進化する食卓

色も香りも風味も世界最高水準「鶴ヶ島サフラン」

まぶしいくらいに鮮やかな黄色、なんともいえず豊かな香り。土鍋の蓋を開け、目に飛び込んできたサフランライスに思わずため息がこぼれました。世界でもっとも高級な香辛料とも言われるサフラン。たったひとつまみで、こんなにも五感を豊かにしてくれる香辛料はほかにはないかな、とも思ってしまいます。そんなサフランが、埼玉県鶴ヶ島市で作られているってご存知ですか?

サフランでまちを元気に、鶴ヶ島市が産官学一丸で特産化

埼玉県のほぼ中央に位置する鶴ヶ島市。人口7万人の小さな市で生産されているのが「鶴ヶ島サフラン」です。広い土地がなくても栽培でき、収益性も高いサフラン。多品種を少量生産する農家の収入拡大、そして地域資源として市の活性化にもつながるのではと、鶴ヶ島市で2012年から始まったのがサフランの特産化に向けた取り組みでした。

産官学が連携し、特産化を推進。現在モデル農家など20軒で生産されており、2016年度には1.1キログラムを収穫。市内の飲食店や菓子店などに卸しているほか、JAいるまの鶴ヶ島農産物直売センターでは、0.4g入り500円、0.5g入り650円で販売されています。

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日本のサフラン栽培の歴史

サフランは、アヤメ科クロッカス属の多年性球根植物です。薄紫色の6つの花弁。その中心から伸びる3本の細く長い雌しべの上部(柱頭)を摘み取り、乾燥させたものです。

日本で本格的な栽培が始まったのは明治時代。最盛期には全国各地で栽培が行われ、1000kg近くも生産されていたといわれますが、いまは衰退の一途をたどっています。2015年産はわずか18kg。その8割は大分県竹田市で、そのほかに大規模生産を行う地はなくなりました。

一方で輸入量は右肩あがりに増加。2016年をみると、輸入量は2102kg(2016年実績)で国内生産量の100倍以上にまで拡大しています。

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ISOでグレードⅠ、品質の高さはお墨付き

世界一の品質と言われてきた国産サフラン。鶴ヶ島市が栽培を進めるにあたりこだわったのも、この品質でした。栽培方法に関しては大分県竹田市の手法を受け継ぎ、室内栽培を採用しました。冬に畑に植えた球根を春に堀り起こし、暗い室内に保管、花を咲かせるというものです。

通常は芽→茎→花という順に成長しますが、暗い室内に入れることで、芽から一気に花を咲かせることができます。葉に栄養分をとられない分、花(雌しべ)に栄養を与えることができるというわけなんです。

また販売という面にもこだわりがあります。それは、収穫から1年以上たったものは売らないということ。協力する大学の研究結果から、サフランは経年劣化で品質が落ちるということがわかったためです。サフランの品質は、色、風味、香りにより決まります。それぞれ、クロシン、ピクロクロシン、サフラナールという成分が関係しており、国際標準化機関であるISOでは、その含有量により、グレードⅠ~Ⅲを決めています。ISOで定められた分析試験により、分析した結果、鶴ヶ島サフランは、3成分すべてにおいて、グレードⅠ(最高水準)であることが認められました。

「高品質なものへのニーズはある」(鶴ヶ島市)というように、少しずつ、着実に「鶴ヶ島サフラン」は広がりをみせています。商品の問い合わせは、鶴ヶ島市役所産業振興課 電話(代表)049(271)1111まで

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ABOUT ME
蒼井 翠
北海道で生まれ、全国各地で育つ。専門紙で10年超、記者をした後、再び大学へ。食の知識を深めるべく、親子ほど年の離れた学生と学ぶ日々を送る。地域に根付く食、そして、食を支える人々。その思いを届けることが、目下の目標。