭和初期に導入されたといわれています。

「四葉きゅうり」はレアなので見かけたときが買い時

長さは25~30cm超、断面の直径は1.5cmほど。細長く、少し曲がったものもあります。皮のしわは深く、ちりめん状で、ごつごつとした手触り。一見すると、硬そうな印象を受けますが、実は皮が薄いというのが四葉きゅうりの特徴です。このため、歯切れのよい食感を楽しめるほか、漬物用としても重宝されている品種です。

いぼが、流通段階で欠けやすく、店頭に並んだ際に見た目が悪くなってしまうこと。いぼが欠けてしまうと、欠けた部分から傷んでいくことから、流通量は少なくなりましたが、ぱりっ、ぽりっとした食感と、濃いうまみをもつ四葉きゅうりを好む人も多く、家庭菜園などで栽培する人もいるそう。

産直コーナーで見かけたときにはぜひ手に取ってもらいたいきゅうりなんです。

「四葉きゅうり」は生で丸かじりが一番

おすすめの食べ方は、やはり生でまるかじり。これぞきゅうりという食感、味が楽しめます。また炒めて食べることにもむいているのが、四葉きゅうり。普通のきゅうりの場合、少し水っぽさが気になりますが、四葉きゅうりは水分が少ないので、水っぽくなる心配もあまりありません。いかや豚肉、鶏肉とさっと炒め合わせ、塩で味付けをするだけで、おいしくいただけます。

かつて「もっともカロリーの少ない野菜」としてギネスに認定されたきゅうり。日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、100gあたりのエネルギー量は14kcalと野菜類の中ではかなり低い方に分類されます。

95.4%が水分であることによりますが、栄養価という面で劣っているわけでもなく、カリウム、ビタミンC 、βカロテンを含みます。特にカリウムは、細胞内の浸透圧調整にかかわる重要なミネラル。過剰なナトリウムの体外への排出を促す役割を担います。ナトリウムは水とともに、体外に排出されるため、むくみや高血圧予防にいいとされています。

ABOUT ME
蒼井 翠
北海道で生まれ、全国各地で育つ。専門紙で10年超、記者をした後、再び大学へ。食の知識を深めるべく、親子ほど年の離れた学生と学ぶ日々を送る。地域に根付く食、そして、食を支える人々。その思いを届けることが、目下の目標。