進化する食卓

京都でふぅふぅ食べたいうどん屋さん「冨美家(ふみや)の冨美家鍋」

寒い日は外に出るのがおっくうになりますよね。それでも出かける用事がある時は、お昼に温かくておいしいものを食べると決め、気分を盛り上げます。
特に寒い日に食べたくなるのは鍋焼きうどん!「冨美家鍋」で有名な「冨美家」の 錦店が10月にリニューアルオープンしたので行ってきました。

京の台所「錦市場」で愛され続けるうどんや「冨美家(ふみや)」

今でこそ観光客向けの店舗が多くなった錦市場ですが、京野菜、漬物、佃煮、乾物からお茶、お菓子まで、京都の食文化を長きにわたり支えてきました。

そんな錦市場の中にある冨美家は、庶民の味として地元の人々に親しまれています。錦市場で日々の買い物をするいう方は少なくなったものの、高島屋や大丸といった百貨店から近いこともあり、紙袋を手にしたご婦人が一人で立ち寄る様子をよく見かけます。

「冨美家」に来たならまず食べて欲しい「冨美家鍋」

昭和21年、「冨美家」は甘味処として創業しました。その17年後の昭和38年に看板商品「冨美家鍋」が生まれました。
当時高価だった鍋焼きうどんを手軽に食べられると人気となり、50年以上たった現在まで愛され続けています。

冨美家鍋の特徴は、なんといっても分厚い衣のえび天!
えび天を初めて見た時はほぼ衣と言っても過言ではないその姿に驚きましたが、だしがしっかりが染み込んでやわやわになった衣が絶品!だしを味わうためにはこのえび天がベストなのですね。

香ばしく焼かれたお餅、厚みのあるしいたけの煮つけ、かまぼこ、お麩、九条葱、そして中央に落とされた卵。
バラエティーに富んだ具で、最後まで飽きることがありません。

そして、忘れてはならないのがだしです。
「冨美家」のだしは、天然利尻昆布に鯖、いわし、宗田鰹をブレンドした削り節を合わせて大釜でじっくり煮出してとり、白ザラメとみりん、うすくち醤油で味付けされています。甘みのある優しい味わいの澄んだだしは、ついつい最後まで飲み干してしまうおいしさです。

他のうどん屋さんでは冬季限定のことが多い鍋焼きうどんですが、「冨美家」では1年中食べられます。
看板メニューということもあり夏でも人気で、汗だくになりながらアツアツのうどんをすするのは冬とは違った魅力があります。

「冨美家」だけでなく京都の「たぬきうどん」に揚げ玉は入っていません

冬にこそ食べたいもう一品は「京のたぬきうどん」です。
柔らかい細めの麺の上には、甘く煮含めた肉厚のジューシーなおあげと九条葱。優しい味のあんとトッピングのおろし生姜で、食べればポカポカ温まります。

関東で「たぬきうどん」といえば揚げ玉がのったものを指しますが、京都ではきつねうどんにあんをかけたものを「たぬきうどん」と呼びます。
以前、生まれも育ちも京都という友人に、「冷やしたぬき」が食べたいと言って不思議な顔をされたことがあります。彼女の中で「たぬきうどん」といえば、あんがかかったアツアツのうどん。それの冷やしって…?となったようです。

お腹がすいているなら「冨美家」の「うどんセット」がおすすめです

いずれのうどんもやや軽めのボリュームなので、お腹がペコペコというときにはやや物足りなく感じます。そんなときはぜひうどんセットにしてみてください。
混ぜご飯や小どんぶりを好きなうどんにプラスして、うどんのだしをお吸い物感覚で味わいながらご飯をいただく。これもまた優しい味のだしだからこその楽しみ方です。

徒歩1分の場所にある「冨美家」本店では和スイーツも楽しめます

錦店から歩いて1分足らずのところに、もう一つの「冨美家」があります。現在の錦店の場所に総本店があった頃は「お食事処 冨美家」として営業していましたが、錦店オープン後はこちらが本店となりました。

本店はうどんだけでなくきつねそばや中華そばもあり、抹茶パフェやクリームぜんざいなどの和スイーツも楽しめます。
夏はあんみつやかき氷、冬はぜんざいと季節限定のスイーツメニューも充実していて、甘味処として創業した当時のなごりを感じさせてくれます。

うどんメニューも錦店とは少々異なります。中でもめずらしいのは「おじやうどん」です。1杯でうどんとおじやを味わえる、炭水化物好きにはたまらない一品です。
食べたいメニューによって使い分けできる2つの店舗は、近いからこそどちらに行くか迷ってしまいます。
冨美家鍋はどちらの店でも食べられるのでご安心ください。

「冨美家」のうどんは通販も持ち帰りもできるのでご家庭でも味わえます

今でこそ当たり前のように売られている具や汁がセットになった麺類のパック商品。家でも冨美家鍋を食べたいというお客さんのために、冨美家では業界に先駆けて持ち帰り用のセットを店頭で売り出したそうです。
また、今から30年ほど前の冷蔵配送が普及していない時代からお取り寄せ通販を始めており、全国へ冨美家の味を広めたいという気持ちの強さを感じます。
現在では京都や大阪のデパ地下や、スーパーでもお持ち帰り商品を購入できるので、いつもと違う京都土産としてもおすすめです。
錦本店ではバウムクーヘンも販売され、新たなお土産として注目を集めています。

これまでは昼時に行くと並んでいてなかなか入れないということもありましたが、店舗が2つになったことで待つことも少なくなるかもしれません。
メニューもそれぞれ異なるので、訪れる機会がますます増えそうです。

冨美家

ABOUT ME
阿東いつ子
埼玉県出身。 おいしいものが大好きで、農業系の大学を卒業後、食品の研究開発、商品企画、販売と、食べ物から離れられず現在に至る。 結婚を機に京都市に移り住んだものの、いつまでたっても観光客気分が抜けません。