木綿でも絹でもない。もちろんおぼろ豆腐や充填豆腐とも違う「嵯峨豆腐」という豆腐があるのをご存知ですか。 にがりではなくすまし粉(硫酸カルシウム)で固める、木綿と絹ごしの中間くらいのなめらかな豆腐です。 私は最近テレビで見て知り、これは湯豆腐で食べてみたい!と「嵯峨豆腐 森嘉」まで買いに行ってきました。 「嵯峨豆腐 森嘉」、そのお豆腐の特徴とは? 名水で知られる京都には、たくさんの豆腐屋や豆腐が食べられる料理店があります。 中でも嵐山・嵯峨野周辺は湯豆腐が名物で、その多くの料理店が森嘉から仕入れているのだとか。 さらに「嵯峨豆腐」という名前も森嘉の登録商標です。 森嘉も戦前までは凝固剤ににがりを使っていましたが、戦後に入手しにくくなったため、すまし粉で作る手法を取り入れたそうです。 にがりを使うと大豆の風味や甘みが出やすく味の濃い豆腐に仕上がり、すまし粉を使うとなめらかでやわらかいのにコシのある、あっさりとした味の豆腐になるそうです。 「嵯峨豆腐 森嘉」は驚くほどの工場直売 嵯峨野のお寺や住宅に囲まれた静かな場所に森嘉はあります。 観光客の多い嵐山駅周辺から北に15分ほど歩いたあたりで、近くまで行くと豆腐の香りがふんわりと漂ってきます。 川端康成や司馬遼太郎の作品の中でも紹介された歴史ある名物豆腐ということで、お店もさぞかし格式高いのだろうと想像していました。 しかし到着してびっくり! いわゆる「お店」というものはありません。そこはまさに工場そのものです。 少しのぞきこめば豆腐を作ったり油揚げを揚げたりする活気のある様子が見られます。 ショーケースすらない豆腐工場をお店に見せているのが、建物の前にある商品サンプルです。 大きさや形状などわかりやすい上おいしそうで、ついつい目当てのもの以外も気になってしまいます。 何を買おうか迷っていると、工場内で豆腐を作っている方々と同じかっこうの女性が注文を聞きに来てくれました。 迷いに迷った結果、嵯峨豆腐以外に焼き豆腐とひろうすも買うことにしました。 湯豆腐で食べる森嘉の嵯峨豆腐 通常の豆腐は1丁300~400gのものが多いですが、森嘉の豆腐は1パックなんと800g! 湯豆腐にして約4人前あります。消費期限は当日中。 その日食べられないときは、十分に水にさらしてから他の容器に移し替えて冷蔵庫で保存し、次の日中には食べてほしいとのことです。 まずはそのまま何もかけずに食べてみました。 豆臭さやえぐみなどなく、豆腐というよりも搾りたての豆乳のようなあっさり素直な味がします。 濃厚な豆腐を求める方はすっきりしすぎと感じるかもしれません。 次に湯豆腐で味わいます。昆布でだしを取り、豆腐の他はネギ、白菜、えのきと定番具材を用意しました。 ほどよく温まったところをいただくと、なめらかな舌触りなのにコシがあり上品で繊細な味わい。…