2021年大河ドラマの主役渋沢栄一も愛した埼玉の郷土料理「煮ぼうとう」。みなさんは食べたことがありますか? 幅広麺を野菜や鶏肉をしょうゆ味のおつゆに煮込んで作る煮ぼうとう。深谷ねぎをはじめ、地元深谷で取れる野菜をたっぷり入れて滋味深い味わいを楽しむ風味豊かな一品です。 今回はそんな深谷の定番料理煮ぼうとうと、その作り方についてご紹介します! 埼玉県深谷市の郷土料理煮ぼうとうとは 煮ぼうとうは埼玉北部に位置する深谷市で、古くから愛されてきた定番メニュー。地元では「煮ぼうと」と呼ばれることもあります。 生麺から煮込むことで生まれたとろみと野菜の旨みが溶け出したやさしい味わいが特徴で、かつては自分の家の畑で採れた野菜など、季節ごと、家庭ごとにお好みの食材でつくられていたのだとか。 深谷出身の明治の実業家・渋沢栄一翁の大好物だったとも言われ、帰郷した際には必ず煮ぼうとうを食べたがるほど、煮ぼうとうが好物だったそうです。 現在は栄一翁の命日(11月11日)には、「煮ぼうとうの会」が催され、市内の小中学校の給食では煮ぼうとうがメニューに登場します。 私も深谷市北部の出身なので、当時は11月11日になると近所の自治会館で開催される「煮ぼうとう会」に参加していました。 家で食べる煮ぼうとうと、煮ぼうとう会で食べる煮ぼうとうは味が違うのが印象的だった思い出です。 おっきりこみ・ほうとうとの違い 煮ぼうとうとよく混同されやすいのが山梨県の「ほうとう」と群馬県の「おっきりこみ」。それぞれどのような違いがあるのか比べてみましょう。 煮ぼうとう おっきりこみ ほうとう 地域 埼玉県深谷市とその周辺 群馬県全域 山梨県全域 麺の特徴 およそ2.5cm、厚さ1.5mm程度の幅広麺 およそ2cm程度12cmある地域も 8mm程度が主流麺の水分が少なく若干堅め つゆの特徴 しょうゆベース しょうゆベース、みそベース、地域により異なる(北毛や西毛ではみそベース多いが、東毛ではしょうゆベースが多く、中毛ではどちらも用いられる) みそベース 具の特徴 大根 、にんじん、里芋、ねぎ、ほうれん草、白菜、しめじ、しいたけ、油揚げ、鶏肉など…
野菜・果物
-
-
1999年にオープンした千葉県鴨川市にある総合交流ターミナル「みんなみの里」は、無印良品のコンセプトに沿って「里のMUJIみんなみの里」としてリニューアルオープンしています。 「Café&Meal MUJIみんなみの里」も併設され、平日でも駐車場がいっぱいになるほど人気のスポットです。 都市部と農漁村の交流をめざす「里のMUJIみんなみの里」 旅のルートの決め方は、人によってそれぞれ違うと思います。友人と旅行したら旅行のスタイルが全く違って驚いた、なんて経験をされた方もいるでしょう。 私は地図を読むのが得意ではないので、ガイドブックを見てもいまいち距離感や場所の感覚がつかめません。なので、大体のエリアで行きたいところをピックアップしておいて、行けたら行くというスタイルを取っています。 千葉に旅行すると決まってあれこれ下調べしているときに、「里のMUJIみんなみの里」がリニューアルオープンしたというニュースをたまたま見つけました。 「里のMUJIみんなみの里」は、都市部と農漁村の交流をめざす鴨川市総合交流ターミナル「みんなみの里」をリニューアルしました。 2018年1月にデビューした、東京と房総半島を結ぶJR東日本の自転車&サイクリスト専用トレイン「B.B.BASE」。この「里のMUJIみんなみの里」には「B.B.BASE」のエイドステーションが用意されています。休憩やトイレだけでなく、空気入れや工具も用意されています。 有楽町の無印良品では、入ってすぐの場所に日本各地の見たことのない調味料をはじめとする食材が並んでいます。その無印良品が「里のMUJIみんなみの里」を手掛けると知っては行かないわけにはいきません。 「里のMUJIみんなみの里」では地域の食べ物が盛りだくさん! 駐車場からお店に向かう、わずかな間にも臼や小さな水車などが置いてあるのが目に留まります。こういうのを見るとちょっとテンションが上がるのはなんでしょうね。 大きな袋いっぱいに入ったもみがらや、そのもみがらを炭にしたものも販売されています。 「里のMUJIみんなみの里」の店内はとても広々としていて明るく、開放的な空間が広がっています。道の駅のように近くで採れた野菜なども並べられ、海苔や海藻、それらを使った加工品などがきれいに並べられています。 冷蔵コーナーには旬のびわや、新鮮な卵を使ったスイーツも販売されています。「里のMUJIみんなみの里」には休憩できるテーブルや椅子が用意されているので、こちらで購入して外のテラスで休憩されている方も多かったです。 千葉県内の道の駅でもよく見かける定番の商品もあれば、初めて見るような珍しいものもあり、さすがの無印良品と言いたくなる品ぞろえです。 「Café&Meal MUJI」も併設されており、平日でもお客さんでにぎわっていました。営業時間は09:00~18:00ですが、1月~1月までは17:00閉店となります。 こちらでもレジでMUJIpassportを出せば、MUJIマイルを溜めることができます。 里山トラスト活動の一つ、「大山千枚田」への支援 あまり印象がないかもしれませんが、千葉県は日本でも生産量上位10位に入るほどお米が生産されています。 千葉県内ではコシヒカリやふさこがね、ふさおとめといった品種の米が作られ、特にコシヒカリは千葉県内で約7割の作付け面積を占める主力品種です。 「里のMUJIみんなみの里」の近くに、都内から一番近い棚田として観光客も増えている大山千枚田があります。 棚田は傾斜地にあり、狭い田が多く連なっているのが特徴です。見ている分にはとても美しい棚田ですが、機械が入れない場所も多く、大規模営農が困難な田が多いのが現実です。 また、高齢化よって生産者が減る中で、水田を維持していくことが課題となっています。 2014年から始まった里山トラスト活動の一環で、無印良品は大山千枚田で稲作を続ける生産者を支援しています。 酒用の米ではなく、私たちが普段食べている飯用米を使って、亀田酒造株式会社が2017年に日本酒を醸造しました。 大山千枚田で作られた長狭(ながさ)米、コシヒカリの新米を100%使った「日本酒」は、お米の風味を損なわないよう、濾過も加水せずに原酒のまま瓶詰めしたものです。里山トラストではさまざまな体験イベントも行われています。手づくり味噌・醤油の会イベントや自然酒の会、田植え体験など無印良品のホームページから申し込みができます。 田植え中の棚田もきれいでしたが、また季節によって違う表情を見られると思います。「里のMUJIみんなみの里」へ行ったら、ぜひ「大山千枚田」も訪れてみてください。 「鴨川里山トラスト」…
-
イチゴがおいしいこの季節。 スーパーや八百屋さんに行くと、様々な種類のイチゴが売り場を彩っています。 私がいつも買うイチゴはとちおとめ。関東育ちの私にとってイチゴといえばとちおとめでした。 だけど、たまにはいつもと違うイチゴも食べてみたい、種類によって味はそんなに違うものなの? そう思い、旅する食卓編集部でイチゴの食べ比べをしてみることにしました。 7種のイチゴを食べ比べ! 今回食べ比べをしたのは上から時計回りに ・恋みのり ・あまおう ・やよい姫 ・淡雪 ・スカイベリー ・ゆうべに ・紅ほっぺ の7種類。あまおうと紅ほっぺ以外は初めて目にする品種でした。 それぞれのイチゴの特徴については次で詳しくご紹介します。 イチゴ7種類を食べ比べしてみました それでは、食べ比べをしたイチゴの特徴をご紹介します。 今回はそれぞれのイチゴのサイズ感をお伝えするため、計測した重さも記載します。 定番&王道・あまおう(福岡県産) 【あまおうとは】 あまおうとは、福岡を代表する果実の大きさが特徴的なイチゴ。 2001年に品種登録出願、2005年に登録されました。 赤くてつやが良い、糖度が高い特徴を持つことから、「あ」かい、「ま」るい、「お」おきい、「う」まいの頭文字をとって「あまおう」と名づけられたそうです。 【あまおうの重量】 15g 【あまおうの購入価格】 754円/1パック 【あまおうを食べてみた感想】 今回食べたあまおうは、少し小ぶりでした。…
-
旅行中、飲み物を買ったりちょっとしたお土産を買ったりと、便利なだけでなく楽しむこともできるのがスーパーマーケットです。見たことのない看板を見ると、わくわくそわそわしてきます。 今回私が鳥取県で立ち寄ったスーパーマーケットは初めて見る商品がとても多く、地元を感じられる心ときめく楽しい場所でした。 牛乳やヨーグルトコーナーにときめく「東宝ストア」 ローカルスーパーに立ち寄った時は、まずは全体をぐるっと回るように心掛けています。心掛けていますが、ついついちょこちょこ立ち止まってしまいます。 「東宝ストア」でも、ついつい足を止めてしまったのが、牛乳やヨーグルトの置いてある乳製品コーナーです。 鮮度が大切な乳製品はご当地色が出やすいので、酪農が盛んであればあるほど乳製品コーナーが充実しています。 「東宝ストア」も牛乳だけでも驚くほどの品ぞろえです。有名な白バラ牛乳がずらっと並び、白バラコーヒーや白バラフルーツ、白バラ紅茶なども各種サイズが揃っています。 ジャージー牛乳も紙パックの物や瓶詰めのものがあり、東京では目にすることが少ない低脂肪タイプのものも置いてあります。 牛乳だけでなく、ヨーグルトやシュークリーム、ロールケーキなどのスイーツもあります。 鮮魚コーナーには、宍道湖産のしじみや朝どれの白いかも並んでいます。 また「板わかめ」という、A3くらいはある大きなわかめを見つけました。味付、新物、甘口という魅力的な言葉がパッケージに書かれていますが、どんなものなのでしょう。 次のスーパーマーケットで買おうと思っていたのですが、見つけられませんでした。 ローカルスーパーのローカルフードは、やはり「後で」は禁物だというのを痛感しました。 鳥取県の名産品の一つ!品種も豊富な梨売り場「サンアイ」 続いて立ち寄ったのは鳥取県米子市にある「サンアイ」です。 店内に入った瞬間、梨、梨、梨! 贈答用の箱売りのものから、家庭用の2〜4個入りのものまであります。驚くのはその種類の豊富さです。 「二十世紀梨」「なつひめ」「新世紀梨」「涼月」「新甘泉」など、初めて聞くものも多く一体どれを買ったらいいのか分かりません。そう思っていたら、店頭に梨の特徴が書かれたものが置かれていました。 まだここに置いていないものも書かれている…まだまだ梨の世界は奥深いようです。 ここでも乳製品売り場をチェックします。島根県に近づいたせいか、先ほどのスーパーマーケットとは異なる品ぞろえです。 白バラ牛乳よりも安来酪農牛乳やしまねっこの絵が描かれた農協牛乳が目立つ場所に置かれていました。 人気のバラパンをはじめ、かわいいご当地パンに目移りしちゃう「サンアイ」 さらに進んでいくと、パン売り場にたどり着きました。これが普通のパン売り場かと思いきや、見たことのないパンがずらりと並んでいます。 「なんぽうぱん」「長谷川製パン」「せじりのパン」と店名が書かれ、まるで小さなパン屋さんのようです。 「なんぽうぱん」は人気のご当地パンとしても知られている、かわいらしい薔薇の形をした「バラパン」が有名です。 バラパンは白バラパン、抹茶クリームバラパン、コーヒーバラパン、和風バラパンと種類も豊富です。人気のバラパンの他にも、レトロなパッケージがかわいいクリームパンやネオトーストなど魅力的なパンが揃っています。 「長谷川製パン」は、どれも手作り感のある素朴なパンが揃っています。3個入りの「おやつあんパン」や3本入りの「味付きバターパン チョコ」のお値段の安さにびっくりです! 小腹が空いたときに常備しておきたい、素朴なパンの数々です。 「せじりのパン」は火曜・金曜・日曜の入荷だからか、棚がガラガラでした。かろうじて残っていたのが、「しょうゆラスク」と「出雲まんずっ」など数個のみでした。 近所にこんなに心ときめくパンが買えるお店があったらなぁ、と思わずにはいられない魅力的な品ぞろえでした。…
-
「青島みかん缶ジュース」とは? 1家に1箱あるといってもいいくらい、地元の人に愛されているみかんジュースがあるのを知っていますか?静岡県浜松市のJAみっかびが販売する「青島みかん缶ジュース」です。高い糖度とうまみに定評のある青島ミカンを皮ごと5個分使って作られる果汁100%のストレートジュース。甘味と酸味のバランスがいいだけでなく、濃厚なうまみが人気の品です。出荷が始まるのは毎年2月。前年の12月に収穫された青島みかんだけを使い、数量限定で販売されているもので、年によっては3カ月ほどで売り切れてしまうこともあります。今季の出荷は2月15日に開始したばかり。お試しするならいまがおすすめです! 「青島みかん缶ジュース」の箱買いにも納得! 青島みかん缶ジュースに出会ったのは、昨年の夏。静岡県浜松市に住む友人の家に遊びに行った時でした。甘味、酸味というだけでなく、〝こく″のある旨みに、びっくり。思わず、「これどこで売っているの?」と聞いてしまったわたしに、「箱買いしているから持って行きなよ」と友。子どものためというだけでなく、お中元用やちょっとした手土産にと、発売されるとすぐ、箱買いする人がいるということを知りました。 果汁100%といっても、日本農林規格の果実飲料規格にはストレートジュースと濃縮還元ジュースの2種類があります。ストレートジュースは、その名の通り、絞った果汁を低温殺菌し、そのまま詰めたもの。濃縮還元は殺菌し、絞った果実から水分を除いた後、再度水分を足して作られます。輸入品に多く見られるもので、輸送コストを削減することが主要な目的です。再度水分を足す際には、香りや甘味を加えることもあります。いわゆる缶ジュースの場合、100%果汁といっても、濃縮還元であることが多く、ストレート100%果汁のものだと、瓶が主流です。デザインにこったものも多く、その分価格も高めです。青島みかん缶ジュースは、缶でありながら、果汁100%のストレートジュース。オープン価格ではありますが、JAみっかびの直販所では1缶(280g)で185円(税込)、1箱24缶入りの場合だと4212円(税込)で販売されており、懐にもやさしい価格なんです。 温州ミカンと青島ミカンは何が違うの? 青島みかん缶ジュースで使われるのは、青島ミカンと呼ばれる品種です。いわゆる〝ミカン″には、日本に古くからある紀州ミカンと、江戸時代ごろから普及した温州ミカンの2種類があります。現在、市場に多く流通しているのは温州ミカン。青島みかんはその温州ミカンの種類の一つで、昭和10年ごろ、青島平十さんという方のミカン畑で発見されたことから、青島ミカンと名付けられました。 そんな青島ミカンの主要な生産地が静岡県の三ヶ日です。静岡県の西部にある浜名湖の北岸に位置します。もともとは「三ケ日町」でしたが、平成の大合併により浜松市に統合されました。年平均気温が16度と温暖で、かつ日照時間が長いことから、ミカンの生産に適した地で、ミカン栽培の歴史は江戸時代にまでさかのぼると言われています。 青島ミカンの収穫時期は12月。糖度が高く、適度な酸味と濃い味が特徴のコクのあるミカンで、その糖度は、今期のレギュラー品(ミカンとして出荷されるもの)の平均で11.5度といいます。青島みかん缶ジュースの原材料となるのも、品種としては同じものです。ミカンとしての出荷には適さない、いわゆる規格外のものを原料に作られています。 香りとコク、ほのかな苦味、皮ごとの妙 1缶を作るのに使われる青島ミカンは5個分(1個100g相当)。果肉のみを使うのではなく、ミカン丸々使っているのが、青島みかん缶ジュースの最大の特徴です。きれいに洗った皮と果肉を包むほろもすべて入っています。もともと、甘味と酸味のバランスがよいとされる青島ミカン。ここに皮やほろが加わることで、香りやほのかな苦味が加わり、バランスのとれた、コクのあるミカンジュースに仕上がっています。ジュースとしてそのまま飲むのもおいしいですが、料理に使うとさらにうまみが引き立ちます。鶏肉や豚肉を煮込んだり、ドレッシングに少し加えて使うと、甘酸っぱさというだけでなく、こっくりとした深い味わいが生まれます。 気になる「ミカちゃん」実は2代目です 三ヶ日みかんの製品をみると、つい目がいってしまうのが、ミカちゃんマーク。JAみっかびのオリジナル製品や関連製品についているものです。青島みかん缶ジュースにも本体とふたの2カ所にミカちゃんがついています。 ミカちゃんマークは、昭和53年にJA三ヶ日の組合員であるみかん農家の方が作成したもの。昭和54年からJAみっかびの製品につくようになりました。当初は手書きのイラストだったのですが、平成16年にいまのデザインに変更されており、2代目になります。ちなみにミカちゃんの名前は組合員に公募し決めたものです。JAみっかびのホームページに記された「ミカちゃんの秘密」によると、年齢は「たぶん小学2年生くらい」。みかんが大好きで、いつでも元気いっぱい。カゼにも負けない丈夫な体とキメ、ツヤのよい肌でかわいい見た目の子で、性別は不明です。
-
デコポンと不知火は同じ品種です デコポンと不知火といえば、よく見かけるかんきつ類の一つですよね。ぽこっと飛び出た頭。甘く瑞々しい果実と食べやすさが人気のかんきつ類です。見かけも味も似ているこの2つのかんきつ類、呼び名は違いますが、実はどちらも同じ品種だということを知っていましたか。不知火というのは、品種の名前。デコポンは不知火の中で一定の基準を満たしたものにつけることができるブランド名なんです。2つの名前がなぜ生まれたのか。そこには、少しばかり複雑な事情があったんです。 不知火もデコポンも濃い甘みと手でむける手軽さが売り 1~5月に収穫される温州ミカンを除くかんきつ類は、中晩柑と呼ばれます。この中晩柑の中で、栽培面積、収穫量、出荷量で全国トップを誇るのが不知火。露地物が出回る今の時期は不知火の旬です。ごつごつとした皮は、意外なほど柔らかく手ですっとむけ、果実を包むじょうのうも薄いので、食べても気にならない。ほどよい酸味を残しながらも甘い果実は瑞々しく、柔らかです。 不知火の収穫量でトップをいくのはやはり熊本県。全収穫量の約25%を占めます。今の時期になると、くまモンがあちらこちらでPRしているのも、そのためですね。 偶然から生まれたデコポン 不知火が生まれたのは1972年。長崎県の園芸試験場(現・果樹研究所カンキツ研究部)において、清見オレンジとポンカンの交配により誕生しました。ただ、この段階では製品としての日の目は見ていません。玉の揃いが悪く、形がいびつだったことから、選別の過程で放棄されてしまったんです。 長崎県において、一度は捨てられた品種。そこに目を付けたのが熊本県不知火農協でした。この時代、かんきつ類の産地は苦境に陥っていました。かんきつ類の主流となる温州ミカンが生産過剰により価格の暴落を起こしていたからです。また対米輸出の急増により生じた貿易問題を契機に、オレンジの輸入自由化の議論も進んでいました。温州ミカンの価格暴落は熊本県の特産であった甘夏にも影響、売れ行きが落ち込むという足元の問題と自由化への懸念がありました。不知火農協では、この状況を打破すべく、試験園を設け、甘夏にかわる品種を模索。果樹は170種類を集め、検討していたその中に、たまたまあったのが不知火でした。 ただ、この段階で不知火はあくまでも集めた果樹の中の一つ。まったく期待されていませんでした。というのも、酸味が強かったからです。不知火は熟成させることにより、酸味がやわらぎ、コクと甘味が引き立つようになります。いま、私たちが手にしているのも熟成期間を経たもの。当然ながら、当時、そのような知識はありませんでした。 「熟成」が必要だということがわかったのは、ある偶然から。試験園の園長が、たまたま取り置き放置していたものを食べたことがきっかけでした。酸味は抜け、甘くなっている。その場に居合わせた市場関係者にも食べたもらったところ、「おいしい」と太鼓判をもらったことから、不知火農協を挙げての産地づくりが開始しました。甘夏の樹木に接ぎ木をし、生産面積を広げるとともに、酸味を抜くための熟成方法、土壌管理、施肥技術などを開発し、栽培を拡大していきました。 3月1日は「デコポンの日」です! 初めて東京市場に出荷されたのは、1991年3月1日。25トンが出荷されました。最高値は5キロ7千円。甘夏の3~4倍に相当する価格といわれています。3月1日が「デコポンの日」となったのは、初出荷を記念してのこと。「デコポン」という名前は翌1992年に熊本県果実農業協同組合連合会により商標登録として申請され、1994年に認定されました。もともと「デコポン」は農家の間で呼ばれていた名称。ぽこっと飛び出たヘタの部分の形状と、ポンカンを親に持つことから自然発生的に生まれたものと言われています。 デコポンを名乗るための3つの条件 当初、デコポンという名は申請さえすれば、だれもが使えるものでした。生産地が全国に広がり、認知度も高まる。良い面がある一方で、品質にばらつきが生じることが問題となってきました。もともと熊本県などでは、基準を設け品質を高める努力をしていましたが、他の産地においては同様の基準がない場合もあり、「デコポン」という同じブランド名がついたものの中で差が生じる結果となってしまったんです。 熊本県果実農業協同組合連合会では、「デコポン」というブランドの品質を守るため、1997年、所有していた「デコポン」の商標に関する権限を、上位団体である日本園芸農業協同組合連合会に委譲。同連合会の傘下の農業団体(JA)と柑橘生産のある農業団体(JA)に「デコポン」の名称使用を限定しました。 同時に「デコポン」というブランドの品質を守るための2つの基準を設けました。1つは糖度13度以上であること、そしてもう一つはクエン酸が1.0%以下であることです。計測に用いる機械も決まっています。 結果として、現在デコポンを名乗れるのは、JAを介したものであり、かつ2つの基準を満たしたものとなりました。言い換えると、JAを介していないものは、たとえ2つの基準を満たすレベルの糖度と酸味であっても、「デコポン」と名乗ることはできず、「不知火」として販売されるということになりました。これが2つの名前が混在するようになった理由です。不知火がおいしくないというわけではなく、販売ルートの問題等もあり、使えないという大人の事情があるということがポイントですね。 デコポン選びは皮、重さ、軸の色で デコポンを選ぶ際のポイントは3つ。皮の状態と重さ、軸の色です。皮の色は濃く、均一であり、かつはりのあるものがおすすめ。手にしたときに、ずっしりと重みのあるものは、果汁が多いとされます。また軸が緑色のものは鮮度がよい証拠となります。 皮を手でむくときにはデコの部分に親指を入れ、剥き始めるときれいにむけます。果実を包むじょうのうを食べるか否かは、個人の自由。サラダなどに使うときには、じょうのうをむいたほうが、色鮮やかできれいではありますが、じょうのうは薄い上に、果実は柔らかくつぶれやすいため、きれいに剥きとるのは少し難しくもあります。 中晩柑の人気者、デコポンと不知火は何が違う? was last modified: October 26th, 2020…
-
「鳥羽マルシェ」は伊勢のお土産スポット&ビュッフェレストラン 市内全域が伊勢志摩国立公園内にあり、風光明媚な景色やレジャー、グルメなどが楽しめる三重県鳥羽市。飼育種類数日本一を誇る「鳥羽水族館」や、島全体が真珠のテーマパークとなっている「ミキモト真珠島」など、外せない観光スポットがたくさんあります。 観光前にまずは腹ごしらえ! という時は、地元の食材が味わえる「鳥羽マルシェ」がおすすめ。「鳥羽マルシェ」は、地域が誇る海産物や農作物の産直市場と、郷土食を中心とした地産地消ビュッフェレストランです。 「鳥羽マルシェ」は駐車場はないので、電車がおすすめ! 農協と漁協がタッグを組んで運営している鳥羽マルシェ。このような形態のお店は全国的に見ても珍しいことだそうです。でもそのおかげで新鮮な野菜と海産物を一緒に手に入れることができるのです。 直売所や道の駅などは車でないと行きづらい所が多いですが、「鳥羽マルシェ」はJR・近鉄の鳥羽駅から徒歩約2分! 電車旅でも気軽に立ち寄ることができます。駐車場はないので、車で訪れる際は近隣駐車場を利用します。すぐ隣にある佐田浜第一駐車場は、1時間まで無料で停められます。 建物の外には自由に入れる足湯もあって、のんびり旅におすすめのスポットです。 「鳥羽マルシェ」のビュッフェレストランは予約がおすすめ! 旅行前、鳥羽水族館近くでランチを食べらるお店を探していたところ、「鳥羽マルシェ」のビュッフェレストランを発見! すぐさま電話予約を入れました。 予約は11:00~11:15までに入店できる場合にのみ可能です。その時間には来られないときや予約人数が上限に達した場合は、直接来店してウェイティングシートに記名します。直売所が開店する10:00以降は、レストランオープン前でもウェイティングシートに記名できます。口コミサイトを見ても人気店のようなので、前もって予約したほうがよさそうです。 到着したのは10:50頃。直売所は買い物客と、レストランの開店を待つ人とでで賑わっていました。 オープン時刻になると予約した方から名前を呼ばれ、会計を済ませたら60分間食べ放題のスタートです。 この日は事前に予約した人と11時までにウェイティングシートに記名した人だけで8割ほど席が埋まっていました。1月下旬の平日でこの程度なので、週末や夏休みなどはもっと混むのでしょう。 「鳥羽マルシェ」では月替わりで季節の料理がいただけます ビュッフェメニューは月替わりで、デザートも含め約25種類ほどあります。 また、プラス料金でオプションメニュー(このときは10食限定加茂牛ハンバーグ)をオーダーすることもできます。 地魚のマヨソース炒めや穴子ご飯などの魚介メニュー、わさび菜のかきあげやふろふき大根などの野菜メニュー、鳥羽市加茂地区で飼育されている加茂牛を使ったカレーやオムレツ、ミートソースとバラエティー豊富な料理が並びます。 メニューからも鳥羽市は食材に恵まれた土地であることがわかります。 お米は鳥羽志摩産特別栽培米コシヒカリの「珠光(たまひかり)」を使用。ピザには三重産小麦を使い、トマトも地元のものを使うなど、地産地消への強いこだわりを感じます。 数あるメニューの中でも、この土地ならではと感じたのがわかめのしゃぶしゃぶです。生わかめを軽くしゃぶしゃぶしたら、もみじおろしとポン酢でいただきます。 香りが良く柔らかいのにシャキシャキ! 乾燥わかめではこうはいきません。 彩りがきれいな「てこね寿司」は赤身の刺身を醤油に漬け込み、寿司飯と一緒に食べる郷土料理です。漁師が仕事の合間に食べていたのが起源なのだとか。 刺身に味がついているので、海鮮ちらしより食べやすく見た目も華やか。家でも真似したくなるメニューです。 また、牡蠣グラタンや穴子飯などボリュームのあるメニューもあるので、食べ盛りの子どもを連れての家族旅行にもちょうどいいですね。 直売所でさばいてもらった伊勢海老を持ち込める!ビュッフェレストラン 1人1皿限りですが、新鮮なお刺身も食べられます。日によって魚の種類が変わるそうで、この日はイナダでした。1皿に5切れなので、海鮮をお目あてに鳥羽を訪れた方にはちょっと物足りないかもしれません。…
-
レストラン編に引き続き、直売所編でも「鳥羽マルシェ」の魅力をお伝えします! レストラン編でも触れましたが、三重県鳥羽市にある「鳥羽マルシェ」は、農協と漁協がタッグを組んで運営しています。そのおかげで新鮮な海産物と農作物どちらも手頃な価格で手に入れられます。 「まあ、食べてみないさ」というコンセプトからも、生産者の方々の地元を誇りに思う気持ちと温かさが伝わってきます。 刺身盛り合わせや伊勢海老も!「鳥羽マルシェ」鮮魚コーナー 海の近くに出かけると、市場やスーパーの鮮魚売場に買わなくてもつい足が向いてしまいます。その地域でしか獲れない魚や地方により異なる名前で呼ばれる魚が並んでいるのを見ると、海のない埼玉育ちの私はテンションが上がります。 「鳥羽マルシェ」には生け簀もあり、魚の他に牡蠣や伊勢海老なども買うことができます。 水産物は原則、鳥羽磯部漁業協同組合管内の漁協市場での買い付けているそうです。漁協市場から直送することで、新鮮かつリーズナブルな価格で販売できるのだとか。 1匹から買えて、さばき代300円でお造りにしてもらうこともできるので、観光客でも利用しやすいですね。 もちろん盛り合わせになったお刺身も売っていますので、いろいろ食べたい方はこちらがおすすめです。 お土産にいかが?「鳥羽マルシェ」には種類豊富な海藻もあります 海藻の種類が多いのも海の近くならでは。 わかめ・あおさといったメジャーなものから、ふのり・あらめなどの名前は聞いたことのあるもの、うしのした(イロロ)などというまったく想像の付かないものまで種類豊富です。 海藻は常温保存可能で日持ちもして軽いので、自宅用のお土産にもぴったりです。 海の幸だけじゃない!「鳥羽マルシェ」には新鮮野菜もたくさんあります 農産物コーナーには、生産者が毎朝オープンまでに出荷した新鮮な野菜が並びます。 野菜目当てで朝イチに来るお客さんも多いようで、人気商品はオープンから1時間も経たないうちに品薄になっていました。 イチゴやかんきつ類などの果物やお米もあり、電車でなく車なら買って帰りたいものばかりです。 お菓子や調味料、農産加工品などお土産にもぴったり お菓子やポン酢、漬物、お弁当などの地元の加工品もたくさん並ぶ中、ひときわ目立っていたのが「きんこ」という干し芋。 生産者が異なるものがなんと10種類もあり、よく見ると細いもの、丸いもの、色の濃いもの薄いものと少しずつ差があります。その中から、丸くて柔らかく、鮮やかな黄金色の「世古さんのきんこ」を買ってみました。 「きんこ」はさつまいも一種「はやと芋」を使った干し芋です。一般的な干し芋は蒸して作りますが、「きんこ」は煮た後に皮をむき、切って天日干しにします。煮てから切るので「にっきり」とも呼ばれます。 普通の干し芋に比べてモチモチ感があり、ねっとりとろけるような食感です。素朴な味ですが噛み締めるほどに甘さが増して、1つでかなりの満足感。体力勝負の海女さんに、おやつにとして愛されてきただけのことはあります。 そのまま食べても優しい甘さでおいしいですが、トースターであぶるとさらに味わいが引き立ちます。柔らかくなって甘さが増し、香ばしさも加わって、もはやスイーツです。 テイクアウトコーナーでも地元ならではの味が楽しめます ビュッフェレストランは時間が合わず利用できないときや、小腹が減ったときなどにうれしいのがテイクアウトコーナーです。 加茂牛コロッケや加茂牛カレー、牡蠣のチャウダー、ウタセエビ唐揚げなどご当地ならではのメニューが楽しめます。 中でもここでしか食べられないのが、サメ春巻き! 第7回Sea級グルメ全国大会で優勝したこともある逸品です。外はパリパリ、中はクリーミーなフレンチ春巻とのことですが、「サメ」「Sea級グルメ」「フレンチ」と気になる要素満載です。 そして見逃せないのが白ごはん200円! お刺身やコロッケと一緒に、おにぎりじゃなく白ごはんが食べたいというユーザーの気持ち、わかってます!…
-
豆を煮るのは時間がかかって難しい、というイメージがありませんか? 最近ではドライパックになって売っているものもあり、手軽に料理できるものも増えています。これまであまり豆を料理する機会はなかったのですが、最近おいしい豆が食べたいなと思い始めました。 甘くない、そしてぽそぽそしていない豆を探して始めたところ、たまたま「これおいしいよ」と渡されたのがこの「ひたし豆」です。さて「ひたし豆」はどう料理したらいいのかな。 ひたし豆とは 袋には「ひたし豆」と書いてありますが、ひたし豆というのは東北・信越地方の郷土料理です。茹でこぼした青大豆を、しょうゆやみりんと合わせただし汁につけたものです。 新潟県、山形県、福島県、宮城県そして長野県の信濃エリアではおせち料理に「ひたし豆」を使われています。数の子と合わせて「数の子豆」としても食べられています。 青大豆はその名の通り青い大豆の品種で、枝豆と似ていますが枝豆とも違います。大豆が成熟する前に収穫するのが枝豆ですが、青大豆は一般的な大豆とは違い、成熟してもきれいな緑色のままです。青大豆は大豆に比べて甘さがあり、うま味や甘さがぎゅっと濃縮されているのが特徴です。 青大豆は病気にかかりやすく栽培が難しい上、地表近くに実がなるので収穫も手作業で行われるため、なかなか流通していません。実がなる時期の9月から11月頃に涼しくなっている、北海道や東北地方で作られています。 「ひたし豆」は枝豆のようなほどよい歯ごたえがあるので、お酒のおつまみにもいいと言うのも納得です。水に浸す時間は必要ですが、調理時間は短いので常備菜としても重宝します。 「ひたし豆」の料理方法-下ごしらえ- 袋に入った「ひたし豆」はまずよく水で洗ってから使います。そして一晩水につけてから料理に使うのがベストですが、夕食に使うなら朝起きてから水に浸しても十分間に合います。私は寝る前に水につけておこうとしたのにうっかり忘れて寝てしまいましたが、朝起きてから水に漬けても十分柔らかく、美味しく料理できました。 水につけておくと皮がしわしわになってふやけ、まんまるだった「ひたし豆」が枝豆のような状態になります。途中でふとボウルをのぞいたら「芽が出るのでは?」思ってしまうほどしわしわで驚きました。6〜12時間も水に浸しておけば十分です。 「ひたし豆」を十分に水につけたら、その水ごとお鍋に入れ煮ていきます。「ひたし豆」はコトコト煮るというほど煮る必要はありません。15〜20分程度、ふたはせずにアクを取りながら煮ていきます。 ここまでが下ごしらえ。ひたし豆を作るときも、豆ご飯にするときも、ここまでは共通です。塩を入れて煮て、サラダに乗せても美味しく食べられます。しょうゆやみりんと合わせただし汁に一晩漬けても、ポン酢に漬けても美味しく食べられます。 「ひたし豆」の料理方法-「ひたし豆」で豆ご飯はいかが?- ひたし豆を使った豆ご飯のレシピ [penci_recipe] 枝豆くらいの固い食感がお好みの方は、下茹でする時間を短めの約10分くらいにすると美味しく仕上がります。 豆ご飯はいつもえんどう豆で作っていましたが、「ひたし豆」で作った豆ご飯はしっかりとした豆の食感を楽しめます。比べてみると豆らしい青々しさや、ほくっとした風味は控えめです。豆の青い風味やほくほく感が好きな方にはちょっと物足りなく感じるかもしれません。枝豆のようなしっかりとした食感の豆が好きなので、次に見かけたら「ひたし豆」を常備しておきたいなと思います。 山形県川西町産 秘伝豆(ひたし豆)700g 価格:740円 (2017/11/2 14:18時点) 感想(2件) 「ひたし豆」は東北・信越地方の郷土料理!おいしく食べられるレシピをご紹介 was last modified: October 30th,…
-
今回紹介するのはさつま芋。といっても、ただのさつま芋ではありません。翠の王様と書いて、「すいおう」と呼ぶその名前からもわかるように、主役となるのは、緑色をした葉と茎。かねてから栄養価の高さが注目されていたさつま芋の葉、茎、葉柄の部分を食べやすく改良した品種です。ハートを逆さにしたようなかわいらしい姿もさることながら、やはり注目したいのは栄養価。緑黄色野菜の王様と言われる「ケール」に匹敵する豊富な栄養をもつ野菜なんです。 おいしい茎葉へ、開発に6年 里芋の葉柄である「ずいき」や「芋がら」は、乾燥させ保存食として活用するなど、古くから食べられてきたものです。さつま芋の葉や葉柄も、「芋づる」として、食べられることもありましたが、えぐみや青臭さがあるため、食材としては敬遠される傾向にありました。一方でさつまいもの茎や葉は、たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維が豊富で健康によいことも知られていました。その豊富な栄養価に着目した九州沖縄農業研究センターにより開発されたのが「すいおう」です。茎葉部分の食味に重点を置き、約6年の月日をかけ研究を進めた結果生まれたものです。 地域を問わず全国で栽培されていますが、中でも力を入れているのが埼玉県坂戸市。同市では、健康とおいしさを兼ね備えた野菜を「坂戸ブランド野菜」として認定し、特産化を進めており、「すいおう」もその一つに位置付けられています。市内の学校給食に取り入れているほか、特産化も推進。ドライ粉末にした製品を発売しているほか、甘味が少なく食用に適さないとされてきた芋の部分についても、「芋焼酎」として製品化しています。 抗酸化、美白効果に期待 栄養価が高いと言われても、なかなかイメージしづらいものですよね。では、ケールに匹敵する栄養価といったらどうでしょう?青汁の材料であり、「緑黄食野菜の王様」と言われるのがケールです。日本食品分析センターの調査結果では、食物繊維、鉄、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンK、マグネシウムのうち、マグネシウムとカルシウムを除く5つの成分でケールを上回るとされています。ケールより劣っているとされたカルシウムやマグネシウムについても、カルシウムはほうれん草の約2.8倍、マグネシウムは小松菜の約3倍含まれているという結果がでています。またポリフェノール、ルテインといった生体のバランスを維持するために必要な機能を持つ成分が多いのも特徴で、メラニンの生成抑制や、骨密度の低下を抑える、抗酸化を期待できることが、論文や動物実験の結果として示されています。 揚げましょう、炒めましょう 茎はしゃきしゃきと歯切れよく、葉は加熱するととろりとした粘りがでます。つるむらさきやモロヘイヤのように強い粘りではなく、噛んでいくと少しとろみがでるといったもの。くせはなく、ほのかな甘みも感じます。豊富な栄養をあますことなく食べたいのなら、炒める、揚げるといった調理法がおすすめです。水を使わず、加熱時間が短くすむため、ビタミンの損失を抑制できるほか、ビタミンKなどの脂溶性ビタミンは油と一緒に食べることで吸収されやすくなるためです。葉は天ぷらやかき揚げでさくっと、茎はさっと炒めきんぴらにするのがおすすめです。茎、葉柄の部分はふきのように皮をむいてから使うと、よりしゃきしゃきとした食感を楽しめます。