進化する食卓

【注目】体があたたまる生姜湯の効果!喉が痛い時にもおすすめイトク食品の「蒸し生姜湯」

暦の上では春。とはいえ、今年の寒さはなかなかしぶとそうですよね。春には程遠く、厳しい寒さが続く今の時期に手放せないのが生姜湯です。お湯を注ぐだけで作れるという手軽さ。そして、飲むと体の奥からじんわりと温かくなる。そんな生姜湯に日々助けられています。

蒸し生姜にこだわり、実力派の生姜湯

今回紹介するのは、生姜湯の中でも体を内側から温める効果が高いと言われる蒸し生姜を使ったもの。広島県尾道市にあるイトク食品が製造・販売しているものです。「生姜で体温革命」を社是とするこの会社。昨年末には生姜の効能をまとめた本と合わせて、自社の製品を売るという新たな取り組みも開始するなど、食べるというだけでなく、知識という面も含め、生姜のすばらしさを伝える活動を展開しています。

昔の薬袋のような、ちょっとレトロなパッケージ。雑貨屋さんでみかけたということもあり、見た目だけかも、と少々疑いながら買ったのが、この生姜湯でした。生姜湯って、ものによっては香りと甘さだけということもありますよね。でもこの生姜湯は、生姜の存在感がきわだつ、まじめなまじめな生姜湯なんです。口にしたときの香り。飲み込んだ後で、じんわりと広がる辛さ。ところどころに残る粒々感。生姜の一大産地である高知産を使い、皮ごと荒おろしにしているというこだわりの製法からできたものです。

生姜湯に使われているのは、蒸し生姜。蒸した後、低温でじっくり乾燥させたものです。この蒸し生姜を使っていることが、体をぽかぽかにするという生姜の力を引き出すことにつながっています。

なぜ生姜で体があたたまるのか

なぜ生姜で体があたたまるのか。知っている人も多いかとは思いますが、少しおさらいしてみましょう。生姜の成分のうち約90%は水分です。残る約10%に炭水化物、たんぱく質などが含まれます。温かさにもつながる生姜特有の辛み成分や芳香成分はこの残る10%のごくごく一部に含まれるものです。

生姜はジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンの3成分でできている

成分として挙げられるのはジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンの3成分です。この中で最も多く含まれるのがジンゲロール。生の生姜で最初に感じるぴりっとした辛さといわれます。ショウガオールはジンゲロールの脱水反応により生成されるもの。保存している間にも増えますが、加熱することにより、さらに増加します。じんわりと感じる辛みがショウガオールといわれます。ジンゲロンは3成分の中でも極微量しか含まれないものです。ジンゲロールが分解することで生成され、強い辛みを感じるものです。

体を温めるには、ショウガオールが多く含まれる生姜を選ぶことが重要

これらの成分は生姜の効能という点で異なります。もっとも多く含まれるジンゲロールは殺菌作用があるほか、血管を広げる作用をもつことから、血圧を下げる効果があるといわれています。ただ一方で解熱作用もあり、身体の深部を考えた場合には冷やす方向に働くとされます。対して、ショウガオールは体を内側からあたためる効果が高く、胃腸の血行を高め、代謝もあげることができるといわれています。つまり体を温めるという効果を考えた場合、ショウガオールがどれくらい存在しているのかという点が重要になります。

永谷園による「ショウガ商品摂取による基礎体温の改善試験」

本当に生姜オールに体を温める効果があるのでしょうか。その効果を示すものとして、生姜部で有名な永谷園が行った試験があります。その名も「ショウガ商品摂取による基礎体温の改善試験」です。20歳以上の男女で体温が低め、もしくは冷えを感じている20人を被験者として実施。粉末生姜入りインスタントみそ汁を1日2回(夕食時は必須)摂取し、基礎体温の変化をみるとともに、体感アンケートにより効果を検証したものです。試験期間は8週間です。使用している粉末生姜は生姜を加熱し、乾燥させることにより、ショウガオールを増やしたものです。実験の結果、摂取前に比べ、4週間後、8週間後では徐々に基礎体温が上昇していることがわかりました。また全身、手・指先、下肢・足先のいずれの部位においても、有意に改善したことが認められました。ジンゲオールと比較したものではありませんが、ショウガオールを増やした生姜の効果がわかる結果といえます。

参考:永谷園生姜部 

イトク食品の「蒸し生姜湯」は生姜が4577㎎が入っています

イトク食品の「蒸し生姜湯」は、蒸し、加熱することによりショウガオールを増やしたものです。「蒸し生姜湯」に使われている生姜の重量は、生重量で4577㎎。グラムに換算すると4.577gとなります。ではショウガオールはどれくらい含まれているのか。同社のホームページを参考にみていきたいと思います。

蒸し生姜湯」のショウガオール含有量

日本食品分析センターの結果として示されているものを参考にしました。生の生姜(100g)に含まれるショウガオールは1.5㎎です。乾燥させた場合、ショウガオールは32mgと21.3倍に増加。蒸して乾燥した生姜に至っては、50mgと生の生姜に比べ33.3倍にまで増えます。この製品で用いられているのは生の生姜に換算すると約4.6g。つまり、ショウガオールとしては約2.3㎎が入っていることになります。米国の論文の中には、ショウガオール0.56㎎の経口摂取でエネルギー代謝の亢進、また0.46㎎の経口摂取で寒冷負荷後の体表部の温度低下抑制効果があることを示したものもあります。このことを考えると、「蒸し生姜湯」のぽかぽか効果はすごいといえるかもしれません。

蒸し生姜+唐辛子、刺激も楽しめる温辛生姜湯

イトク食品では蒸し生姜を使った様々な製品を発売しています。蒸し生姜を使った生姜湯としては、6つの和漢食材(生姜、ナツメ、桂皮、甘草、本葛、カリン)を配合した六漢生姜湯や、唐辛子を加えた温辛生姜湯などがあります。特に唐辛子を加えた温辛生姜湯は、唐辛子と生姜の辛さの違いを楽しめる一品。まず感じるのが舌にぴりっとくる唐辛子。その後で生姜の辛さが広がり、刺激を求める人にはぴったりの生姜湯です。

最近では、同社の蒸生姜製品の一つである「野菜の粉末 蒸生姜」の書店での販売も始めました。同じく尾道の地元企業であり、書籍販売を手掛ける啓文社と協力。生姜の効能を記した書籍と、同社の製品を並べて販売するというものです。相乗効果により売り上げの増加を狙うというだけでなく、生姜の良さを広く伝えたいという同社ならではの取り組みといえそうです。

ABOUT ME
蒼井 翠
北海道で生まれ、全国各地で育つ。専門紙で10年超、記者をした後、再び大学へ。食の知識を深めるべく、親子ほど年の離れた学生と学ぶ日々を送る。地域に根付く食、そして、食を支える人々。その思いを届けることが、目下の目標。