『多くの福を招く』として、縁起の良い食べ物とされるお多福豆。そのお多福豆だけを専門に製造販売するお店が、有楽町線要町駅から少し歩いた静かな住宅地の中にあります。 形がくずれたりしたものを「こわれ」として、数量限定で販売していると聞き、9:30のオープンと同時に訪れました。 三代続くお多福豆専門店「長府屋」 以前に知り合いからいただいて味は知ってはいたものの、お店を訪れるのは今回が初めてでした。多くの車が行き交う要町通りから一本入ると、辺りは一気に静かな住宅地となります。近くには熊谷守一美術館があり、 立ち寄ってみたい気持ちを押さえながら長府屋を目指します。 老舗と聞いていたので、和風の古い建物を想像しながらお店に向かって歩いていたところ、到着してびっくり!レンガの外壁に緑のドア、赤い看板がかわいらしい、洋風の外観でした。中に入るとこじんまりした店舗の奥は作業場になっていて、豆を煮る良い香りがお店の方まで漂ってきます。 そして、目的の「こわれ」を発見!早い時間に来た甲斐がありました。呼び鈴を押すと作業場からお店の方が出てきてくれます。 自宅用に「こわれ」と、母からの頼まれものの箱入りを、それぞれ一つずつ買い求めました。 そもそもお多福豆とは 大粒のそら豆をお多福豆と呼び、それを甘くしっとり煮込んだものもまた、お多福豆と呼ばれます。そら豆の煮汁とカラメル状の砂糖が絡み合って生まれる、つやのある黒色が特徴です。 長府屋では、大正7年の創業当時からの着色料、保存料、防腐剤などを一切使用しない製法で作り続けているそうです。 無農薬栽培された大粒のそら豆を、厳選した上白糖を用いて、そら豆の持つ風味を残しつつ柔らかく上品な甘さに炊き上げています。 実は私、塩ゆでなどのそら豆は独特な匂いが正直苦手なのですが、こちらの甘く炊かれたお多福豆は大好きです。 緑茶はもちろんコーヒーにも合う! 「こわれ」と言っても、少し欠けたり潰れたりしている程度で、粉々になっているわけではありません。大粒の豆はふっくらと煮られていて、皮は小豆などよりも薄く、崩れるような食感で口の中に残りません。甘さはしっかりとしているもののすっきりと切れがよく、甘みが薄らいだ頃にそら豆の少し青いような優しい香りが、鼻からふっと抜けていきます。 渋めの緑茶と相性抜群で、ひとつまたひとつといくらでも食べられてしまいます。コクのある甘さは緑茶だけでなくコーヒーにもぴったり。すっきりとしたブラックコーヒーと合わせれば豆の香りが引き立ちます。 お茶と一緒に上品にいただくのもいいですが、ラフに味わうのも「こわれ」ならではの楽しみ方。大きなものは食べ終えて、かけらやみつが残ったパックの中に、冷えたご飯を入れてしっかり絡めていただきます。すっきりとした甘さと豆の香りは上質なおはぎを食べているよう。個人的には、小豆のおはぎより好きかもしれません。 自宅用なら「こわれ」が断然お得です ところで「こわれ」ってどれくらいお得なんでしょう。気になったので、通常品を母親がお茶の先生のところに持っていく前に、重さを比較してみました。 結局は通常品(800円)が402gに対して「こわれ」(500円)はなんと468g!容器の違いなどがあるため正確な比較ではありませんが、かなりお得のようです。 家でいただくのであれば、ぜひ早めの時間に来店し、「こわれ」をゲットしましょう! 高いだけじゃない通常品の魅力 「こわれ」と比較してしまうと高いように感じてしまう通常商品ですが、もちろん違った魅力があります。 まず、その違いは箱を開けたときに分かります。ふたを外すと中には大ぶりのお多福豆がお行儀良く並んでいます。ひとつを箸でつまみ上げると、つやつやとして形の良い美しい姿。どこに出しても恥ずかしくないってこういうことだな、と思わせられます。 そして、もうひとつの魅力は安定して買えること。早く行かないと売り切れてしまう「こわれ」に比べ、午前中ならほぼ確実に手に入れられます。賞味期限が製造から2週間と短めなので、使う直前に確実に買えるのは重要です。 手土産はもちろん、大切なお客様へのお茶受けなどには、箱入りの通常品がおすすめです。 お多福豆はおせちにもおすすめ お多福豆は縁起の良さからおせちにも用いられます。ただ、家で作ると皮が固かったり、中に芯が残ったり、色が悪かったりとおいしく煮るのは至難の技。ましてやお正月にいただくのであれば、見た目の美しさにもこだわりたいですよね。 通常品は30粒入って800円なので、百貨店の高級おせちに入っていてもおかしくない上品な味を、お求め易い価格で入手できます。 通信販売も行っていますので、遠方に住んでいらっしゃる方でも購入可能です。…
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